平成19年10月12日 |
<問い合わせ先> |
住宅局建築指導課 |
(内線39515) |
TEL:03-5253-8111(代表) |
(株)日立製作所及び三菱電機(株)製のエレベーターの構造材※1に、SS400の使用を予定していたのに対し強度の低いSPHC材※2が使用されていた問題について、当該エレベーターの製造者、エレベーターや構造材の製造委託先企業及び鋼材納入企業に対して、原因の解明と今後の再発防止策の提出を求めていたところですが、9月28日(金)及び10月5日(金)に関係各社から国土交通省に対して報告がありました。
※1 |
構造材:建築基準法上、所要の強度計算により強度を確保することが義務付けられている部材
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※2 |
SPHC材の強度は、SS400材の3分の2程度
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T.原因についての報告概要
- (株)日立製作所及び三菱電機(株)が(株)内原電機製作所に委託して製造したエレベーター関係(下記の3社の関係については別紙1((株)日立製作所関係)、別紙2(三菱電機(株)関係)参照)
エレベーターの製造者
(株)日立製作所(東京都千代田区)、三菱電機(株)(東京都千代田区)
エレベーターの製造委託先(鋼材の購入を含む。)
(株)内原電機製作所(茨城県水戸市)
鋼材の購入先
(株)スズヤス(東京都中央区)
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(1)(株)日立製作所(エレベーターの製造者)
- 当該エレベーターの製造委託を開始した際に,弊社として「(株)内原電機製作所の鋼材受入検査時の鋼種チェック方法、また定期的にミルシートを入手して鋼種確認が実施されているか」の確認・指導が不足していた。
- 弊社は協力会社に対し定期的に品質監査を実施し、設計・製造工程の改善を指導しており、鋼材については、ひも付き契約※3で購入した鋼材の使用を基本とし、更に顧客から要求があった時はミルシート入手を行ってきた。しかし、本件の場合は、少量使用のためひも付きでの購入となっておらず、また該当の期間に顧客からのミルシートの提出要求がなくミルシートを入手していなかった。
※3 |
ひも付き契約:最終ユーザーが確定しており、ユーザーが要求する仕様(規格、精度、強度等)に合わせた鋼材を鉄鋼メーカーに発注する。数量・価格・品質等が長期
安定的な取引契約 |
(2)三菱電機(株)(エレベーターの製造者)
- エレベーター一式を一括製造委託(OEM)しており、鋼種については(株)内原電機製作所に管理を一任していた。
(3)(株)内原電機製作所(エレベーターの製造委託先(鋼材の購入を含む。))
- 「SPHC材」の取引について、(株)スズヤス営業担当者から弊社資材担当者に対し、口頭説明だけで書面による説明がされておらず、それを認識するまでに至らなかった。
- 鋼材の納品に際し、(株)スズヤス作成の送り状、物品受領書(納品時に持参、弊社受領印を捺印返却)の規格名欄にHOTPLと記載されていた。しかし、弊社検収担当者はこれが何であるかを確認せず、弊社発行の指定納品書((株)スズヤス担当者捺印)の仕様・規格欄に記載の「SS400材」が納品されているものと信じ指定納品書に検収捺印しており、鋼材表示が相違していることの指摘ができなかった。
(4) (株)スズヤス(鋼材の購入先)
- 注文規格と納入した鋼板の規格が異なる取引が行われた原因は、弊社茨城支店営業担当者が、納入している鋼板がSPHCであることを(株)内原電機製作所の資材担当者に口頭で伝えてはいたものの、結果として両社担当者によって鋼種確認が十分にできていなかった。
- 支店長に対する取引内容の報告とこれをチェックする仕組みが不十分であった。
- (株)内原電機製作所から当該納入期間におけるミルシートの提出要求がなかった。
- 三菱電機(株)が一部の構造材の製造を外部に委託して製造したエレベーター関係
(下記の4社の関係については別紙3参照)
エレベーターの製造者
三菱電機(株)
一部の構造材の製造委託先
名古屋精密工業(株) (愛知県小牧市)
再委託先(鋼材の購入を含む。)
(株)古田鉄工(岐阜県加茂郡坂祝町)
鋼材の購入先
(株)丸杉(岐阜県岐阜市)
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(1)三菱電機(株)(エレベーターの製造者)
- 図面で鋼種を指定し、定期的に監査を実施していたが、鋼種管理については名古屋精密工業(株)に一任していた。
(2)名古屋精密工業(株)(一部の構造材の製造委託先)
- 当該製造委託品に対する鋼材検査の管理基準を持っていなかった。
- (株)古田鉄工よりの納品時に図面指定の鋼材種類との整合確認をしていなかった。
- 取引開始時に、製造委託先の製造体質を評価確認する基準を持っていなかった。
- 図面指定の鋼材を使用するのが当然との考えで、鋼材使用に関し、製造委託先への指導をしていなかった。
(3)(株)古田鉄工(再委託先(鋼材の購入を含む。))
- 注文書に図面記載の材質を記入しなかった。
- 納入された鋼材の規格確認をしていなかった。
- SS400とSPHCの規格に関する知識がなかった。
(4)(株)丸杉(鋼材の購入先)
- 注文書に「SS400」の規格表示がなかった。(商談中に強度に関する一切の質疑応答がなされなかった。)
- 継続取引同様(在庫用)に材質「SPHC」にて1ケース(1梱包)単位納入しており、検品を経て何ら異議なく物品受領書が発行されていた。
- (株)古田鉄工が「SS400」などの鋼材規格に関する知識が無い事など全く疑わなかった。
U.再発防止策についての報告概要
- (株)日立製作所関係
製造委託先等の協力会社を含め、以下の措置を講ずることにより、鋼材の品質管理を徹底する。
(1)鋼材購入の基準の統一
- 協力会社について、構造材で鋼種を指定したものについては下記のいずれかとし、鋼材購入の基準の統一を図った。
(a)弊社が指定した鋼材販売会社からのミルシート付き購入に限定する。
(b)弊社が一括購入したミルシート付き鋼材を協力会社へ支給して使用する。
(2)協力会社における鋼材受入検査の強化
- 鋼材の取引毎、鋼材受入検査時に資材部門による注文書、納品書、送り状等に記載された鋼種のチェックを行い、併せてミルシートの内容との一致確認を行う。
(3)協力会社の品質監査の強化
- 協力会社について、取引開始時及び定期的に品質監査を実施しているが、今後はこの監査の際、「構造材で鋼種を指定したものについて、ミルシート付きでの鋼材購入が徹底されているか」「発注伝票とミルシート鋼種の一致を確認しているか」の実行確認監査を行う。
(4)資材調達・検収者の再教育
- 全協力会社の資材調達・検収担当者に対して、鋼材知識の再教育、「疑うことから始める」等、日立検査行動指針の再徹底を図る。
- 三菱電機(株)関係
製造委託先等の協力会社を含め、以下の措置を講ずることにより、鋼材の品質管理を徹底する。
(1)鋼材の購入体制の統一
- 協力会社に対し、当社が集中購入したひも付き契約材の使用、または鋼材購入にあたってのミルシートの入手を義務づける。将来的には、当社の集中購入したひも付き契約材の使用に限定する。
(2)協力会社における資材・検収体制の強化
- SS400材の納品時には必ずミルシートを入手する。
- 鋼材取引毎の注文書、納品書、送り状に鋼種を明記するとともに、鋼材受入時に現品票およびミルシートと照合する。
(3)協力会社に対する監査等
- 協力会社における管理状況を定期的に監査する。
- SS400については正しい鋼材が使用されているか抜打ち検査(強度試験)を実施する。
- 協力会社においては、当社指定の自主点検シートにより点検の上、6ヶ月毎に結果を当社へ報告するものとする。
- 材料購入先や品質管理担当を変更した場合は変更通知の提出を徹底する。
(4)鋼材に関する教育の実施
- 協力会社に対し、鋼材の種類・呼称とその違いの教育、工程内での識別や作業開始時の図面指定との照合の徹底を指示する。
(5)その他
- 弊社と(株)日立製作所が共同開発した油圧式エレベーターを共に製造している(株)内原電機製作所における再発防止策については、(株)日立製作所と協力して実施する。
V.国土交通省としての対応
- 今回報告があった関係各社に対し、報告された再発防止策に基づき、品質管理を徹底するよう指示した。
- (社)日本エレベータ協会に対し、エレベーター及びエスカレーターの製造における鋼材の品質管理に関する指針を作成するよう要請した。
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