国土交通省 Ministry of Land, Infrastructure and Transport Japan
三菱ふそう製大型トラックのハブ破断事案への対応について


 

 

 


 三菱ふそう製大型トラックのハブ破断事案への対応について
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平成19年1月18日
<問い合わせ先>
自動車交通局技術安全部
審査課リコール対策室

(内線42352)

TEL:03-5253-8111


 

<経緯>

 平成18年10月17日、鹿児島県の国道において、三菱ふそう製大型トラックの前輪の右側ハブが破断し、走行不能になるという事案が発生しました。この事案を受け、国土交通省は三菱ふそうに対し、ハブ破断原因を調査し報告するよう指示しました。
 本件について、本日、三菱ふそうから、鹿児島県でハブが破断した車両と同型の車両を含む約56,000台の車両について、準備が整い次第リコールを届け出るとの報告がありました。
 国土交通省としては、同社が早急にリコール届出を行うよう引き続き指導するとともに、届出後の改修が適切に実施されるよう引き続き同社を監視することとしています。

<報告書の概要>

1. 前輪ハブ破断・亀裂車両の調査結果
 鹿児島県で前輪ハブが破断した車両の他、現在までに、サンプリング調査で4台、重点点検で3台の計7台(いずれも鹿児島県で前輪ハブが破断した車両と同型(FU系25トン車)で製作当初からF2ハブを装着しており、平成16年のリコール対象外の車両)の車両の前輪ハブで亀裂が確認されました。このうち、1月15日に重点点検で亀裂が確認された車両を除く7台について詳細な調査を行った結果の主な内容は以下のとおり。
(1) ハブの寸法、材質等に異常はなかった。
(2) 想定を超える過積載(110%〜170%)とホイールナットの過締付け(標準締付けトルク(540〜590Nm)の1.5〜1.7倍(900〜1,000Nm))が推定された。

2. サンプリング調査・重点点検の結果
 平成18年12月28日までに受け付けたサンプリング調査119台(うち4台で亀裂確認)、重点点検729台(うち2台で亀裂確認)の車両について調査を行った結果の主な内容は以下のとおり。
(1) ハブの寸法、材質等に異常はなかった。(サンプリング調査)
(2) サンプリング調査で収集した車両の走行距離は、41〜176万km(平均112万km)、重点点検で収集した車両の走行距離は、1.4〜228万km(平均67万km)であった。
(3) サンプリング調査で収集した車両の平均経過年数は8.9年、重点点検で収集した車両の平均経過年数は7.9年であった。

3. 今回の破断、亀裂発生に対する強度検証
(1) 破断・亀裂が発生した車両7台それぞれについて、平成16年の検証手法を用い、実際に使用されていたと推定される条件(過締付け、過積載、ハブ過大摩耗)を用い検証した結果、早期に破断や亀裂が発生することが確認できた。
(2) ハブの寿命を低下させる要因の中では、ホイールナットの過締付けの影響が最も大きいことが判明した。
 

4. 検証条件及び判定基準の再検討
 今回の破断・亀裂発生に対する強度検証結果、並びにサンプリング調査及び重点点検の分析結果から、平成16年の検証条件及び判定基準を以下のとおり見直すこととした。
(1) 検証条件
@ ホイールナットの締付けトルク
   市場におけるハブボルトの締付け状況等、また、亀裂発生寿命に与える影響が大きいことを考慮した結果、標準締付けトルク540〜590Nmの約2倍にあたる1,000Nm(平成16年の730Nmの約1.4倍)で評価する。
積載量
   破断、亀裂が発生した車両について、過積載状態で運行されていることが推定されたが、全体に占める割合、その他の車両の過積載の状況が明確になっていないことなどから判断し、ダンプとカーゴ系トラックについては、平成16年と同様な条件(ダンプ150%、カーゴ系120%)を変更するまでの必要性は認められなかった。一方、トラクタ及び路線カーゴについては市場における使用方法のバラツキ等の状況を考慮し、それぞれ120%(平成16年の条件:100%)、110%(平成16年の条件:100%)で評価することとした。
(2) 判定基準
 ハブの予測亀裂発生寿命(亀裂が発生するまでの間の走行距離)について、近年の市場の状況を考慮し、カーゴ系車、バス、軽トラクタ車150万キロ、ダンプ車、重トラクタ車75万キロ、除雪車45万キロで判定することとした。

5. 検証結果及び今後の対応
(1) 今回見直した検証条件で検証した結果、今回見直した判定基準を下回る車両約56,000台(生産台数)について、最新型のハブ(F3ハブ)に交換するリコールを届け出る。
(2) なお、上記車種のうち、FU25トンカーゴトラックに含まれるディスクブレーキ使用車22台(生産台数)については、平成12年度以降生産を中止しており、また、構造上F3ハブを装着できないことから、上記の市場措置の届出後3ヶ月以内に従来型ハブ(F2ハブ)の新品に交換するとともに、運行状況を注視し、継続的に車両のフォローを行う。
(3) 市場措置を開始した時点で、ハブ重点点検及び安全点検は終了するとともに、12ヶ月毎のハブ摩耗点検は廃止する。
(4) 市場措置の届出後、適正なホイールナットの締付方法等について、以下の対応を実施する。
ふそう系ディーラーに対し、ホイールナットの適正な締付けの重要性を教育し、規定の締付けトルクで締め付けることを遵守することを徹底。なお、実作業者が理解し易い教育用資料を作成し全拠点に配布する。
上記内容の徹底については、ディーラー内に展開した各拠点の拠点長又は工場長による工場内監査の項目に、ホイールナットの適正な締付方法を含めることとし、その結果を三菱ふそうで継続的にフォローする。さらに、三菱ふそうサービス技術部が各拠点における実施状況を直接監査する。
一般整備事業者及びユーザーに広く周知するため、(社)日本自動車整備振興会連合会が発行する技術情報及び三菱ふそうのホームページに、ホイールナットの締付け、ホイール接触面の点検に関する注意事項及び過積載を含む適切な使用方法等の内容を掲載する。
ふそう系ディーラーの工場へ入庫する車両のユーザーに対し、ホイールナットの締付け、ホイール接触面の点検に関する注意事項及び過積載を含む適切な使用方法等を掲載した「ふそう耳より情報」をディーラー経由で配布する。
ふそう系ディーラーに対し、営業活動の一環として行うユーザー講習等の機会を捉え、ホイールナットの締付け、ホイール接触面の点検に関する注意事項及び過積載を含む適切な使用方法について広く啓発するよう周知する。

<国土交通省の対応>

1. 国土交通省の技術的検証
(1) 提出書面類の技術的な妥当性の検証
  三菱ふそうから提出された、ハブ破断・亀裂発生車両の調査結果、サンプリング調査及び重点点検の調査結果、今回の破断・亀裂発生に係る強度検証、検証条件の再検討等に関する技術的資料(方法、考え方、実験結果等)の妥当性について検証した。
(2) 対象ハブを使用した技術検証
  今回の三菱ふそうの検証では、ホイールナットの締付けトルクがハブの亀裂発生寿命に大きく影響しているとのことから、対象のF2ハブと交換対象のF3ハブを使用して確認試験を行った。
  この試験は、摩耗条件を2種類(摩耗なし及び摩耗量1.1mm程度)設定してホイールナット締付けトルクとハブに発生する応力との関係について確認し、三菱ふそうの検討結果が妥当であることを確認した。

2. 今後の対応
(1) 同社が、早急にリコール届出を行うよう引き続き指導するとともに、届出後の改修が適切に実施されるよう引き続き同社を厳しく監視する。
(2) 三菱ふそうが行うとしている各種施策が適切に実施されているかどうかについて、立入検査の機会等を通じて厳しく監視する。

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