国土交通省 Ministry of Land, Infrastructure and Transport Japan
映像記録型ドライブレコーダーの搭載効果に関する平成18年度調査結果について


 

 

 


 映像記録型ドライブレコーダーの搭載効果に関する
 平成18年度調査結果について

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平成19年5月18日
<問い合わせ先>
自動車交通局
 総務課安全監査室

(内線41174)

TEL:03-5253-8111


 

 事故発生時の前後の走行情報(前方映像、車両速度、急加減速等)を記録する映像記録型ドライブレコーダーについては、自動車事故を未然に防止する有効な手段になり得るとして、運送事業者において導入が進んでいます。
 このような状況を踏まえ、国土交通省では、平成16年度から3年間にわたり、映像記録型ドライブレコーダー(以下、「ドライブレコーダー」という。)を事業用自動車に搭載することによる事故抑止効果やその活用方法について調査・分析を進めており、今般、平成18年度の調査結果について取りまとめましたのでお知らせします。

  1. 検討体制
     堀野定雄 神奈川大学工学部助教授を座長に、各分野の専門家をメンバーとした「映像記録型ドライブレコーダーの効果分析分科会」を設置し検討しました。(分科会メンバーについては、別紙のとおりです。)

  2. 調査方法
    (1)トラック・バス
    1  ドライブレコーダーをトラック25台、バス15台に搭載し、これまでの調査において課題となっていた軽微な衝撃に対するデータの取りこぼし防止や、連続記録した場合の膨大なデータからの効率的なデータ抽出方法について検討しました。

    2  トラック・バス事業者に対してドライブレコーダーの普及促進を図るため、事故・ヒヤリハットの記録以外の運行管理面での活用や事故予防技術への応用といった付加機能について検討しました。

    3  全国のトラック・バス事業者それぞれ約500社を対象としてアンケートを実施し、ドライブレコーダーの導入状況、利用方法、メーカーや行政に対する要望を調査しました。

    4  ドライブレコーダーの適切な導入方法・活用方法などについて調査しました。
     

    (2)その他
    1 ドライブレコーダーの普及状況の参考とするため、製造・販売会社への出荷台数を調査しました。

    2 LED 信号機の映像消滅問題について、事故記録に及ぼす影響について試算しました。

    3 昨年度搭載効果を調査したタクシー事業者について、その後の搭載効果を確認するため追跡調査を行いました。

  3. 調査結果
    (1)トラック・バス
    1  これまでの調査で使用したトリガタイプのドライブレコーダーでは、人や自動車への接触など軽微な衝撃での事故や、通常のブレーキ操作において発生する車内事故を確実に記録することは技術的に困難でしたが、トリガタイプと連続記録型ドライブレコーダーを組み合わせることで、適確に記録できることが確認されました。
    「トリガタイプ」:加速度をきっかけ(トリガ)にして映像を記録するタイプのドライブレコーダー
      「連続記録型」:常に映像を記録するドライブレコーダー

     左・トラック用ドライブレコーダー 右・バス用連続記録型ドライブレコーダー
    2  連続記録型ドライブレコーダーの走行データをASP事業者※に送り、運行管理サービスの提供を受けることで、比較的安価に車両の現在位置、走行ルート、連続運転時間等の情報を営業所で確認することができました。
     ASP:Application Service Provider 運行管理データの解析結果等を提供するサービス会社

     

    左・トラックの実証実験に使用したシステム 右・全車両の現在位置を地図上に表示

    3  連続撮影される映像を活用した走行可能領域の検出や、バスの車内事故防止のための乗客の動静警報等、画像認識技術を活用した将来的な事故予防技術について検討を行い、ドライブレコーダーの映像が事故予防にも活用できる可能性があることがわかりました。

     

    左・走行可能領域の検出 右・動領域の抽出例

    4  トラック・バス事業者へのアンケート調査への結果、事故低減効果については、ドライブレコーダー導入事業者からの回答数が少なく、統計的な検討はできませんが、概ね事故率の減少効果があるように見受けられます。

     

    導入前後の総事故車の変化
    5  トラック・バス事業者がドライブレコーダー導入の際に最適なシステムを導入するための「システム導入ガイドライン」や乗務員の安全教育に活用するための「安全教育マニュアルの指針」を作成しました。


    (2)その他
    1  製造・販売会社にドライブレコーダー出荷台数の調査を行った結果、既にハイヤー・タクシー向け103,000台、バス向け1,610台、トラック向け20,050台が出荷されており、今後も更なる普及が見込まれます。

    2  昨年度の調査において判明した「LED 信号機の映像消滅問題」について、この現象によって事故記録に及ぼす影響について試算した結果、事故記録に影響を及ぼす事故は全国で年間0.56 件程度であり、今後、メーカーから対策を講じることでさらに影響度は下がるものと思われます。

    3  昨年度搭載効果を調査したタクシー事業者について、その後の搭載効果を確認するため追跡調査を行いました。その結果、全体的には昨年度の水準を維持しているものの、個々の事業者に着目すると更なる効果を上げた事業者、効果が薄れた事業者と様々であり、効果的な乗務員指導方法を検討する必要があります。

    左・事故車の平均変化 右・同一事業者における事故車の平均変化

    4  バス事業者が懸念している車内事故を記録する際のプライバシーの取扱いについて、今後、バス事業者におけるドライブレコーダーの普及にあたり、参考になると思われる大阪市交通局の取り組みについて調査を実施し、概要をとりまとめました。

     

  4. 今後の取り組みの方向性
     平成19年度は、記録された映像を活用し、自動車運送事業者が乗務員への安全運転教育の充実を図るための方策について検討する予定です。

    なお、今回の報告書については、国土交通省ホームページをご覧下さい。
    https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/03driverec/index.html


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