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船内居住環境改善モデル設計研究会報告書について

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 船内居住環境改善モデル設計研究会報告書について

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平成20年3月12日
<問い合わせ先>
海事局運航労務課
(内線45223)
TEL 03-5253-8111(代表)

 

 

 

 

 

 報告書のポイント
  1. ILO海事労働条約において、現行より居住設備要件が強化されたことを踏まえ、平成19年度、499総トン型のベース船舶を選定し、これを対象に当該要件を満たした船舶の設計を行ったもの
  2. この結果、以下の成果が得られたところ。
    (1)  499総トン型一般貨物船(ディーゼル)については、載荷重量トン数がわずかに減少(1760DWT→1711DWT)したが、499総トン型一般貨物船の平均的なDWTは大きくクリアしたことから、条約の国内法化及び批准に向けて大きな問題があるとは認められず、本研究の所期の目的は概ね達成された。
    (2) 499総トン型SESタンカーについては、貨物容積の減少がなかった。
  3. また、関係者が協力して、来年度以降も引き続き調査研究を進めることとなった

概要

  1. 背景及び目的
      国際労働機関(ILO)では船員の労働条件に係る諸条約が整理統合され、「2006年の海事労働条約」(以下「条約」という。)が2006年2月に海事総会で採択された。本条約では船内居住環境の向上を図るため、その基準が現行より強化されているが、居住空間等の拡充は総トン数の増加となり、一部船舶については適用する船舶設備基準の変更、配乗定員の増加、海技資格の変更等が必要となる可能性がある。
      このため、本船内居住環境改善モデル設計研究では、平成19年度において、499総トン型船舶のうち一般貨物船(ディーゼル)及びSESタンカー(ケミカル)の2船型について、条約の居住設備要件を満たすことを前提として、総トン数を増加させることなく、載荷重量等船主の経済的要求にも見合った船舶の設計を目指して技術的な検討を行い、条約発効後の船舶設計情報の提供を行うことを目的として実施した。

  2. モデル設計手法
      条約の居住設備要件は、条約発効後の新造船のみに適用され、既存船への適用はない。このため、本研究では、ベースとなる船型を選定したうえで、条約の要件に則って新造設計に近い考え方で設計を行い、居住区画の配置・形状、頭上空間、型深さ、船倉構造、諸タンクの配置・形状、船底勾配等に包括的検討を加え、船主が必要とする貨物室寸法を確保することを目指した。

  3. ベースとした船舶
    (1) 499総トン型一般貨物船(ディーゼル)(二層甲板船)
    長さ(Lpp):68.00m、幅:12.30m、型深さ:7.30m、
    載貨重量トン数:1,760トン、機関出力:1,323kW
    (2) 499総トン型SESタンカー(ケミカル)
    長さ(Lpp):61.80m、幅:10.00m、型深さ:4.50m、
    貨物容積:1230m3、推進機用発電機:350kW×3台

  4. 研究の成果
     研究の結果、以下の事項が成果として得られた。
    (1)499総トン型一般貨物船(ディーゼル)
     条約の居住設備要件を適用した場合の上部構造物の増加容積を船の深さを減ずることによって吸収し499総トンを確保した場合には、1,760DWTから1,711DWTと載貨重量トン数が2.8%減ずる結果となり、条約の居住設備要件を満足しつつ、載貨重量を完全に維持するには至らなかった。ただし、499総トン型一般貨物船の平均的なDWTに相当する船舶の建造は十分可能であることが確認でき、条約の国内法化及び批准に向けて大きな問題があるとは認められず、本研究の所期の目的は概ね達成された。
    (2)499総トン型SESタンカー
     条約の居住設備要件を適用した場合の上部構造物の増加容積をトランク高さを減ずることにより吸収することができ、貨物容積についても、貨物室形状を変更することにより従前と同じ貨物容積を確保できた。

  5. 今後の課題
      以下の事項が今後の課題として提起され、関係者が協力して来年度以降も引き続き検討していくこととなった。
    (1) 499総トン型一般貨物船(ディーゼル)については、水槽試験を伴う推進性能試験等を実施することによって、水線面下形状の変更に伴う推進性能の再評価を行うなど、新型船型開発を進めていくことが有益である。
    (2) 499総トン型タンカー(ディーゼル)については、本研究会でモデル設計の対象としなかったが、限定的ながら既存船の代替需要が見込まれることから、今後、モデル設計を進めていくことも望まれる。
 


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