国土交通省
I 我が国の経済社会の変化と物流
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おわりに
 以上、述べてきたように我が国経済社会は、グローバル化、情報化の進展、少子高齢化の急速な進行、環境問題の深刻化等様々な問題に直面し、早急な構造改革を迫られており、物流分野においても適切な対応が求められている。
 特に、情報化の進展は物流分野においてかって経験したことのないほどの大きな変革をもたらす可能性があると考えられる。情報化は、単に物流業界だけの問題にとどまらず、経済社会のあらゆる局面で進行するものであり、それに対応出来るか否かが将来の日本経済の中で重要な役割を果たせるかどうかの鍵を握っていると言っても過言ではない。物流事業者においては、このような危機意識の下、本委員会の報告を参考に早急に適切な対応をとることにより、21世紀における日本経済を支える効率的な物流を構築していくことが望まれる。行政においても、物流事業者の変革への足取りが確実なものとなるよう積極的な支援を行うとともに、立ち遅れが心配される情報化時代の情報保護等のシステム作りに万全の対策を実施することが重要である。
 もう一つの大きな課題が環境問題への対応である。この問題は21世紀における日本社会のあり方について、突きつけられた大きな課題であり、単に物流だけで解決できる問題ではないが、物流を含む運輸部門が大きな責任を有していることもまた事実である。物流部門においても、自ら積極的にこの問題の解決に取り組むことが社会の一員としての責務であるとの自覚の下、積極的に対応することが望まれる。しかしながら、この問題への対応は物流事業者にとって大きな負担となることにかんがみると、その実現に向けて行政のより積極的な役割が期待される分野でもある。行政においては、物流事業者の負担増に対する支援とともに、この問題の重要性を国民全体が認識するよう努め関係者が全体として適切なコスト負担を行うことを可能とするような施策を講ずることが重要である。  本委員会の報告には、これらの問題以外にも国際化への対応等将来の物流の様々な課題に対する基本的な方向について記述してある。物流事業者において、これらの考え方を参考に積極的に自己改革を進め、21世紀における「3e物流」を構築することの一助となれば幸いである。
 21世紀当初には、運輸省が国土交通省になる等の中央省庁改革が予定され、省庁間の連携による総合的な行政の実施が期待されている。中でも、物流政策は、関連する行政施策が多岐にわたる典型的な総合施策であり、従来にも増して関係省庁間の連携と一体的な施策の実施が期待される。また、物流は環境問題をはじめとする地域とのつながりが今後一層重要となり、地方自治体の果たす役割も重要性を増すことが予想され、国、地方が一体となった物流行政が実施されるよう組織のあり方、連携のあり方について早急な検討が求められるところである。
 なお、本委員会においては、21世紀初頭における経済社会の変化が物流に与える影響についてかなり大胆に予測を行い、その対応の方向を打ち出したつもりであるが、昨今の動きを見ると、現実の社会の動きは本委員会の予測を超えてはるかにスピードアップしているかのような思いさえ抱かせる状況にある。したがって、本報告で示されている施策の方向性についても今後の状況の変化に応じて適時適切に見直していくことが必要である。

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