1 | .観光は、人々の生活の向上や地域の発展ひいては国際相互理解の増進等様々な分野で大きな意義を有しており、単なる物見遊山として捉えられるべきものではない。すなわち、人々の生活にゆとりとうるおいを与えるとともに、地域の歴史や文化に触れ、学んでいく機会をもたらす。また、国際観光交流は国際相互理解を増進させるとともに、国際親善を深め、ひいては国際平和に貢献するものである。さらに、地域にとっては、魅力ある観光地づくりを通じて地域住民の誇りと生きがいの基盤の形成や地域活性化に寄与するものである。一方、国民経済の面から見ても、観光産業は幅広い産業を包含した産業であり、わが国経済全体に対する効果としては、生産効果約50兆円、雇用効果約410万人と算定されており、大きな経済波及効果を有するものである。 21世紀には、旧来の社会や組織から独立した自由で独創的な個人が幅広く活動する時代が到来すると思われる。経済優先から生活の豊かさへ国民の関心が移る中で、観光の振興がますますその重要性を増すことは疑いの余地がない。 他方、近年においては、産業構造の変化等による国内各地域の「まち」の停滞、急速に展開するIT(情報技術)革命、世界的に例を見ないスピードで進む少子高齢化、環境意識の高まり、グローバル化の進展等観光をめぐる経済・社会環境が大きく変動してきている。 このような近年の動きを踏まえ、我が国は21世紀初頭に向け、観光振興を国づくりの柱に据えて、誰もが「気軽」に楽しめる観光、住民と旅人とが互いに交流し合う観光、自然・社会環境と共生する観光を振興していくという基本的視点に立ち、改めて、今後の観光政策の基本的方向を捉え直し、「触れあいと活力に満ちた観光交流大国日本」を目指して各種政策を推進すべきである。 |
2 | .本答申の中に提示された諸施策を通じ、21世紀初頭において、観光の振興により国民の生活がより豊かになり、美しい国土づくり、地域おこし、地域産業の振興さらには国際親善の一層の進展に結実することを強く期待する。 本答申は、国、地方公共団体、観光産業界を含む経済界や一般国民に向けての提言であり、各位に対して観光に関する意識改革を期待するとともに、具体的な行動を要請するものである。 |
3 | .なお、本答申は、21世紀初頭をにらんで早急に検討・対応しておく必要性が大きいと思われる主要事項について、特に具体的施策の方向を示すかたちで取りまとめるものであるが、日本人海外旅行の一層の促進のための施策や、観光を通じた国際貢献・協力のための施策のように、本答申において取り上げなかった事項についても平成7年の答申の趣旨に沿って引き続き着実に推進していくことが求められる。 |
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