生活交通の確保については、これまでの需給調整規制を背景とした制度的な内部補助を前提としない新たな仕組みをつくることが必要である。その際、地方公共団体は地域の生活の足の確保や地域のまちづくりの観点から、国はナショナルミニマムの観点からそれぞれ責任を有するものであり、全体的な制度的枠組みの下にそれぞれの立場に基づいて必要な方策を適切に分担・協調して講じていくこととすること、また、今後、地方分権を推進していくという政府の方針に留意しつつ、地方公共団体がより主体的に関与していくことが適当である。
また、(i)地域の関係者が、地域の足の確保という観点から本当に必要なバス交通サービスの見極めを行い、乗合タクシーの活用、スクールバス、福祉バス等他の行政目的で提供されている交通サービスの活用等も含めた効率的な輸送形態を選択する、(ii)生活路線を運営する事業者等の経営効率化及び創意工夫を促進するような措置を講じる、といった生活交通の確保を図るための具体的な対策を講じるとともに、なお必要となる場合における公的補助のあり方については、以下2.で示す方向でその具体的措置について検討することが適当である。
2.公的補助制度のあり方
これまでの内部補助を前提とした事業者ごとの欠損補助ではなく、例えば、生活交通として確保すべきものに必要な費用を補填する運行委託的な補助を行うよう制度を見直すことが適当である。
具体的に補助の対象とする生活交通の範囲、輸送サービス水準等については、地域の実情や住民のニーズに通じている地方公共団体が主体的に判断することが適切であり、公的補助のあり方についても、地方公共団体が中心となって対応することが適当である。
このため、今後、地方公共団体における生活交通の確保の取り組みが全国的に見て一層必要となると考えられ、また、これらの取り組みに必要な地方財源の充実が課題となることから、これに見合った安定的な地方財源の手当を関係行政機関と十分検討することが適当である。
一方、国は、ナショナルミニマムの観点から維持することが適切であると考えられる広域的、幹線的な輸送サービス類型について、地方公共団体を通じて支援することが適当であり、このため、現行の地方バス路線維持費補助制度について所要の見直しを行うことが適当である。
公的補助については、その効率化を図るための枠組みを整備することも必要である。
このため、関係行政機関間のより一層の連携を図りながら、スクールバス、福祉バス等との一体的運行を促進することが適当である。また、補助金額の決定に当たっては、入札制に準じた仕組みを含む適切な方法について検討を行うことが適当である。
3.地域における取組みのあり方
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