・ | 事業遂行に当たって安全を確保する能力 (安全運行に関する事業者の知識、運行管理体制の整備等) |
・ | 事故の際の対応能力、損害賠償能力の確保 (事故時の社内体制の整備、任意保険への加入等) |
・ | 安全で安定的なサービスの提供が可能な事業基盤の保有 (車庫、車両数、運転者等) |
・ | 安全確保や利用者の保護に関する規制を遵守しないおそれがある者を事前に排除する人的欠格事由 (法令違反による一定の処分を受けていないこと) |
運賃設定は、事業経営上最も基本的な事項であり、できる限り事業者の自主性や創意工夫が尊重される制度とすることが必要である。
その一方で、乗合バスは地域住民の基本的かつ最も身近な日常生活の足となっていることや、事業の実態として地域独占的な傾向があることを踏まえると、運賃の上限の規制を行うことが適当である。また、利用者保護の観点から、特定の旅客に対する不当な差別的取扱いを防止することが適当である。
さらに、競合する他の事業者を退出させるために不当競争となるような運賃設定を防止することが必要であるが、低廉な運賃の設定は利用者にとって望ましいものであることも踏まえ、発動の要件を明確にした上で、事業者の設定した運賃について変更の指示が行える制度とすることが適当である。
3.輸送の安全の確保のあり方
運送約款に関する規制については、引き続き認可制及び標準運送約款の制定によることが適当である。なお、約款の内容については、利用実態の変化等に併せ適宜見直すとともに、約款の内容を利用者に広く周知するための方策を検討することが適当である。
また、今後は輸送サービスの多様化が進むことが想定されるが、利用者が容易に選択を行えるよう輸送サービスに関する情報を積極的に公開していくことが必要である。
5.公正な競争のあり方
新規に参入する事業者が既存の事業者から駅前におけるバス乗り場等の施設の使用を拒否されたり、共通乗車・共通カードシステムへの参加を拒まれること等により、期待されるような適切な競争が生じないおそれがある。このため、利用者の利便が損なわれることがないよう、既存事業者のこれまでの努力を適切に評価しつつ、行政が調整措置を講じる等の一定の関与を行うことを検討することが適当である。
6.事後チェックの充実
今後は行政による事後チェックが重要となってくるが、体制の強化、チェック対象の重点化等を図るとともに、客観的基準を設けてその運用の透明性を高めることが必要である。
また、行政処分の透明性及び公平性を確保するため、違反事例に応じた点数制の導入を検討することが適当である。
なお、重大な違反行為による事業停止等の処分が行われることにより地域の足が失われてしまうというようなケースについては、その際の代替措置のあり方、新たなペナルティーの方法についても検討することが適当である。
この他、事業者及び事業者団体においても、利用者からの苦情処理体制を整備・充実していくことが求められる。
7.バス利用促進等のための環境整備
バスの利用促進は、主として都市部を中心として、自動車交通量の抑制等を図り自動車事故防止に資するほか、交通渋滞の解消、環境負荷の軽減・省エネルギーの実施等が図られるとともに、ノンステップバスの導入等により高齢者等の移動制約者の移動の確保が図られる等の様々な社会的問題の解決に資するものである。
このため、需給調整規制の廃止とともに、オムニバスタウンやバス利用促進のための交通システムの整備等に対する支援、バス専用レーンや都市新バスシステムをはじめバスの走行環境を改善するための施策を関係省庁や地方公共団体との協議を積極的に進め、密接な連携を図りながら推進していくことが必要である。
8.制度の円滑な移行
今回の制度改正にあたっては、制度の円滑な実施を図るため、その実施までに一定の移行期間を設けるとともに、地域協議会を先行して発足させる等、所要の措置を講じることが適当である。
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