国土交通省
第3章 自動車関係諸税のグリーン化のあり方について
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  対象とする税目の考え方
 自動車関係諸税のグリーン化による二酸化炭素排出削減効果を検討するためシミュレーションを行ったが、その結果によれば、取得に係る税のグリーン化よりも保有に係る税のグリーン化の方が、概して排出削減効果の高いことが明らかとなった。購入時に負担する取得に係る税よりも、経常的に負担する保有に係る税の方が、消費者選択への影響が相対的に大きいことは肯ける。
 また、地球規模の環境問題に対処するためには、完全かつ包括的な体系を構築した上で対策を実施するというよりも、実施しやすいものから順に着手する方が解決の糸口を得やすいものと考えられる。この観点からも、グリーン化の対象としては、現行の自動車関係諸税の中で税額が排気量や車両重量により定められており、既存の税制のもとでも燃費とも一定の相関関係のある保有に係る税が馴染みやすい。
 なお、自動車取得税については、新燃費基準達成車に対する自動車取得税の優遇措置が平成11年度から既に導入されており、この措置の妥当性については既に社会的合意が形成されていることに鑑みて、同措置の内容を一層拡充することが望まれる。

  実施時期の考え方
 京都議定書の温室効果ガス削減目標年次が2008〜2012年であることから、自動車の平均使用年数等を考慮すると早期の導入が望ましい。しかし、導入時期を定めるに当たっては、景気の動向等をも十分に勘案する必要があり、段階的な導入法についても検討するべきである。

  自動車関係諸税のグリーン化の具体的方法
 自動車関係諸税のグリーン化は、現行の自動車関係諸税における公正の基準に、新たに二酸化炭素排出基準、すなわち燃費という環境の要素を導入する仕方により、いくつかの代替案が提案される。
 現行の自動車関係諸税は奢侈や道路損傷の度合いを公正の基準としており、燃費という環境の要素は含まれていない。
 これに対して、地球温暖化対策としての二酸化炭素排出削減の観点からは、燃費のみを課税の公正の基準とする、つまり全ての自動車の税額を燃費(この場合、1km走行する際に消費される燃料の量をいう。)のみに比例させる「完全燃費比例型」によるグリーン化が、自動車ユーザーにとってその趣旨が最も理解しやすく、アナウンスメント効果という観点からも望ましいとする考え方がある。この考え方には十分な合理性があるとはいえ、新税の創設に近く、既存の自動車関係諸税に導入することは、各税の創設時の経緯等を踏まえた税の目的や趣旨を変更することになる。
 この方式と現行税制との中間に、次のような二通りの案がありうる。
 一は、現行の公正の基準を維持しつつ、単一の基準となる燃費(基準燃費)を設定し、全ての自動車のクラスにわたって、基準燃費より燃費の良い自動車には現行の税額から燃費に応じた一定額を軽減し、より燃費の悪い自動車には現行の税額に一定額を付加する「付加・軽減型」により行うもの。これは、基準燃費の取り方によっては、大型車に付加額、小型車に軽減額が偏在することとなり、車種間のアンバランスが大きくなる反面、二酸化炭素削減効果は高い。
 二は、現行税額のクラスに応じた差を配慮しつつ、同一クラス内の車両については「完全燃費比例型」の概念を取り込んで傾斜をつけるもの。これは、二酸化炭素削減効果は「付加・軽減型」に比べて小さいが、同一車両クラス内で増減税が生じるため、自動車ユーザーの用途に応じたニーズにも配慮した上で、同一クラス内での車種選択の移動を促すことが期待される。
 これらの案のうちいずれを採用するか、燃費に応じてどの程度の税額の差を設けるべきか等の具体的なグリーン化の方法については、今後、国において更なる検討が行われるべきである。
 また、自動車の燃費としては、燃費基準に用いられるものとして、エネルギーの使用の合理化に関する法律に基づく燃費値を用いることが適当であるが、並行輸入車、構造・装置が変更された車等の型式指定車以外の自動車については、それぞれの自動車の燃費値が測定されていないので、その取扱いにつき国において十分に検討する必要がある。
 なお、車両総重量2.5t超の貨物車については、現在、燃費基準及び燃費測定方法が定められていない。従って、当該自動車に係るグリーン化の具体的な実施内容については、その燃費測定方法が定められ、燃費基準に検討が加えられた後に検討する必要がある。

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