国土交通省
VIII 終わりに
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 港湾運送事業は、戦後一時期大きな混乱の時代を経験したこともあり、その安定化が重要視された結果、ややもすると他産業と比べ、その近代化、効率化に遅れを取ってきた面があることは否めない事実であると考える。
 しかし、戦後の経済発展に大きな役割を果たした様々な制度が、日本経済の成熟等時代が大きく変化するなか、21世紀に向け抜本的に見直されつつある現在において、港湾運送事業に関する制度だけが今のまま変わらないということは許されない状況となっている。
 昨今の日本の物流の変化や近隣アジア諸港の港勢の著しい伸長をみると、このまま手をこまねいていると港の関係者全員が共倒れになるおそれがあるとの指摘も、あながち否定できない重みを持っている。今こそ、一時の痛みは伴うが、規制緩和により競争原理を導入して、心機一転、港湾運送事業の構造改革に果敢に取り組んでいくことが是非とも必要であり、また、その結果として、最終的に規制緩和の果実が、事業者や労働者を含めた港の関係者全員のものになると信ずるものである。
 港湾運送事業の規制緩和については、過去からの様々な歴史的経緯もあり、本審議会の議論を進めるに当たって、意見が対立し、合意形成が難しかった点が多々あったことも事実である。そういった意味で、本答申により、あくまで港湾運送事業の構造改革の第一歩が踏み出されたととらえるべきであり、今後、関係者のたゆまざる努力により、改革を継続していくことが必要と考える。
 本答申が道しるべとなり、21世紀に向け、港湾運送事業が時代のニーズに応え大きく生まれ変わっていくことを切に望むものである。

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