航空

全日空608便のブリード・システム故障事案

平成13年9月19日公表

(1)概 要

 平成13年6月5日、全日空の宮崎空港発東京国際空港行きのエアバス・インダストリー式A320型機は和歌山県串本市の西方を飛行中、2系統あるブリード・システムが相次いで停止し、客室の気圧高度が上昇したため、目的地を名古屋空港に変更して着陸した。航空機の損傷や人員の負傷等はなかった。


(2)航空局の調査結果

 ブリード・システムについて調査を実施した結果、No.1ブリード・システムはブリード温度を保持する部品(TCT)の機能の劣化によりブリード温度が上昇し、安全装置が作動する温度限界に達して停止したものと推定。No.2ブリード・システムについては、同様にブリード温度を保持する部品(TCT)の機能劣化によりブリード温度が規定温度を超過し安全余裕が少なくなっていたことに加えて、先に停止したNo.1ブリード・システムの機能を補うために2つの空調装置への空気の供給を行ったところ、ブリード温度が上昇し、安全装置が作動する温度限界に達し、停止したものと推定される。


(3)航空局の対応

 航空局は当該型式航空機の使用者に対し、同系列型のA320/A321型のブリード・システムについて、温度の不安定なもの及び温度の高いものはTCTを取卸すこと、当該TCTに関して製造者が提案する最新の改修を行うこと及び使用時間毎にオーバーホールを行うよう整備の方法を変更すること、並びに運航乗務員に対して本件の事例周知を行うこと等の措置をとった。なお、航空局は再発防止対策について航空機製造者に調査結果を通知して検討を依頼した。



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