地方振興

平成26年度における地域づくり活動支援体制の活動内容について

 平成26年度地域づくり活動支援体制整備事業において採択された9つの地域づくり活動支援体制に対して、それらの中間支援活動内容についてとりまとめたほか、各体制に共通するポイントや留意点についても記載しました。

1.中間支援活動内容のとりまとめ

 9つの地域づくり活動支援体制について、地域づくり活動支援体制が行う中間支援活動の参考となることを目的として、支援対象の成果や地域づくり活動支援体制としての成果・課題を把握するとともに、取組の中で見られた工夫や取組が上手く進んだポイントなど、中間支援のポイントを整理しました。また、中間支援の活動プロセスごとに、支援対象が持つ課題や活動内容、中間支援における課題と対応、成果・効果の整理を行いました。
 

各団体の活動内容・成果とりまとめ
 
※各団体のタイトル、事業概要、主な構成主体、支援対象、実施体制、取組内容、中間支援の活動プロセスにおける課題と対応、中間支援のポイント、支援対象の成果、地域づくり活動支援体制としての成果と課題、地域づくり活動支援体制としての今後の展望について、とりまとめました。
 
                              道南食と観光クラスター型6次産業化推進協議会
                              峡南地域活動支援協議会
                              七尾留学推進協議会
                              静岡県西部地域づくり活動支援協議会
                              「駅と駅を結ぶ物語」実行委員会
                              ポザーダ・ジャパン推進協議会
                              かみかつ棚田のめぐみ活用会議
                              綾ユネスコエコパークまちづくり協議会
                              沖縄市地域づくり協議会

2.共通するポイント・留意点

 地域づくり活動支援体制へのヒアリング調査の結果などから、各体制の中間支援の活動プロセスにおけるポイントや課題を抽出し、整理しました。その上で、体制間で共通するポイントや留意点等として、整理を行いました。抽出・整理の結果は、以下のとおりです。
 
 中間支援の活動プロセスにおけるポイント・留意点 一覧表
 
(1)取組の背景・動機
<共通する課題>
・高齢化、人口減少による担い手不足、地場産業の衰退
 高齢化や人口減少が進む中、生産年齢人口の減少により、地域の産業の担い手不足が深刻化している。また、空き家・空き店舗が増加し、地域産業の衰退が顕著となっている点などが、いずれの体制も抱える地域の課題となっている。
 
・地域づくり活動のとどまり
 地域資源を活用した商品開発や販路開拓など、地域の活性化に向けた活動はこれまでも行われてきているが、地域毎・組織毎の個別の活動にとどまっていたり、売上が停滞したりなど、地域ブランド構築、地域の魅力発信で強みを出せていない状況が見られる。
 
<共通するポイント>
・活動の一定レベルの積み上げ
 いずれの地域においても、これまでも地域資源を活用した活動が進められており、その活動は一定程度の成果が見られている状況である。それらの実績・成果を活かし、より一層の活動の展開を図ろうとする姿勢が各体制に共通している。
 
・豊富な地域資源の活用の可能性
 各地域には、それぞれの地域の特性に応じた豊富な地域資源が存在しているが、それらを有効利用できておらず、また有効利用するために必要な人材が不足しているなどの現状がある(がごめ昆布の活用【道南食と観光クラスター型6次産業化推進協議会】、棚田の活用【峡南地域活動支援協議会、かみかつ棚田のめぐみ活用会議】など)。これらの地域資源を掘り起こし、活用することで、新たなビジネスの創出につなげていく必要があることは、各体制の共通認識として捉えられている。
 
・観光地としてのブランドを活かした今後の展開
 観光地としてのブランドがすでに確立されている地域においては、多く訪れる観光客に対しての訴求も、今後の活動の展開にあたって重要なポイントである。
(年間400万人程の観光客(うち1割が外国人観光客)【道南食と観光クラスター型6次産業化推進協議会】、100万人を超える観光客【綾ユネスコ エコパークまちづくり協議会】)

(2)体制構築のきっかけ
<共通するポイント>
・既存のネットワークを活用して、構成主体と連携
 各体制においては、各構成主体と協定を結んでいたり、同じ協議会や研究会に参画していたりするなど、これまでに地域づくり活動を行う中でネットワークが形成されており、今回の体制の構築にあたっては、その既存のネットワークを有効に活用して構成主体との連携が構築されている体制が多くみられる。
(平成21年度より協議会を設立し事業を実施【七尾留学推進協議会】、地域資源活用研究会に公益財団法人浜松地域イノベーション推進機構、浜松市、湖西市が参画【静岡県西部地域づくり活動支援協議会】など)
 
・豊富な実績を保有する構成主体が連携
 各構成主体は、それぞれが担う役割に関して、本来業務としてサービスを提供したり、そのノウハウ・専門性を活かして地域づくり活動に携わるなど、これまでに豊富な実績を有している主体が多い。今回の体制の構築にあたっても、その豊富な実績に基づき、構成主体間での信頼関係が確立されていることから、円滑な体制構築が図られている。
(ホテル・レストラン事業者のバリューマネジメント株式会社・ICT・マーケティング支援を担うシナジーマーケティング株式会社【ポザーダ・ジャパン推進協議会】、デザイン協力等を行う一般社団法人てるはの森の会、事業計画策定等の人的協力を行うNPO法人宮崎文化本舗【綾ユネスコ エコパークまちづくり協議会】など)
 
・発案者の存在
 各地域のキーマンとなる人物が本事業への参画を発案し協議会を立ち上げたり、事務局となる主体へ提案を持ちかけた経緯を有する体制が多くあり、体制の構築にあたり、発案者の存在が大きなポイントとなっている。
(北洋銀行による本事業の紹介【道南食と観光クラスター型6次産業化推進協議会】、NPO法人富士川・夢・未来の理事長による提案【峡南地域活動支援協議会】、株式会社御祓川の森山氏が中心となり、協議会の立ち上げを呼びかけ【七尾留学推進協議会】)
 
・ノウハウ・スキル豊かなコーディネーターの存在
 豊かなノウハウやスキルを有するコーディネーターの協力・支援により、各構成主体への参加呼びかけや協力団体への依頼が円滑に行われた。外部の協力機関における強力なコーディネーターが、体制の構築に一役買っていることも重要なポイントである。
(リボルブの鮫島氏が協議会の構築を一般社団法人ファイブアローズの森氏へ打診【沖縄市地域づくり協議会】)
 
・有益な情報をタイムリーにキャッチするアンテナ力
 本事業の実施以前より、支援対象への支援を継続して行っていたり、地域づくり活動の推進に向けた協議会の設立を検討していたりするなど、自主的な取組を実施していた中で、本事業の存在を知り応募に至った体制が多くみられる。自身の活動を行う中で有益な情報をタイムリーにキャッチすることのできるアンテナ力も、体制の構築にあたり必要な要素と考えられる。
(農畜産物の開発に関する協議の場づくりの提案、工業製品の開発や販路開拓に関する相談などを以前より受けていた【静岡県西部地域づくり活動支援協議会】、エコパーク推進に向けた協議会設立を予定していた時期に、本事業を知り、事業のスキームに沿った協議会を構築【綾ユネスコ エコパークまちづくり協議会】)
 
・金融機関の積極的な関わり
 融資や事業計画に関する助言等に加え、バイヤー・商品デザイナー等の紹介、商談会出展の補助や創業・企業に関する助言を行う等、取組に積極的な関わりを持つ金融機関は、体制構築や運営においてキーとなる役割を担っている。
(商品開発アドバイス、バイヤー・商品デザイナー等の紹介、商談会出展補助等の支援を行う北洋銀行【道南食と観光クラスター型6次産業化推進協議会】、融資や事業計画、創業・企業に関する助言を行うのと共栄信用金庫【七尾留学推進協議会】)

(3)支援対象の選定
<共通する課題>
・地域活動のある一定の枠を超えられない担い手
 これまでも各地域でそれぞれ地域づくり活動に取り組んできた担い手が支援対象として選定されているが、その支援対象の多くは成長段階にある場合が多くなっている。地域の特産品の開発やその販売手法など、地域の特性を生かした取組を独自に行っているが、地域内での活動にとどまっていたり、販売数が伸び悩むなど、一定以上の成果が表れていない状況にある担い手に対し、成長を促す支援を実施する方向性がみてとれる。
 
<共通するポイント>
・各支援対象のやる気、意識の高さ
 課題意識が高く、同じ目的に向けて取り組む意欲の高い担い手を支援対象としている体制が多く、担い手のやる気、意識の高さが支援を検討する際のポイントとなっている。
(福井市のビジネスプランコンテスト受賞のchobit、障害者を雇用するレストラン・地産地消型の農園を運営するここる【「駅と駅を結ぶ物語」実行委員会】、うまみんパートナーである古民家こずえ、インターン受入実績のある釶打地区【七尾留学推進協議会】)
 
・以前からの支援実績、関係性の有無
 以前から支援を行っていた、相談を受けていた等、実績や関係性を有していた経緯から、事業の立ち上げ時点ですでに支援対象を含めた事業スキームができていた体制が多くなっている。
(がごめ連合、フードカンを以前より支援【道南食と観光クラスター型6次産業化推進協議会】、以前よりコラボレーション企画を推進する中で、支援を決定【峡南地域活動支援協議会】など)

(4)商品企画・開発
<共通するポイント>
・専門的知見を活かしたアドバイス
 大学や民間事業者など、専門的知見を有する構成主体が、専門家の紹介や情報提供、助言を行った体制が多く見られた。ともすればサービスや商品の開発だけに注力してしまいがちな支援対象に対し、事業全体を見渡した広範な視点からのアドバイスが有益であった。
(北海道大学による、専門的知見を活かしたアドバイスや専門家の紹介、情報提供【道南食と観光クラスター型6次産業化推進協議会】、オリジナル料理の開発において、専門家のアドバイスを受け、ブランドイメージの検討に時間を費やした【「駅と駅を結ぶ物語」実行委員会】、民間事業者の実践経験に基づいた専門的な助言【ポザーダ・ジャパン推進協議会】など)
 
・関係者間での話し合い
 複数の体制においては、商品企画・開発の検討段階で、構成主体を始め外部の協力機関や地域住民等も含め、関係者間で話し合う場やヒアリングの場を設け、活動の理念やコンセプトなどについて協議を行っている。活動に対する考え方を共有した上で、得られた意見をもとに商品の方向性の決定、試行などを実施している。
(静岡県西部農林事務所、セミナーに参加した自治体、竹林利用者、森林組合で話し合いを行った【静岡県西部地域づくり活動支援協議会】、地域の関係者や一般市民を参加者としたコンセンサス会議を開催【「駅と駅を結ぶ物語」実行委員会】、個別聞き取り方式による連携の項目や課題、懸念等の把握・分析(関係者アセスメント)【かみかつ棚田のめぐみ活用会議】)

(5)デザイン
<共通するポイント>
・地域をよく知る専門家のアドバイス
 商品開発におけるデザインについては、地域の商品デザインに関わっている専門家を招きアドバイスを受けたり、地域で活動実績のあるNPO・市民団体がデザイン事務所とのコーディネートを行うなど、地域をよく知る人物がデザインに携わっている体制が多く見られた。その結果、地域特性を活かしたパッケージ等のデザインが特徴的な商品が多数開発されている。
(ギフト商品開発において、地域の商品デザインに関わる専門家によるアドバイスを実施【道南食と観光クラスター型6次産業化推進協議会】、NPO法人宮崎文化本舗、一般社団法人てるはの森の会(活動実績のある市民活動団体)が監修し、デザイン事務所とのコーディネートを実施【綾ユネスコ エコパークまちづくり協議会】など)
 
(6)販路開拓
<共通するポイント>
・行政や金融機関がのネットワークから、販路開拓の支援を実施
 行政や金融機関が有するネットワークにより、バイヤーやアドバイザーを支援対象に紹介し商談の場を設けたり、販売ルートの確保を行うなど、販路開拓の支援を行う体制が見られた。
(渡島総合振興局、北洋銀行が、道内外の百貨店・専門店のバイヤーやアドバイザーを支援対象に紹介し、商談の場を設定【道南食と観光クラスター型6次産業化推進協議会】、募集告知・販売ルート確保等、街全体での協力体制の構築を支援【沖縄市地域づくり協議会】)
 
・地元での試食会・お披露目会の開催
 複数の体制においては、地域住民が参加可能な試食会やお披露目会を開催し、開発した商品を多くの人の目に触れる機会や食べてもらう機会を提供している。地域住民の意見を聞く場、また地域の事業者へのPRの場であり、販路開拓に向けた認知度向上につながる場として機能している。
(地域の女性を招いての試食会の開催【峡南地域活動支援協議会】、市内の有名ホテルで試食会を開催【静岡県西部地域づくり活動支援協議会】、道の駅での試食会や市内ホテル・寿司店などでのお披露目会の開催【「駅と駅を結ぶ物語」実行委員会】)
 
・アンテナショップの活用
 首都圏での販路開拓に向けて、自治体のアンテナショップで試験販売を実施した販路開拓の取組が見られた。試験販売では、消費者の生の声を吸収することができたとともに、そこで得られたアンケートの結果から、試作品の検証及び販売戦略の組み立てを行い、今後の方向性の検討にまで至っている。
(新宿南口の宮崎物産館KONNEで、みそと米の試験販売、焼酎の試飲会を実施【綾ユネスコ エコパークまちづくり協議会】)

(7)広報・プロモーション
<共通するポイント>
・マスコミの活用
 新聞社やテレビ局などのマスコミに対し、協議会から積極的に情報を提供し、取材対象としてもらう働きかけを行った体制が多く見られた。多くのイベントや活動状況を新聞やテレビなどで取り上げられたことにより、取組の認知度向上につながっている。
(イベント開催に合わせ、協議会からマスコミへ積極的に情報を発信【道南食と観光クラスター型6次産業化推進協議会】、新聞社やテレビ局に対し、積極的に働きかけ取材対象としてもらうことで、取組の認知度を向上【峡南地域活動支援協議会】、【静岡県西部地域づくり活動支援協議会】など)

・展示会等への出展・PR活動の展開
 展示会への出展やサービスエリア、空港、大学等での都市部でのPR活動により、多くの人の目に触れる機会を作り、広く取組の周知を図った体制が多く見られた。そのような場で支援対象メンバーが対応することで、営業への意識の向上や営業ノウハウの蓄積等にもつながっている。
(「こだわり食品フェア2015」(東京ビッグサイト)への出展、新東名高速道路の駿河湾沼津SAでのPR活動を実施【峡南地域活動支援協議会】、徳島空港ビル、徳島大学でのチラシ配布やパネル展示、兵庫、高松、松山、東京等でのPR活動の実施【かみかつ棚田のめぐみ活用会議】)
 
・Webサイト、Facebookの開設・運営
 新たにWebサイトやFacebookを開設し、情報発信を行ったり、既存のWebサイト・Facebookや動画サイト等を活用して、地域づくり活動や体制の活動内容について情報発信する体制が複数見られた。新たに開設したWebサイトでは、地域づくり活動をテーマに沿って記録していく形式を採用したり、クレジット決済による商品購入が可能なECサイトと連動させるなど、継続して活用可能な仕様としている点が特徴となっている。
(PRビデオの制作・You tubeでの公開【「駅と駅を結ぶ物語」実行委員会】、各プロジェクトの広報媒体として継続的に活用可能なWEBサイトを構築【ポザーダ・ジャパン推進協議会】、上勝町Webサイト・連携組織のFacebook等を通じて地元でのPR活動を実施【かみかつ棚田のめぐみ活用会議】、認証商品の購入がクレジット決済でできるECサイトと連動させ、ネット上での販路拡大に対応【綾ユネスコ エコパークまちづくり協議会】など)

(8)モチベーションの維持・向上
<共通するポイント>
・多くの関係者が携わる取組とし、モチベーションを維持・向上
 支援対象と体制のみが携わるのでなく、できるだけ多くの支援を得るよう関係者を増やすことに注力したり、関係者間での密な意見交換、地域全体で受け入れる体制づくりなど、多くの人と関わりを持つための取組を多くの体制が行っている。注目を浴びることにより、支援対象のモチベーションの向上につながったり、相談できる地域の受入体制があることでやる気や安心感につながるなど、モチベーションの維持・向上に効果のある工夫が多く取り入れられている。
(広報にできるだけ多くの支援を得て関係者が携わるようにした【道南食と観光クラスター型6次産業化推進協議会】、関係者同士の意見交換の場を密に設定【「駅と駅を結ぶ物語」実行委員会】、インターン生が周囲の大人に相談できる、地域全体での受入体制づくりに留意【七尾留学推進協議会】)
 
 
・支援対象の意識、やる気を高めるビジネスフレームの構築
 支援対象の高齢化が進んでいる体制においては、若者の参画を得るビジネスフレームの構築を行った。多くの若者の参加が活発な交流を生み、支援対象の意識の高揚、やる気の創出につながっている。
(高校生や大学生などの若者ボランティアの参画を得るビジネスフレームの構築【かみかつ棚田のめぐみ活用会議】)
 
・中間支援活動のあり方を支援対象と共有
 複数の体制においては、共に事業を行う伴走者・パートナーとしての関係の構築に留意し、主役は地域であることを伝わるよう協議を重ねたり、1つの支援対象への支援と捉えず事業全体にチームとなり取り組むことを支援対象に伝えるなど、中間支援組織としての活動のあり方を支援対象と共有することを重視する姿勢が共通している。
(【ポザーダ・ジャパン推進協議会】、【沖縄市地域づくり協議会】)

3.総括

(1)支援対象の成果
 商品開発・販売を目標に掲げた体制において、いずれの体制においても、商品開発が完了し、販売開始及び開始の目途が立つ状況に至っている。イベント等への参加者数を目標として掲げた体制においても、いずれも目標を上回る参加が得られている。
 また、次年度以降の活動のノウハウ構築を目標に掲げた体制においても、ノウハウ構築に至っている。
 いずれの支援対象においても、各体制の支援により、商品開発やデザイン、広報・プロモーション等のスキル・ノウハウを習得し、商品の完成・販売に至るとともに、活動の要となる人的ネットワークを形成するに至っており、今後も継続した活動が期待できる。

(2)地域づくり活動支援体制の成果
1)構成主体の専門性を活かした支援の実施
 行政、金融機関、大学、民間企業、NPOなどそれぞれの主体が有する豊富な経験とスキル・ノウハウ等を活かした協力体制により、アドバイザーの招聘や関係者間での役割分担が円滑に進んだ体制が多くみられた。単体では限りのある活動が、体制としてつながることにより拡充するとともに、構成主体が有する知見や経験に基づいた情報を共有することができ、体制の中での知識の向上にもつながっている。

2)支援対象との関係性の構築
 専門家によるアドバイスの場に同席したことで支援対象とともに成長した体制や、どの程度の関わり方で支援を行えばよいかヒアリングを通じて把握するなど、支援対象との関係性の構築のポイントについて、事業を通じて習得し、各体制それぞれに適した関係性を構築するに至った。

3)行政、金融機関との関わり
 行政が構成主体に加わったことで、イベントへの出店などが容易となったり、広く地域へ情報発信を行うなど、行政の機能が有効に活かされた体制が多くみられた。
金融機関についても、これまでも地域における取組でともに活動する協力関係にあったが、事業計画の策定の支援を行ったり、販路開拓に向けた専門家の紹介や事業者との契約・資金調達方法等についてのアドバイスを受けるなど、本事業ではより具体的かつ現実的な支援が実施されたことが、非常に有益であった。

(3)課題
1)関係者間の調整
 関係者間での意識の共有や意見のとりまとめに時間を要したことから、スケジュールに遅れが生じた体制も見られた。関係者間のコーディネートやコミュニケーション、さまざまな場合を想定したスケジュール管理などにより、遅滞のない事業推進を行っていくことが重要である。

2)人材の確保
 地域づくり活動や中間支援活動を継続して進めていくにあたっては、地域やその身近な範囲で取組に参加できる地域づくり人材や、専従のスタッフが必要不可欠である。育成及び雇用による人材の確保を進めていくことが必要である。

3)体制の自立
 地域づくり活動支援体制が継続して中間支援活動を進めていくにあたっては、各体制において自立をどのように捉え、体制としてその実現にどう取り組んでいくかが重要である。自立の捉え方に関しては、大きく2つの傾向や特徴が見られる。
 1つ目は、体制自体が収益を得ることを目的とせず、支援対象の自立を目的に構成主体の持ち出しにより運営を行うという考え方であり、各構成主体と支援対象との将来的な協力関係を見据えて支援活動を展開していく体制が複数見られた。支援対象の自立に向けてどのように支援を行っていくか、構成主体が共通の認識のもと同じ方向を向き取組を進めていくことが、活動の継続のポイントとなる。
 2つ目は、開発した商品の販売売上・利益を支援の対価または協力金として支援対象から得る受益者負担の考え方である。こちらも、将来的にビジネスパートナーとしてWin-Winの関係を築いていくことを見据えたものであるが、その実現に向けては、体制の自主事業によりお金が循環する仕組みの構築や、さまざまな中間支援活動が提供可能な専従人材の雇用確保が課題となっている。

 

お問い合わせ先

国土交通省国土政策局地方振興課
電話 :03-5253-8111(内線29583,29584)
直通 :03-5253-8404
ファックス :03-5253-1588
  • オーライ!ニッポン 都市と農山漁村の共生対流サイト
  • 半島をゆく

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