地方振興

平成26年度の体制のフォローアップについて

 平成26年度に事業を行った9つの体制について、その後も継続して中間支援を行っているか、新たな担い手への対応はどうなっているか、何か課題を抱えていないか等、その後の状況を把握することを目的としてフォローアップ調査を行い、共通の特徴や課題、成果等について整理しました。
 

(1)共通する課題の整理
 9つの体制の状況について、共通して見られる要素や課題等について整理を行いました。
・体制の継続、担い手の拡充
 一部、体制の活動が停止状態になっている地域が見られるものの、ほとんどの体制が継続しており、一部では体制の強化が図られたり、関連する新たな組織の立ち上げに至っているところも見られる。
 担い手支援についても、昨年度の支援対象に継続して支援を行うところが多く、さらに新たな担い手に対する支援を開始している地域も見られた。
 昨年度の取組成果がノウハウや自信となって蓄積され、対外的な評価も受けたことで、取組の更なる拡充につながっているものと思われる。
 一方で、活動資金の確保が課題となって十分な支援に至っていない地域もあり、資金確保については今後の大きな課題となっている。

・担い手の自立支援における課題
 担い手の取組熟度が高かったり、取組意識が高かったりする場合は、体制として深く支援に関わらなくても主体的に活動を行うことができるが、まだ担い手に主体性が育っていない場合(誰かが手伝ってくれるという感覚、自らリスクを取らない等)には、担い手の意識を高める部分に多くの時間と手間が必要になる。
 また、地域によっては、支援側と担い手の役割分担が曖昧であったり、担い手の活動が見えにくかったりすることがあり、担い手の自立という意味でも、地域づくり活動の見える化を図っていくことが重要と思われる。

・体制自体の周知促進
 体制自体をPRしていく意識が薄く、中間支援という性格上、いずれの体制もまだ認知度が低い状況にある。中間支援に対する認識や理解はまだ進んでいないことから、中間支援の重要性を伝えていくためにも、体制自体の周知を積極的に行っていくことが重要であり、認知度や理解が高まることで、資金調達のしやすさにもつながってくることが期待される。


(2)上手く活動が進んでいる体制に見られた特徴、成果
 9つの体制において、活動が比較的上手く継続している取組について、具体的な内容や成果等を整理しました。
・担い手の自立性の高まりや活動の広がり
 峡南の取組では、担い手の糀を使った商品化は進捗が遅れているものの、担い手の事業に対する採算性への意識の高まり、糀商品に利用する農作物の自主栽培化等、担い手の取組意識の向上や事業化に向けた意識の高まりが見られる。また、七尾の取組では、担い手である古民家こずえは地域づくり活動の核となりつつあり、地域住民等を巻き込みながら活動が広がりつつあり、中間支援の手も少しずつ離れている状況である。そして、上勝の取組では、担い手の取組が地域の注目を集め始め、様々な地元関係者から構成される情報発信の窓口的な役割を担う組織が新たに立ち上がる等、担い手の自立とともに取組の広がりも見られる。
 このように、事業終了後も担い手が継続して活動を継続、発展させているケースが見られるが、これらは中間支援側が担い手に寄り添いながら、主体性を引き出すことに重点を置いて支援が進められたことが上手く進んだ大きな要因の一つだと考えられる。

・担い手の拡大
 函館の取組では、新たにツアーを企画・運営する担い手への支援を開始しており、峡南では県の事業として新たに5地域に対する支援を始めている。また、兵庫の取組では、多くの自治体から相談が寄せられており、綾町の取組でも新たな担い手への支援が決定している。
 このように多くの体制では新たな担い手が決まっていたり、既に支援を開始していたりするものが多い。
 体制として中間支援に取り組む中で、中間支援に係る経験(成功体験や失敗体験の積み重ね)やノウハウが蓄積されたことで、担い手に対する支援体制の能力が向上したことが、新たな担い手への支援を可能にさせているところがあると思われる。

・体制の情報発信の体制づくり
 函館は、ホームページ「南北海道 美食風土記」を開設し、今年度以降も引き続き体制及び担い手に関する情報発信を行っており、七尾の取組でも、昨年度事業を通じて立ち上げた「御祓川大学」に関するホームページを構築し、継続的に情報発信を行っている。また、上勝では、Facebookを活用して、体制や担い手の取組を引き続き情報発信している。
 体制として事業に取り組んだことにより、体制自体の周知に寄与するホームページやFacebookページの開設に至ることができ、現在も継続して情報発信されている。情報発信の手段のひとつとして確立されたことは大きな成果といえる。

・体制メンバー以外の協力者の重要性
 沖縄の取組において、経営等に関するコンサルティング支援を行ったリボルブ、上勝の取組にて、事業全体の企画に対する助言や関係者のコーディネート支援を行った徳島大学、浜松の取組において、マーケティング支援に取り組んだ静岡県立大学や工業製品のデザインに関する助言を行った静岡文化芸術大学等、体制には入っていないが、専門的な立場から効果的な支援を行っているケースが多く見られた。
 これらの外部協力者による支援は、いずれも事業の進捗や目標達成に向けて効果的に機能しており、中間支援を行っていく上で、体制メンバーのネットワーク等を活用した外部協力者の存在は重要な役割を担うと考えられる。

お問い合わせ先

国土交通省国土政策局地方振興課
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