建設省都区発第四〇号
平成一〇年五月六日

都道府県及び指定都市、住宅・都市整備公団、地域振興整備公団担当部局長あて

建設省都市局区画整理課長通知


土地区画整理事業による個性ある街づくりの推進について

土地区画整理事業による個性ある街づくりの推進については、昭和六二年五月二六日付け建設省都区発第三二号区画整理課長通達をもって通知しているところであるが、同通達に基づく「ふるさとの顔づくりモデル土地区画整理事業」の実施等を通して各地区における市街地整備の水準の向上が図られるとともに、住民参加による事業の推進方策も普及してきており、個性あるまちづくりについては一定の成果が得られたと考えられる。
その結果、個性ある街づくりのために必要な公共施設整備については、一般的な事業においても積極的に対応することが可能になっている。
一方、市街地整備への要求も機能性のみならず利便性、安全性、快適性等へと従来以上に多様化の様相を呈しており、さらに中心市街地を生活や経済活動の場として再生・再構築することが求められていることから、個性ある街づくりの推進について一層の積極的な取り組みが必要になっている。
このため、今後は、左記の推進方策を講ずること等によりその推進に努めるようお願いするとともに、個性ある街づくりの一層の推進を図るため、その先導的事例となりうる「ふるさとの顔づくりモデル土地区画整理事業」をより広域的な観点から重点的な実施を図る必要がある事業に限定することとし、当該実施要綱を別添のとおり改めたので、貴職におかれても積極的に活用されるようお願いする。
なお、次に掲げる通達は廃止する。

・「土地区画整理事業による個性ある街づくりの推進について」(昭和六二年五月二六日付け建設省都区発第三二号建設省都市局区画整理課長通達)
(以下都道府県担当部局長あて追加)

また、この旨を貴管下市町村(政令指定都市を除く。)及び関係土地区画整理組合等にも周知徹底されるようお願いする。

(以下政令指定都市担当部局長あて追加)

また、この旨を貴管下関係土地区画整理組合等にも周知徹底されるようお願いする。

1 土地区画整理事業による個性ある街づくりの推進方策

土地区画整理事業においては、引き続き地域の発意と創意に基づく個性的で魅力ある市街地形成を促進し、もってうるおいのある生活環境の創造及び地域経済の活性化に配慮した事業を実施する必要がある。このような個性ある街づくりを行うため、施行者又は地方公共団体が推進すべき方策として次のようなものが考えられる。
(1) 専門家や住民等の参加による事業推進

施行地区内の権利者、関係地方公共団体、商工会議所、住民団体等の代表者、街づくりに関する学識経験者や土地区画整理士等の専門家等により構成される「街づくり委員会」(仮称)等を設置し、地域の歴史、文化、自然環境等を尊重した街づくりについて検討を行う。

(2) 個性ある街づくりのための計画策定

街づくりに対する多様な意見を調整し、それらを具体的に公共施設の配置、土地利用、景観形成等に適切に反映させるため、街づくりのための計画を策定する。

(3) 質の高い公共施設の整備

道路、公園、広場等の公共施設については、広く都市住民に利用される施設であることから、土地利用と一体となって良好な都市景観を形成しうるデザインを採用する。

(4) 換地操作の活用等

地権者の土地利用の意向や共同化の意向に配慮した換地操作を計画的に行うことにより、計画的な土地利用の誘導を図るとともに、良好な都市空間の形成を図る。
また、歴史的建造物や地域の人々に親しまれている樹木等地域の歴史・文化・自然環境については、換地設計に当たってそれらを積極的に都市景観の構成要素として取り込み、良好な都市景観の形成に努める。

(5) 建築物整備事業の活用

地区内において市街地再開発事業、商店街近代化事業等を実施することにより良好な建築物の早期建設を促進する。

(6) 地区計画等の活用

道路、公園等の地区施設、建築物の用途、壁面位置、形態、意匠等を地区計画、建築協定等でコントロールすることにより、良好な都市空間の維持・形成を図る。

(7) 街づくり活動への支援

伝統的建築物群等の保存、建築協定や緑化協定等による良好な環境の維持等、地区内の住民等の一丸となった街づくりを誘導するため、住民等による街づくりのための活動を支援する。

2 個性ある街づくりに対する支援措置

1に掲げた推進方策に対する支援措置として、次のような制度の活用が考えられる。
(1) 街づくり委員会等の設置・運営に関して、土地区画整理事業調査費補助制度(「土地区画整理調査要綱」(平成一〇年一月二二日付け建設省都区発第二号)による土地区画整理事業調査費補助制度をいう。)及び土地区画整理補助事業制度(「土地区画整理補助事業の執行について」(昭和五〇年一一月一日付け建設省都区発第四六号)による土地区画整理補助事業制度をいう。)を活用する。
(2) 地域の特性に応じたカラー舗装、照明、並木、ペデストリアンデッキ、電線の地中化等の整備について建設省及び地方公共団体が施行者に対して積極的に技術援助等を行うとともに、それらの整備について、土地区画整理補助事業制度を活用する。
(3) 公益的施設や店舗等の生活利便施設を計画的に誘致するため、土地の先買いに対する起債制度である市街地形成促進対策事業制度を活用する。また、公益的施設の整備に、日本開発銀行融資(街なか生活・交流都心づくり事業)、NTT無利子融資(Cタイプ…市街化促進中核施設)を活用する。
(4) 優れた都市生活空間の形成を図る地区については、街並み・まちづくり総合支援事業を活用する。


別添

ふるさとの顔づくりモデル土地区画整理事業実施要綱

第1 目的

この要綱は、都市を創造する都市住民の提案と参加により地域の歴史・文化・自然環境を尊重しつつ地域の活性化を推進する個性ある都市空間を形成する土地区画整理事業の実施に必要な事項を定めることにより、当該土地区画整理事業を推進し、もって、うるおいのある地域社会の形成と地域経済の活性化に寄与することを目的とする。

第2 定義

1 この要綱において「地域の顔」とは、土地区画整理事業の施行地区内における次のいずれかの区域をいう。

(1) 地域の活性化の核となる公共施設、公益施設又は商業施設が集中し、地域の核としてふさわしい都市空間の形成を図るべき区域。
(2) 良好な景観形成に対する地権者の意識が極めて高く、まちづくりのための活動が行われており、土地利用に合わせた良好な景観を形成する公共施設の整備が必要とされる区域。

2 この要綱において「顔づくり計画」とは、地域の顔の整備の指針となる基本的事項を定める計画をいう。
3 この要綱において「モデル地区」とは、この要綱に定めるところにより指定される土地区画整理事業の施行地区をいう。
4 この要綱において「モデル事業」とは、この要綱の定めるところに従いモデル地区において施行するふるさとの顔づくりモデル土地区画整理事業をいう。

第3 モデル地区の指定の申請

モデル事業を実施しようとする土地区画整理事業の施行者(同事業を施行しようとする者を含む。以下「施行者」という。)は、原則として事業計画の決定後六ケ月以内に、地域の顔の整備の概要を記載した予備調書(様式1)を本省に提出することにより、モデル地区の指定の申請を行うものとする。この場合、施行者が都道府県又は政令指定都市以外(以下「市町村等」という。)のときには、都道府県(政令指定都市を含む。以下同じ。)を経由して行わなければならない。
ただし、「土地区画整理補助事業の執行について」(昭和五〇年一一月一日付け建設省都区発第四六号。以下「補助通達」という。)別紙第一の公共団体等区画整理補助事業実施要領に基づき国庫補助金の交付を受ける住宅・都市整備公団については、都道府県を経由しないものとする。

第4 モデル地区の指定

1 モデル地区の指定は、次の全ての要件を満たす場合に行うものとする。

(1) 個性ある都市空間の創造を推進する必要性が高いこと。
(2) 先導的に整備する効果が顕著であると認められること。
(3) 第9の(3)の規定に基づく実施計画の協議までに、地域の顔として整備する区域について都市計画法第一二条の五に規定する地区計画が定められる予定であること。

2 モデル事業の実施にあたり、第5から第8の規定が守られていない場合は、特段の事情がある場合を除き、モデル地区の指定を取り消すものとする。

第5 顔づくり計画の作成

1 施行者は、モデル地区の指定を受けた場合には、速やかに顔づくりの計画の作成に着手するものとする。
2 顔づくり計画には、地域の顔の整備の基本方針、土地利用計画、景観形成の方針、公共施設、公益施設等の整備方策及び景観形成の誘導方策等を定めるものとする。
3 施行者は、顔づくり計画の策定に当たり、施行地区内の権利者、関係地方公共団体、商工会議所、住民団体等の代表者、街づくりに関する学識経験者や土地区画整理士等の専門家、その他の関係者の意見を聴き、その意見を尊重するものとする。

第6 顔づくり計画の要件

顔づくり計画は、次に掲げる要件を満たすものでなければならない。
(1) 地域の顔として整備する区域が明確にされていること。
(2) 地域の顔として整備する区域については、歴史・文化・自然環境を尊重しつつ地域の活性化を推進し、個性ある都市空間を創造するために必要な公共施設の整備が計画されていること。
(3) 地域の顔として整備する区域については、住宅その他の建築物が公共施設及び公益施設等と一体となって良好な居住環境を形成するよう誘導するため、以下の項目について定めた地区計画(未決定の場合にはその案)を掲載すること。

1) 建築物等の用途の制限
2) 建築物等の形態又は意匠の制限

(4) 都市景観の維持・形成のための役割分担や今後の地域住民による街づくり活動について計画されていること。

第7 顔づくり計画の公表等

1 施行者は、顔づくり計画を作成した場合には、これを公表するとともに、必要な事業計画の変更を行うものとする。
2 施行者は、公表された顔づくり計画を本省に提出するものとする。この場合においては、第3後段の規定を準用する。また、第9の(3)の規定に基づく支出調書に係る協議を行う場合には、顔づくり計画を当該支出調書に添付して提出するものとする。

第8 モデル事業の実施

施行者は、顔づくり計画に基づきモデル事業を実施するとともに、関係する地方公共団体においては、モデル事業を実施するために必要な財政支援や広報活動等各種方策を講ずるものとする。

第9 国庫補助の取扱い等

1 施行者が補助通達別紙第一の公共団体等区画整理補助事業実施要領に基づき国庫補助金の交付を受ける者又は補助通達別紙第二の組合等区画整理補助事業実施要領に基づく国庫補助の対象となる都道府県の補助を受ける者である場合においては、当該補助事業を次のとおり実施するものとする。

(1) 顔づくり事業については、事業の重点的実施を行うものとする。
(2) 顔づくり計画の作成に必要な費用については、国庫補助(換地諸費)の対象とすることができるものとする。
(3) 高品位の舗装、植栽等モデル事業の実施のために特に必要となる費用については、施行者が補助通達別紙第1の公共団体等区画整理補助事業実施要領に基づき国庫補助金の交付を受ける者である場合は施行者が、施行者が補助通達別紙第二の組合等区画整理補助事業実施要領に基づく国庫補助の対象となる都道府県の補助を受ける者である場合は都道府県が、それぞれ「土地区画整理補助事業の実施細目について」(平成一〇年一月二二日付け建設省都区発第一号。以下「実施細目」という。)別紙第一の公共団体等区画整理補助事業実施細目に定める実施計画の協議の際又は実施細目別紙第二の組合等区画整理補助事業実施細目に定める実施計画の協議の際、ふるさとの顔づくり支出調書(様式2)を併せて提出し、本省と国庫補助の対象範囲について協議するものとする。

2 街なか再生土地区画整理事業等についても、本省と国庫補助の対象範囲について協議するものとする。

附 則

1 この要綱は、平成一〇年五月六日から適用する。
2 従来の「ふるさとの顔づくりモデル土地区画整理事業実施要綱(昭和六二年五月二六日付け建設省都区発第三二号「土地区画整理事業による個性ある街づくりの推進について」別添をいう。)の規定に基づいて行われたモデル地区の指定は、本要綱に基づくモデル地区の指定と見なす。この場合における本要綱の適用にあたっては、個別に協議するものとする。



<別添資料>



(様式2)
<別添資料>


All Rights Reserved, Copyright (C) 2003, Ministry of Land, Infrastructure and Transport