当専門委員会においては、最近になり、一部の鉄骨造建築物の加工・施工をめぐって鋼材の品質、鉄骨の溶接及び検査の実態等について建築物の安全性に関わりかねない事態等が発生し、各方面からも問題点の指摘が続いていることに鑑み、これらの問題点を解決し、鉄骨造建築物の適正な品質の確保を実現するための方策の検討を行ったものである。
当専門委員会においては、鉄骨造建築物の品質確保に当たり、工事監理者である建築士の責務の重要性を指摘している。この指摘を踏まえ、今後、鉄骨造又は鉄骨鉄筋コンクリート造の建築物の確認の時点で、建築基準法第一二条第三項の規定に基づき、当該建築物の建築主に対し、下記により施工状況報告書を提出するように指導されたい。
1 対象建築物
原則として、三以上の階数を有し、又は延べ面積が五〇〇平方メートルを超える建築物。
2 施工状況報告書の提出を求める者
対象建築物の建築主。ただし、国、都道府県又は建築主事を置く市町村が建築主である場合を除く。
(ただし、工事監理者が建築主からの依頼により代行して提出することは差し支えない。)
3 施工状況報告書を作成するべき者
対象建築物の工事監理者
(必要に応じて、工事の施工者等の協力を得て作成して差し支えない。)
4 報告の時期
鉄骨工事終了時又は建築主事等が予め指定する時期
5 施工状況報告書の内容
(1) 構造耐力上主要な部分に使用した鋼材の種類及び部位
(2) 鋼材の製造者
(3) 鋼材の流通経路等
(4) 鉄骨加工の状況
(5) 鉄骨溶接加工に関する検査を行った者の住所・氏名及び検査結果
(6) 工事現場における鉄骨工事の状況
(7) その他建築主事等の指定する内容
6 施工状況報告書の中で提出を求める書類
(1) 鋼材の品質証明書(写)
(2) 鋼材の流通経路を示す書類
(3) 昭和五六年建設省住指発第二二〇号に示す溶接工事作業計画書又は溶接の作業方法の条件が昭和五六年建設省告示第一一〇三号第二号に該当するものであることを証明する書類
(4) 鉄骨の溶接加工に関する検査結果概要(ただし、検査を依頼した者と検査を行った者の住所及び氏名を記載したものとし、原則として鉄骨加工業者が自ら行った検査の結果及び検査会社が鉄骨加工業者との契約に基づき行った検査の結果に係るものを除く。)
(5) 工事現場における鉄骨工事に関し実施した検査項目及び検査の結果の概要を示す書類並びに工事の実施状況を示す写真等
(6) その他建築主事等の指定する書類等