平成15年度観光の状況に関する年次報告
はじめに
平成15年1月に小泉内閣総理大臣が施政方針演説で,約500万人にとどまっている訪日外国人旅行者数を2010年に倍増させることを目標とするという方針を示して1年余が経過した。
この間政府は,観光立国懇談会を開催し,観光立国としての基本的なあり方を示した報告書を得た。報告書では,「住んでよし,訪れてよしの国づくり」という副題にも表れているように,観光の原点はただ単に名所や風景などの「光を見る」ことだけではなく,一つの地域に住む人々がその地に住むことに誇りをもつことができ,幸せを感じられることによって,その地域が「光を示す」ことにあるとしている。そして多くの外国人に訪れてもらうため,日本の魅力を確立し,日本ブランドを発信するとともに,外国人が訪れやすく,また快適に旅行できるような環境づくりをしていくことが重要であるとしている。
政府はこの報告書を受け,観光立国実現に向けて施策の効果的かつ総合的な推進を図るため観光立国関係閣僚会議を開催し,関係府省庁の243施策からなる観光立国行動計画をとりまとめ,これを推進してきている。
このような政府の観光立国の動き,さらには都市再生,地域再生,あるいは景観形成に係る動きに呼応するように,各地で外国人旅行者の受入れも視野に入れた観光振興の取組が行われてきている。
そして観光立国を目指し始めて2年目となった。
「平成15年度観光の状況に関する年次報告」では,第1章で観光の現状を見たあと,第2章で「観光立国,この1年の動き」を取り上げた。そこでは,1年目に政府が行った取組み,各地で行われた取組み等の紹介に多くの紙面を費やしている。これは政府の関係者はもちろん,各地域の方々におかれてもこのような具体的な事例をご参照いただき,この2年目を有意義なものにしていただくことをねらいとしている。また,第3章以下では,訪日促進を中心とする国際観光交流促進施策,国民の観光旅行促進施策,観光交流空間の形成,観光産業の振興,観光に係る安全確保対策について記述している。
より多くの皆様にお読みいただき,2年目を迎えた観光立国推進の一助とならんことを願いつつ,本報告書を観光基本法に基づき国会に提出するものである。
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