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平成15年度観光の状況に関する年次報告

第1章 観光の現状

第1節 国民の観光の動向

2 国民の海外旅行の動向



  (1) 海外旅行者数の推移

平成15年の海外旅行者数は約1,330万人となり,これは前年に比べると約323万人の減少で,対前年比19.5%減と大幅な減少となった(図1-1-5)。なお,年度でみると,15年度は約1,322万人であり,14年度と比べると20.4%の減少である。

図1-1-5 日本人海外旅行者数,訪日外国人旅行者数の推移



月別にみると,3月以降対前年比が大きく落ち込み始め,5月には56%の減を示し,その後回復傾向にあったが,長らくマイナスが続き,16年3月,ようやくプラスに転じた(図1-1-6)
この減少のタイミングからみて,主因は重症急性呼吸器症候群(新型肺炎SARS。以下,単に「SARS」という)と考えられる。特に日本人の出国先として大きなシェアを占めるアジアにおいてSARSが流行したことから,このような大幅な減少につながったものと思われる。加えて,SARSが終息した後もなかなか前年並に回復せず,SARSは日本人の海外旅行者数に深刻な影響を与える結果となったと考えられる。
なお,日本人の海外旅行者数の国際ランキングを国際比較できる平成13年でみてみると,日本の1,622万人は世界で11位であり,アジアの中ではマレーシアに次いで2位である(図1-1-7)

図1-1-6 日本人海外旅行者数の月別推移(平成15年1月~平成16年3月)




図1-1-7 外国旅行者数国際ランキング(平成13年)




  (2) 海外旅行の傾向

データがほぼ出揃っている平成14年の日本人の海外旅行の旅行先(受入国・地域統計)をみると,上位5位は,アメリカ,中国,韓国,香港,タイの順となっているが,アメリカは,同時多発テロが起きた平成13年以降毎年10%以上減の減少傾向にある。平成15年は,これまで概ね増加傾向にあった中国を始めとする主要アジア諸国が大幅な減少に転じたが,これはSARSの影響によるものと思われる(表1-1-8)。一方,ヨーロッパ諸国は平成15年の統計がまだ得られていないが,旅行会社へのヒアリングによると,ヨーロッパ方面への旅行はSARS後の回復が早く,堅調に推移したとのことである。

表1-1-8 日本人海外旅行者各国別訪問者数(受入国(地域)統計)



海外旅行者の旅行日数をみると,平成15年は前年に比べ5日以内の比率が減り,55.5%となった。これもアジア方面への短期の旅行が減少したことが影響していると思われる(図1-1-9)

図1-1-9 日本人海外旅行者の滞在期間比率推移




  (3) 海外旅行者の属性

平成15年の日本人の海外旅行者の性別構成をみると,男性は全体の57.2%にあたる761万人,女性は全体の42.8%にあたる569万人であり,男性の比率がやや増加した(図1-1-10)。平成14年からの減少率をみると,男性で約17%減,女性で約23%減であった。

図1-1-10 日本人海外旅行者の性別構成比の推移



年齢階層別にみると,男性の場合,30歳代が177万人(男性全体の23.3%)と最も多く,ついで50歳代161万人(同21.1%)の順となっているのに対し,女性の場合には20歳代が162万人(女性全体の28.5%)と最も多く,次いで30歳代123万人(同21.7%)の順となっている(図1-1-11)

図1-1-11 日本人海外旅行者数の性別・年齢階層別推移




  (4) 海外旅行者の出国時の輸送モード

平成15年の日本人海外旅行者の出国の際の輸送モードを見ると,総数1,330万人のうち,1,311万人,全体の98.6%が航空機を利用している。空港別利用状況では,新東京国際空港(成田空港)利用がシェアを伸ばし出国日本人全体の58.5%を占め,次いで関西国際空港利用が21.9%となっている。海上輸送は18.5万人で,全体の1.4%となっている(表1-1-12)

表1-1-12 出国日本人の旅客輸送の状況



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