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平成15年度観光の状況に関する年次報告

第2章 観光立国、この1年の動き

第1節 観光立国をめぐる政府のこの1年の動き

1 観光立国懇談会報告書のとりまとめ(平成15年4月24日)


平成15年1月14日に内閣総理大臣決裁で開催が決定され,1月24日の第1回を皮切りに,4回の懇談会に加え,数回にわたる有識者のみの会合が開催された「観光立国懇談会」は,4月24日,報告書をとりまとめた。
この懇談会は,国際交流の増進,我が国経済の活性化の観点から,我が国が観光立国を目指すことが重要であるとともに,訪日外国人旅行者数が少ないという課題があるとの認識のもと,幅広い観点から我が国の観光立国としての基本的なあり方について検討がなされた。
観光立国懇談会の報告書の概要を次に示す。(報告書の全文は,首相官邸ホームページを参照されたい。URL://www.kantei.go.jp/jp/shingi/kanko/kettei/030424/houkoku.html)
観光立国懇談会報告書の概要
1.報告書では,1)観光立国の意義を改めて問い直し,その上で,2)観光立国を実現していくための課題と戦略について提言する。
2.観光立国の意義について
・グローバリズムの進展,大交流の時代における人々の文化交流の役割の高まり,経済重視の時代から人間重視の時代への変化など世界が変わりつつある今日,観光は国の将来,地域の未来を切り拓く有力な手段である。
・観光立国の基本理念は,ただ単に名所や風景などの「光を観る」ことだけではなく,住む人々が地域の「光」をよりよく自覚し,訪れる人にとっても地域の「光」をよりよく感じさせる「住んでよし,訪れてよしの国づくり」を実現することにある。そのためには,観光の革新(文化の魅力を再活性化させ,「光」の輝きに磨きをかけ直し,心と頭にいい旅を再び創造すること)が必要である。
・21世紀の日本は,産業立国,情報立国,文化立国,環境立国を総合的,有機的に展開し,多彩な魅力を観光立国に高める国家デザインを持って,観光立国の実現に向けて取り組んでいくべきである。
3.観光立国を実現していくための課題と戦略について
・21世紀は,各国が魅力を競い合う時代であり,海外からの来訪者を2010年に倍増させるためには,政府を始め,国の総力を挙げて取り組まなければならない。このため,
-魅力の確立,魅力の発信及び魅力を活かす環境整備に総合的な戦略を持って取り組むこと
-政府において内閣官房を始め関係省庁一体となって取り組む体制を整えるとともに,官民が協力し合い,かつ,地方も参画して国を挙げて取り組んでいく体制を整えること
-来訪する海外の人々を暖かく「迎え入れる心」を持つことが必要である。
・日本の魅力を確立するためには,多くの魅力を減殺してきたこれまでの行動を改め,日本人自身が日本の魅力を十分認識し,その上で維持し,創造し,発信していかなければならない。
・日本ブランドの発信にあたっては,マーケティングを行い,ニーズを把握した上で,訪日可能性のあるターゲットに焦点をあて,トップセールスなど迫力のあるアピールを行うことが必要である。また,日本人全員が「観光大使」の気概を持って,日本の魅力を海外の人々に十分に伝えていくことを心掛けなければならない。
・魅力を活かす環境を整備するため,日本の魅力を発揮するためのハード・ソフトのインフラ整備,日本への入国手続きの改善,インフォメーションセンターの設置,標示の多言語化など外国人が一人歩きできる環境の整備,国際競争力のある観光産業の育成とそのための人材育成を行うほか,日本の各地が自律的に魅力を高め相互に競い合う「一地域一観光」の国民運動,「街を美しくする」国民運動,「都市と農山漁村の交流」などを展開すべきである。
4.本懇談会報告書の提言が,今後,各省庁間の緊密な協力の下に,アクション・プログラムとして具体化されることを期待する。
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