平成15年度観光の状況に関する年次報告
第3章 訪日促進を中心とする国際観光交流促進施策
第6節 世界の国々との観光交流強化の取組み
1 二国間の取組み
日韓両国の観光振興における協力体制を推進するため,両国政府の観光当局や観光関係団体・企業の間で日韓観光振興協議会を毎年定期的に開催している。平成15年11月には18回目の協議会を韓国江原道にて開催し,平成17年の日韓国交正常化40周年記念事業について議論したほかに,14年10月に結ばれた「日中韓観光当局間の観光協力に関する覚書」に基づく日中韓の共同誘客施策などについて有意義な意見交換が行われた。
また,平成15年6月の日韓首脳共同声明において,両国間の活発な人の交流の拡大を図るため,その一環として「金浦-羽田間の航空便の早期運航を推進する。」とされたことを受け,昼間時間帯1日最大4便までの羽田-金浦間の国際旅客チャーター便の運航を平成15年11月から開始した。
平成14年4月に締結された観光交流拡大に関する日米間の了解覚書に基づき,平成15年4月には箱根において第2回観光交流促進協議会ワーキンググループが開催され,ビジット・ジャパン・キャンペーンにおける日本側の取組み,イラク戦争等により旅行需要の低迷が懸念されるアウトバウンド対策等についての協議を行った。
同年10月には,横浜において第3回観光交流促進協議会ワーキンググループが開催され,日本側インバウンド施策の具体的な事業の企画提案が出され,また,米国現地の旅行会社,航空会社,関係団体等観光関係者からなる「VJC US Committee」の活用,米国の入出国手続強化への対応等について,活発な議論が行われた。
日豪両国間の観光交流の促進を目的として,日豪観光交流促進協議を定期的に開催している。15年11月にはオーストラリア・ノーザンテリトリーにて,両国政府の観光当局や観光関係団体・企業が出席して第5回目の協議を実施した。協議では,両国の観光の現状や政策について意見交換が行われ,今後,国際観光振興機構と豪政府観光局,豪旅行業協会との意見交換の実施や,国際観光振興機構と豪側航空会社との共同プロモーションなどについて,検討を進めていくこととなった。
中国国民訪日団体観光旅行は,平成12年6月の日中合意に基づき,同年9月から,北京市,上海市,広東省の2市1省の居住者を対象に,団体観光取扱契約を結んだ日中双方の指定旅行会社(現在日本側76社,中国側21社)が取り扱う5人以上概ね40人までの団体観光旅行として開始された。これまでに日本を訪れた団体観光客は,平成15年12月31日現在で3,923団体,82,418名となっている。
当初,本件査証(ビザ)は,北京の在中国日本大使館でのみ取り扱っていたが,平成15年2月6日より,在上海総領事館で,また,同年12月1日より在広州総領事館での取り扱いが開始された。
一方,訪日団体観光旅行参加者の中から,平成15年12月末日までで累計345名が行方不明となっており,今後,訪日団体観光旅行が我が国の良好な公安・治安を維持しつつ健全に発展していくためには,効果的な失跡対策等をとる必要がある。以上を踏まえ,日本側関係省庁間及び日中両国政府間で鋭意協議を行ってきているところであるが,対象地域の拡大については,平成16年3月11日の「外務省が関係省庁との連携を図りつつ,中国政府と十分協議の上,早急に結論を出す」との内閣総理大臣の指示を受け,早急にその実現を図ることとしている。
表3-6-1 中国からの発地域別来訪団体・参加者数(帰国報告ベース)
(5) 二国間経済連携協定に基づく観光協力への対応 |
平成14年に締結した日本・シンガポール新時代経済連携協定において,観光に関する合同委員会の設置について両国が合意し,15年11月に「第1回日本・シンガポール観光合同委員会」を東京にて開催した。協議においては,両国の観光交流の促進のための意見交換が行われ,国際観光振興機構とシンガポール政府観光局の米国向け共同プロモーション事業の実施を検討することについて合意した。
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