平成15年度観光の状況に関する年次報告
第5章 観光交流空間の形成
第1節 観光地の魅力の向上
5 高齢者・障害者等が楽しめる観光地づくり
高齢者・障害者等の移動制約者についても,日常生活を離れて,気軽に我が国の自然や伝統・文化,洗練された街,個性あふれる町並み等を満喫し,心の豊かさや生きがいを感じることができるようになることが重要である。そこで,これに関して講じた施策について記述する。
1)施設の整備
施策概要
■公共交通機関等のバリアフリー化
「高齢者,身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律」(交通バリアフリー法)に基づき,市町村による基本構想の作成を促進している。16年3月末までに,119の市町村(基本構想数は127)から基本構想を受理したほか,61の市町村が作成中であり,約400の市町村が作成を予定している。
また,バリアフリー化のモデル,望ましい内容を示すことで,交通事業者等がバリアフリー化を進める際の目安としてもらうため,平成13年以降,各種のガイドラインを策定し,その普及促進を図っている。
公共交通ターミナルにおけるバリアフリー施設の整備,バリアフリー車両の導入等に対して,補助や日本政策投資銀行による融資を,また,鉄道駅におけるバリアフリー施設の整備,バリアフリー車両の導入等に対して,税制上の特例措置を講じている。
■歩行空間のバリアフリー化
幅の広い歩道等の整備や歩道の段差,傾斜,勾配の改善,電線類の地中化,視覚障害者誘導用ブロックの整備,高齢者,身体障害者等の利便を考慮したバリアフリー対応型信号機,道路標識等の交通安全施設等の整備を進め,誰もが安心して歩ける歩行空間のバリアフリー化を推進した。また,交通バリアフリー法を踏まえ,鉄道駅等の周辺の道路等のバリアフリー化を推進した。
■道路交通環境の整備
見やすく分かりやすい道路標識・道路標示の設置,ゆずりあい車線,一般道路の休憩施設(「道の駅」)等の整備を進めるとともに,交通情報提供装置,道路情報提供装置やそれを支える情報・通信基盤の整備促進等により運転者が安心してかつ安全に運転できる道路交通環境の整備を推進した。
■観光地のバリアフリー化
高齢者・身体障害者等も周遊できる観光地の整備を促進するため,バリアフリー型トイレ整備や,観光案内所,休憩施設等のバリアフリー化等を行う「バリアフリー観光空間整備事業」を実施しており,平成15年度は2ヶ所において整備を行った。
また,観光地における高齢者,身体障害者等の利便を考慮したバリアフリー対応型信号機,道路標識等の交通安全施設等の整備を推進した。
■地域福祉施策との連携
地方公共団体が地方単独事業により歩道の段差切り下げ,歩道の整備と一体的に行う障害物の除去など公共施設等の改良を体系的・一体的に実施する場合に「少子・高齢化対策事業」により地方財政措置を講じた。
■宿泊施設のバリアフリー化
ホテル・旅館を含む建築物のバリアフリー化を推進するため,平成15年4月に「高齢者,身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律」(ハートビル法)が改正され,2,000m2以上の建築物について利用円滑化基準への適合義務が課され,当該宿泊施設に係る利用円滑化誘導基準として,原則2%以上の客室に対し,便所や浴室等の車椅子使用者に配慮すること等が規定された。
■文化施設等のバリアフリー化
国立の文化施設(国立博物館・美術館,国立劇場等)においては,障害者用トイレ,スロープ,エレベータ等の設置や車椅子の配慮等の施設の整備,入場料金の軽減措置等を行っており,高齢者・身体障害者も安心して観覧できる環境をつくるよう配慮した。
■水辺空間のバリアフリー化
河川事業及び砂防事業等を通じて,障害者等にも配慮した堤防坂路のスロープ化,休憩施設の設置等の河川整備等を実施した。
2)運賃等の割引等
施策概要
■公共交通機関
鉄道等各公共交通機関では,身体障害者手帳の交付を受けた身体障害者及び療育手帳の交付を受けた知的障害者に対し運賃割引を実施している。
■有料道路
有料道路においては,身体障害者手帳の交付を受けたすべての身体障害者が自ら運転する場合や,重度の身体障害者又は療育手帳の交付を受けた重度の知的障害者の介護者が運転する場合に,通行料金の割引措置を実施している。
■自動車
歩行困難な身体障害者が自動車を利用しやすいように,身体障害者の使用する車両に対し,駐車禁止除外指定車標章を交付しており,一つの都道府県公安委員会から標章の交付を受けた車両が他の都道府県でも駐車禁止規制の適用が除外されるよう措置している。
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