平成15年度観光の状況に関する年次報告
第7章 観光に係る安全確保対策
第2節 観光地,宿泊施設における災害防止対策の推進
4 遭難の状況と防止対策の推進
施策概要
1)山岳遭難の防止対策
■概況
平成15年中の全国における山岳遭難は,発生件数1,358件(前年比0.7%増),全遭難者数1,666人(前年比2.1%増)であった。
特徴としては,遭難者に占める中高年遭難者の比率が依然として高いことや,体力・技術不足,気象判断の誤り,装備不備,さらに,登山計画書の未提出等の登山の基本的知識・技術を欠いた遭難や,ツアー登山では,参加者自身の体力・健康などの問題のほか,ガイドが同行していながら遭難するケースが跡を絶たないことが挙げられる。
■防止対策
山岳救助隊等救助体制の確立,山岳パトロールの実施やインターネットをはじめとする各種広報媒体を通じての国民への情報提供等の広報活動,山岳関係機関・団体等との連携による安全登山の指導など,山岳遭難防止諸対策を積極的に推進した。
2)水難の防止対策
■概況
平成15年中の水難は,発生件数1,414件(前年比17.9%減),水死者数(死者,行方不明者を言う。以下同じ。)827人(前年比15.3%減)であった。
水死者のうち,中学生以下の子供は87人で,前年に比べ4人(4.4%)減少し,全水死者数の10.5%を占めている。
■夏期(6月~8月)
平成15年夏期の水難は,発生件数697件(前年同期比25.0%減),水死者数366人(前年同期比24.2%減)で,年間水死者数の44.3%にあたる。
■防止対策
都道府県,市町村,警察,消防,海上保安庁及び学校等関係機関,団体の連携の下に,地域住民の水難防止意識の高揚を図り,重点的かつ実践的な水難防止活動を行っている。
また,関係機関等において,水難が発生しやすい危険箇所を調査の上,危険区域の設定,表示,柵やふたの設置等保全措置の促進,緊急救助体制の確立,救助用資機材の整備充実に努めたほか,特に,幼児に対する保護者の監護及び小中学生に対する安全教育を徹底し,その実効を期した。さらに,海浜パトロールや船舶・航空機等による監視活動を強化し,水難防止の呼び掛け,遭難者の早期発見,救出救護に努めるとともに,各地で水難防止に関する広報を行ったほか,救急法講習会や各種の救助訓練を実施した。
また,マリンレジャー活動の活発化する時期及び海域を考慮した巡視船艇・航空機の効率的な運用により,迅速かつ的確な救助に努めた。
3)避難体制の確立
観光旅行者は,一般に地理等に不案内であるため,これらの人々に対し災害危険箇所及び避難場所・避難路等について周知徹底を図る必要がある。
そこで,地方公共団体に対し,事前に避難路や避難計画を定めるとともに,避難場所等の安全性についての点検,観光旅行者等への迅速かつ確実な情報伝達及び十分余裕をもった避難の勧告・指示等避難誘導体制全般の整備を図るよう要請した。また,防災関係機関との連携の下に,実践的な防災訓練を実施するよう要請した。
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