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平成16年度 観光の状況に関する年次報告

TOPIX 


平成16年度の観光をめぐるトピックス
■訪日外国人旅行者数が600万人突破
■九州新幹線が開業
■木村佳乃さんとチェ・ジウさんを2005日韓共同訪問年広報大使に任命
■災害多発で観光にも重大な影響
■観光立国推進戦略会議が報告書をまとめる
■中部国際空港開港及び愛知万博開催
訪日外国人旅行者数が600万人突破
我が国では、観光立国の実現に向け、日本を訪れる外国人旅行者を2010年までに倍増させて1,000万人にするという目標を達成するため、平成15年度から、官民一体となって訪日促進キャンペーンであるビジット・ジャパン・キャンペーン(以下「VJC」という。)を実施している。
VJCを開始して以来の訪日外国人旅行者数は、平成15年前半にはイラク戦争やSARSの影響を受けて減少したものの、その後はプラスに転じ順調に推移している。
平成15年は前半部分の減少が影響し、前年比0.5%減(約2.7万人減)の521.2万人であったが、平成16年の訪日外国人旅行者数は前年比17.8%増(約92.6万人増)の613.8万人となり、過去最高であった平成14年の523.9万人を超え過去最高となった。特に7月は単月で訪日外国人旅行者数が史上初の61万人を記録することとなった。VJCの各事業については第3章第1節で述べる。
平成16年9月には、実務的な取組を加速させるために、「2010年訪日外客1,000万人達成へのロードマップ」を作成した。訪日外国人旅行者1,000万人達成のための道筋を明確にするため、訪日外国人旅行者全体について、節目毎の目標値を設定しており、平成16年(2004年)は600万人、平成17年(2005年)は700万人等としている。
平成17年は愛・地球博や中部国際空港の開港もあり、訪日外国人旅行者数700万人の達成を目指すとともに、2010年に1,000万人という目標達成に向けた精力的な取組を進めていくこととしている。

2010年訪日外客1,000万人達成へのロードマップ



2003年までのデータ出典:国際観光振興機構 
九州新幹線が開業
平成16年3月、九州新幹線の新八代-鹿児島中央間が開業し、これにより、開業後の同区間における所要時間はこれまでの最速2時間2分から約4分の1の34分に大幅に短縮された。また、新八代駅は、在来線特急が新幹線のホームに直接乗り入れることにより、全国で初めて同一ホームでの対面乗換えができるようになっており、乗換時間は3分程度と利便性の向上が図られている。その結果、博多-鹿児島中央間の所要時間は約2時間10分と開業前に比べて約1時間半程度短縮されることとなった。これらにより、新八代-鹿児島中央間の一日の利用者数は、開業前に比べて2倍を超える水準となっている。
また、開業に合わせて、新幹線とバスや市電等他の交通機関とのアクセス機能の強化、既存商業地との回遊性を考慮した鹿児島中央駅周辺の再開発が行われており、同年9月には錦江湾や桜島を一望できる観覧車が設置された大型商業施設「アミュプラザ鹿児島」が鹿児島中央駅に開業した。同施設には、開業後4ヵ月余りで500万人が来店しており、同駅は観光の基点としての機能に加え、鹿児島の新たな一大集客施設としての機能も果たしている。
また、新幹線の時間短縮効果に加え鹿児島中央駅の交通アクセス性の向上等により、鹿児島市内だけでなく、県内の代表的な観光地である指宿や霧島地区においても、宿泊者数、観光施設利用客数が前年対比増加となるなど広域的な観光の活性化が進んでいる。




アミュプラザ鹿児島




新八代駅対面乗り換え



木村佳乃さんとチェ・ジウさんを2005日韓共同訪問年広報大使に任命
平成17(2005)年は日韓国交正常化40周年にあたり、「日韓友情年2005」と定め様々な交流事業を行うこととしており、観光の分野においては「日韓共同訪問の年」として、観光・文化交流を拡大するための様々な行事を実施してきている。
この「日韓共同訪問の年」をPRし日韓相互の観光交流の促進を呼びかけるため、平成16年7月に女優の木村佳乃さん(日本観光広報大使)とチェ・ジウさんを「日韓共同訪問年広報大使」に任命した。
木村佳乃さんは平成16年9月に韓国を訪問し、「日韓観光・文化の夕べ」等のイベントに出席し、「日韓共同訪問の年」の意義をPRするとともに、日本の豊かな観光魅力に関する紹介を行った。また、日本における韓流ブームについて紹介する一方で、日本の多様な観光地や愛知万博に触れ、『二度、三度と日本へ観光にいらして下さい』と訪日を呼びかけた。
また、この一環として、日韓の首都(東京・ソウル)を背景に両大使が出演したPRポスター(昼版と夜版の2種類)が作成され、平成17年3月以降、公共交通機関(空港、鉄道駅等)、旅行会社等に掲示されている。

日韓共同訪問年広報大使任命式




夜版PRポスター




昼版PRポスター



災害多発で観光にも重大な影響
平成16年は国内・外において自然災害により観光に大きな影響が出た年であった。
国内では、「平成16年(2004年)新潟県中越地震」の発生や台風の年間上陸回数が昭和26年の統計開始以来最多の10回を数えたほか、記録的な豪雨、暴風雨や浅間山の噴火等多くの自然災害に見まわれることとなった。観光にとっても、例えば、宮島の厳島神社で国宝の左楽房が倒壊したり、天橋立の松並木がなぎ倒されたり、建物等の損害により営業停止に追い込まれる観光施設があったり、飛行機の欠航、上越新幹線の脱線等の影響を受けた観光地域もあった。
海外においては「インドネシア・スマトラ島沖大規模地震及びインド洋津波」が平成16年12月に発生し、地震と津波による被害が広範囲に及び、日本人観光客も犠牲になった。
こうした自然災害が発生すると、観光への打撃がクローズアップされ、被災地はもとより、周辺地域など被災していない地域も観光客が減少するという、
いわゆる風評被害が生じる問題も起きている。
特に、「新潟県中越地震」の際には、地震の被害を受けなかった地域において宿泊業を中心に予約の取消しが相当発生したため、国土交通省や旅行会社の
ホームページ等を通じた観光地の復興・復旧の状況等の現地の正確な情報の提供とともに、新幹線等の幹線交通網の復旧等適切な時期における新潟県向けの企画旅行商品の造成・販売について旅行業者に要請を行った。また、地元において商工会議所、観光関係団体、行政当局等で構成する「新潟県観光復興会議」の第1回会合を平成16年12月1日に開催する等同地域の観光復興に積極的に取り組んだ。

修復がすすむ厳島神社




松並木がなぎ倒された天橋立




「新潟県中越地震」による上越新幹線の脱線




新潟県観光復興会議



観光立国推進戦略会議が報告書をまとめる
観光立国実現のための施策を効果的かつ総合的に実施するため、平成16年5月、学識経験者、実務担当者等から成る観光立国推進戦略会議(座長:牛尾治朗ウシオ電機会長)が開催され、平成16年11月30日に報告書が取りまとめられた。この報告書においては、「競争」と「プライオリティー」という「民」の視点を重視した民間有識者の議論を集約し、4つの課題に対応する形で、国、自治体、産業界などに対する55の提言が記載されている。主な提言としては、「国際競争力のある観光地づくりに意欲を燃やす地域への国による支援」や、「地域が中心となった「泊食分離」や「料理選択制」の導入」、「県民の日や学校休暇の柔軟化による旅行需要の平準化」など、具体的な取組が打ち出されている。
課題1:「国際競争力のある面的観光地づくり」
意欲ある観光地づくりへの支援、観光コンテンツの充実、美しい景観の整備等
課題2:「国際競争力強化のためのソフトインフラ」
観光関連産業の近代化・合理化、人材の育成強化
課題3:「外国人旅行者の訪日促進」
入国手続きの簡素化・円滑化、地域の外国人受入体制の整備等、外国人への戦略的情報発信
課題4:「国民観光の促進」
国民の休暇取得促進・分散化、旅行コストの引下げ等

観光立国推進戦略会議報告書の概要



中部国際空港開港及び愛知万博開催
平成17年2月17日に開港した中部国際空港は、我が国では首都圏及び関西圏以外では初の第一種国際空港であり、24時間オープンの中部の国際・国内の空の玄関としての役割を担うこととなる。
同国際空港は滑走路延長3,500メートルを有し、国際線・国内線が一体化されたワンストップでのサービスの提供を目指し、開港時点では、国際線貨客で週286便、国内線で日95便が就航し、加えて、同一空港内で国際・国内間の乗り継ぎを容易化するなど使い勝手のよい空港を目指し工夫がされている。
また、3月25日には「大阪万博」以来我が国にとって35年ぶりとなる一般博である、「愛・地球博」が開幕し、期間中1,500万人(うち外客で150万人)以上の入場者が期待されている。
こうしたイベントを契機として、特に海外からの旅行者の誘致を図ることは、訪日外国人の数を増加させるだけでなく、愛・地球博に訪れた外国人旅行者に、様々な日本の観光地・観光資源や日本独自の「おもてなし」を体感して頂き、「日本ファン」を増やす絶好の機会である。このため、VJC事業においても、愛・地球博とセットで日本を紹介したり、商品造成を促すための旅行会社・メディアの招請事業等様々な取組がなされているところである。

中部国際空港



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