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平成16年度 観光の状況に関する年次報告

第3章 訪日促進を中心とする国際観光交流促進施策

第8節 世界の国々との観光交流強化の取組

1 二国間の取組



  (1) 日韓両国の観光交流の促進

日韓両国の観光振興における協力体制の強化を目的とし、両国政府の観光当局や観光関係の団体・企業と共同で日韓観光振興協議会を毎年定期的に開催している。平成16年12月には19回目の協議会が宮崎にて開催され、同年7月に石原伸晃国土交通大臣(当時)と鄭東采(チョン・ドンチェ)文化観光部長官によって合意された「観光交流の拡大に関する共同声明」の中で、日韓国交正常化40周年に当たる平成17年を「日韓共同訪問の年」としたことを受け、「日韓共同訪問の年」の事業計画について活発な議論が行われた。その議論の結果、「日韓共同訪問の年」における相互交流の拡大と姉妹都市交流の推進による観光振興は特に重要であるとの一致した認識に基づき、「日韓の観光交流の促進に関する日韓観光当局者間の覚書」を両国代表間で交わすなど、翌年以降の両国の観光交流の拡大に向けた具体的な施策の推進に有意義な成果が得られた。また同日に開催された両国の交流事業説明会では、宮崎県、鳥取県、青森県から姉妹都市交流等の事業例が、また旅行会社からは文化イベントや青少年交流等の事業例が紹介され、地域や民間における交流事業が活発に行われていることが広く紹介された。
さらに、平成16年3月に韓国人訪日修学旅行生に対する査証免除措置が開始されたことにより、同年の日本を訪れる韓国人修学旅行生数が前年から1万人以上増加するなど、その数は飛躍的に拡大している。政府では、今後のさらなる学生交流の拡大を図るため、ビジット・ジャパン・キャンペーン事業の一環として、平成16年10月に韓国大邱市、釜山市、ソウル市の主要3都市にて「訪日修学旅行セミナー」を開催し、両国関係者間の面談の機会を提供したほか、具体的な受入れ相談、地域の情報提供等支援を行った。

  (2) 日米観光交流促進協議

日米間の観光交流については、平成14年4月に締結された観光交流拡大に関する日米間の了解覚書に基づき、定期的に、日米観光交流促進協議会ワーキンググループを開催しており、これまで、ビジット・ジャパン・キャンペーンを活用した米国人の訪日旅行の促進や同時多発テロ以降低迷が続いた日本人の訪米旅行需要の喚起等、両国が抱える喫緊の課題等について協議を行ってきた。
平成16年4月には、米国カリフォルニア州ロサンゼルスにおいて4回目となるワーキンググループを開催し、両国の観光当局及び旅行会社、航空会社、ホテル、クレジットカード会社等の関係者の出席の下、日米の観光交流の一層の拡大に向け、2年目を迎えたビジット・ジャパン・キャンペーンの一層の活用方策、今後のマーケティングプランや成果志向の広報宣伝、ツアー造成のあり方など、双方向の旅行需要喚起のための具体的施策について協議を行った。これを踏まえ、現在、地域及びテーマごとに両国の継続的な実務者協議の場を設置し、実効的かつ具体的な意見交換を行っているところである。

  (3) 日加官民観光定期協議

日加間の観光交流については、日加官民観光定期協議を定期的に開催し、幅広い意見交換を行っており、平成16年5月には、カナダ連邦アルバータ州バンフにおいて、両国の観光当局及び旅行業界、航空会社等の関係者が出席して、第9回目の協議を行った。
協議においては、平成22年までに日加の交流人口(平成15年は、訪カナダ日本人旅行者数27万人、訪日カナダ人旅行者数12万人、合計39万人)を100万人(訪カナダ日本人旅行者数80万人、訪日カナダ人旅行者数20万人)にすることを目標に米国における同時多発テロ、さらに追い討ちをかけるように発生したSARSの影響を受けて急速に落ち込んだ両国の観光需要を早期に回復させ、更なる旅行需要の喚起を図るための対策等について協議した。
また、日米間と同様に、両国の継続的な実務者協議の場を設置することとし、この場において、実効的かつ具体的な意見交換を行うこととした。

  (4) 日独観光交流促進協議

日独両国間の観光交流の促進を目的として、日独観光交流促進協議を定期的に開催している。平成16年5月には沖縄県宮古島において、両国政府の観光当局や観光関係団体・企業が出席して第4回目の協議を実施した。協議では、両国の観光の現状や政策について、特にサッカーワールドカップや愛知万博を活用した観光振興について意見交換が行われた。

  (5) 中国国民訪日団体観光の進展

中国国民訪日団体観光旅行は、平成12年6月の日中合意に基づき、同年9月から、北京市、上海市、広東省の2市1省の居住者を対象に、団体観光取扱契約を結んだ日中双方の指定旅行会社(日本側63社、中国側21社)が取り扱う5人以上概ね40人までの団体観光旅行として開始された。
さらに、平成16年9月15日より、査証発給対象地域として、天津市、遼寧省、山東省、江蘇省、浙江省が追加された。また、指定旅行会社についても順次追加しており、平成16年12月現在日本側125社、中国側229社となっている。
これらの措置により日本を訪れた団体観光客は、平成16年12月末現在で、累計129,980名にのぼっている(表3-8-1)
他方、本制度が我が国への不法入国の手段として悪用されることのないよう、適宜、必要な措置を講じていくこととしている。我が国の指定旅行会社には、失踪者等の発生数に応じ課されるペナルティポイントに応じ、一定期間、旅行の取扱いができなくなる制度の導入など、制度発足当初から失踪者対策を講じてきており、失踪者対策の強化を図ってきている。その結果
として、失踪率は、0.34%(累計437名)となっている。

表3-8-1 中国からの発地域別訪日団体観光参加者数(帰国報告ベース)



さらに、平成16年9月の両国の指定旅行会社の追加指定を期に、我が国の指定旅行会社に対して運用してきたペナルティ制度を中国側の指定旅行会社に対しても運用することとするなど、より一層効果的な失踪者対策を実施したところであり、今後とも、中国国民訪日団体観光旅行が我が国の良好な公安・治安の確保と両立しつつ健全に発展するよう、適宜、必要な措置を講ずることとしている。

  (6) 二国間経済連携協定に基づく観光協力への対応

世界における自由貿易等の推進の枠組みとして、二国間の協定が数多く締結されている状況の下、我が国においてもシンガポールとの経済連携協定が平成14年1月に署名、同年11月に発効されたのに続いて、メキシコとの間でも、平成16年9月に署名された。また、タイ、フィリピン、マレーシア及び韓国との経済連携協定締結に向け政府間交渉を行っているところであり、このうちフィリピンについては、同年11月に行われた日フィリピン首脳会談において、両国首脳間で大筋合意に至った。観光分野においても、ビジネス環境の改善、ビジネス機会の増大により観光業の海外展開を推進する観点から、相手国における内外差別の見直しなど、サービス分野の自由化や、人的交流の拡大の観点から観光協力の推進に努めているところである。
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