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平成16年度 観光の状況に関する年次報告

第5章 観光交流空間の形成

第1節 観光地の魅力の向上

2 観光地の魅力の演出



  (1) 良好な景観形成の推進

全国各地で良好な景観の形成への取組を総合的かつ体系的に推進するため、我が国で初めての景観についての総合的な法律として、都市、農山漁村等における良好な景観の形成に関する基本理念及び国等の責務を定めるとともに、良好な景観の形成のため所要の規制等の措置を講ずる「景観法」と、屋外広告物の簡易除却制度の拡充、屋外広告業の登録制度の創設等屋外広告物に関する制度の充実や緑化地域における緑化率規制の導入、緑地保全地域制度や立体都市公園制度の創設など都市における緑化や緑地の保全・創出のための措置等を講ずる2法を合わせた、いわゆる景観緑三法が平成16年6月に公布され、同年12月に一部施行された。これを受け、景観計画の策定など景観法に基づく良好な景観形成の推進を図った。

  (2) 良好な街並みの形成

良好な都市景観の形成を図り地域特性を生かしたまちづくりを進めるため、地方公共団体による景観法に基づく景観計画の策定を進めるとともに、風致地区等の地域地区、地区計画など都市計画手法の活用を推進した。
地域の創意工夫を生かしたまちづくりを推進するため、地域の自主性・裁量性を高めたまちづくり交付金の活用により、観光振興、観光交流促進等の市町村の目標に沿ったハード事業からソフト事業まで、まちづくりに係わる幅広い事業を支援した。
山麓斜面に市街地が接している都市において、景観に配慮した砂防関係施設等の整備を実施するとともに、土砂災害に対する安全性を高め緑豊かな都市環境と景観を保全・創出する事業を実施した。
良好な都市景観の形成を図るため、歴史的建築物等活用型再開発事業、優良建築物等整備事業を推進するとともに、住宅マスタープランの策定を通じ景観に配慮した住宅、街並み整備等を推進した。

  (3) 良好な農山漁村空間の形成

都市住民にも魅力ある地域環境を形成するため、住民参加を図りつつ、地域の多彩なニーズに応じた総合的な整備を目的に都道府県や市町村が行う農村振興総合整備事業を補助した。
農村地域の地域資源を歴史的、文化的観点から再評価し、伝統的農業施設、美しい農村景観等の地域特性を活かした整備等を実施した。

  (4) 良好な道路空間の形成

無電柱化や道路のり面の樹林化、植樹帯の整備、景観に配慮した防護柵や道路構造物の整備等を推進し、地域の自然や歴史・文化を生かした道路空間を創出するとともに、緑豊かで安らぎとうるおいのある道路景観整備の推進を図った。
また、各地域が主体的に実施する観光を生かした地域づくりを支援するため、道路交通問題の解決のための社会実験を全国29地域で、街並みの快適性の向上等を総合的かつ重点的に支援する賑わいの道づくり事業を4地区でそれぞれ実施した。
さらに、都市や地域の顔となる街路を地域社会の象徴として整備するシンボルロード整備事業を中央大通り荒川線(青森市)等で、歴史的環境等と調和した地区レベルの街路を面的に整備する身近なまちづくり支援街路事業を中郡地区(鹿児島県知覧町)等でそれぞれ推進した。

  (5) 良好な砂防空間の形成

近年、登録有形文化財に登録がなされている歴史的価値を有する砂防設備について、歴史的砂防施設の保存活用ライン」に基づき、文化財に相応しい適切な維持管理、周辺の一体的整備等を実施し、豊かな自然環境と地域を守り続けてきた歴史的価値を有する砂防設備を核とした地域活性化を推進した。

歴史的砂防設備の保存・利活用(羽根谷だんだん公園:岐阜県海津郡南濃町)




万内川砂防堰堤群:新潟県新井市



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