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平成16年度 観光の状況に関する年次報告

第7章 交通機関等の利便向上

第1節 旅客輸送機関等による観光の利便向上

2 自動車による観光の利便向上



  (1) バス・タクシー

バスについては、外国人旅行者の訪日を促進するためのビジット・ジャパン・キャンペーンの一環として、二階建てオープンバスなど外国人向けの新たな観光サービスを展開している。
タクシーについては、一定期間外国人旅行者向けに電話通訳コールセンター(英語・中国語・韓国語)を開設し外国人旅行者の便宜を図るとともに、通訳ニーズ等についての調査を実施した。

  (2) レンタカー

レンタカー事業は、利用者の多様な使用目的に対応した豊富な車種揃え、料金の低廉化等により年々着実な伸びを示し、15年度末現在の保有車両は、315,910台と対前年比1%増となっている。

  (3) 道路

地理に不案内な訪問者や外国人旅行者が、道路を通行して迷うことなく目的地に到着するためには、わかりやすい道路案内標識の整備が重要である。そのため、主要な幹線道路の交差点及び交差点付近においてルート番号等を用いた案内標識の設置を推進するとともに、歩行者系の地図標識を活用した多言語表記の実施等による対応を図った。また、「わかりやすい道路案内標識に関する検討会」を開催し、わかりやすい道路案内標識のあり方について検討を行った。
カーナビゲーションに道路交通情報をリアルタイムに提供するVICSについては、全都道府県でサービスを提供しており、情報提供エリアの拡大、情報内容・精度の改善・充実により、観光地周辺等での安全で快適な道路交通環境の確立に努めるとともに、3メディア対応型VICS車載機の導入等についても積極的に推進した。
ETC(ノンストップ自動料金支払いシステム)については、基本的に全国の全ての料金所にサービスを拡充するとともに、ETCを活用した多様で弾力的な料金施策を実施した。
地方道においては、地方道路整備臨時交付金制度に目標達成型を導入することにより、「観光」に関する目標を掲げている事業について、重点的に支援した。また、同制度について、事業費の下限を撤廃し、道路標識・道路情報提供装置等の道路付属物による観光案内等を行うための少額の事業も実施可能とした。
都市内道路の体系的な整備を図り、連続立体交差事業や交通結節点等の整備等を公共交通機関の利便性向上、安全な歩行空間の整備を推進するほか、TDM(交通需要マネジメント)施策を推進し、交通の円滑化を進めた。
また、駐車需要が集中する地区において、駐車場の位置、満空状況、駐車場までの経路、交通渋滞等に関する情報を運転者に一体的に提供し、空き駐車場への誘導を行う駐車誘導システムの整備を推進した。
  COLUMN 20 「わかりやすい道路案内標識に関する検討会」について  

国土交通省では、ドライバー、歩行者、初めて訪れる観光客や外国人など、すべての道路利用者にとってわかりやすい道路案内標識のあり方を検討するため、「わかりやすい道路案内標識に関する検討会」(座長 東京大学工学部家田教授)を開催した。メンバーには、道路工学やデザイン等の専門家等はもちろんのこと、観光立国や国際化等への対応が不可欠であることから、観光に関する有識者や、日本在住の外国人研究者等にも参加をいただいた。
平成16年6月から9月までの4回にわたる検討会で議論された内容をもとに「提言素案」が取りまとめられ、10月上旬から1ヵ月間、素案に対する意見募集手続きにより、広く一般の方々からの意見をいただいた。その結果を踏まえ、12月2日に開催した最終(第5回)の検討会において提言が取りまとめられた。
提言は計5章から構成されており、1章で道路案内標識の理念について述べた上で、2~4章で自動車系案内、歩行者系案内、さらに自動車系・歩行者系に共通する新たな課題への対応の方向性がそれぞれ述べられている。そして最終章では、本提言の最も重要な柱として、一つ一つの方向性を実際の標識上で実現していくための「標識マネジメント」のあり方が記述されている。観光に関しても活発な意見交換が行われ、観光客対応としてのピクトグラムや他言語表記の充実は有効であるものの、地域性を強調しすぎた独自の表記等による弊害も見られるところであり、道路標識としてのシステム化されたシンプルな情報提供が必要であること等についても提言された。
今後は、提言を生かす形で具体的な取組を推進するところであり、道路標識に関する基準、運用等の改正や、標識のマネジメントを行う枠組みの構築等を順次図っていくこととしている。

わかりやすい道路案内標識(例)



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