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平成17年度観光の状況

第3章 訪日促進を中心とする国際観光交流促進施策

第1節 ビジット・ジャパン・キャンペーンを中心とした日本の魅力の戦略的なPR活動

1 ビジット・ジャパン・キャンペーンの推進



  (1) ビジット・ジャパン・キャンペーンの概要

外国人旅行者の訪日を飛躍的に拡大し、2010年までに訪日外国人旅行者数を1,000万人にするという目標を達成するためには、まず、外国人に日本へ旅行しようという気持ちを起こさせ、また、実際に日本に向けての魅力ある旅行商品が購入できる環境づくりをしなければならない。
このため、平成15年度より、国、地方公共団体及び民間が共同して取り組む戦略的訪日促進キャンペーンである「ビジット・ジャパン・キャンペーン」を、「YOKOSO! JAPAN」のロゴ・キャッチフレーズの下、展開している。
本キャンペーンでは、訪日促進の重点国・地域を絞り(韓国、台湾、中国、香港、米国、イギリス、ドイツ、フランス、タイ、シンガポール、カナダ、オーストラリアの12か国・地域)、それぞれの特性に応じて、様々な事業を組み合わせて実施している。

  (2) ビジット・ジャパン・キャンペーンの実施体制

本キャンペーンの実施に当たっては、国と各地域の魅力や商品の魅力のPR等を行う地方公共団体、民間団体・企業と共同で事業を展開することが効果的であることから、関係者が一体となって参加できる体制として、国土交通大臣を本部長としたビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)実施本部を置き、その下には執行委員会が置かれている。平成17年9月に執行委員会が開かれ、その方針に基づき関係団体、企業等の実務者が参加する実施本部事務局(VJC事務局)において、実施本部の指揮の下、各種事業を実施している。
また、国内各地域においては、各地方運輸局等が中心となって、地方公共団体等と連携・協力して事業を実施している。さらに、海外においては、重点市場ごとに、在外公館長(大使や総領事)を会長に関係団体・企業等の代表で構成されるビジット・ジャパン・キャンペーン推進会(海外VJC推進会)を、平成17年はシンガポール、タイ、カナダ、オーストラリアで立ち上げるなど、国内外において、事業の効果的な実施のための体制整備を図った。

  (3) 平成17年度までに実施した事業

1)重点国・地域毎の特性把握
事業実施に当たっては、まず、各国・地域ごとに、市場規模、ニーズ(観光魅力として求められているもの)等の特性を十分に把握する必要がある。
各市場への対応については、以下のようにマーケットを分析し、プロモーション方針を策定している。
1)韓国
日本の大衆文化の開放、サッカー・ワールド・カップの共催で、あらゆるレベルでの両国交流が急展開している。
消費者に対し、ア.韓国人旅行客の訪日を歓迎、イ.気軽に訪問できる、ウ.上質な本物を体感できるというイメージを刷り込む広告宣伝を行った結果、平成17年の訪日数は175万人(対前年比10.0%増)となった。
今後は、最大の競合国、中国に対して競争優位を保てる高付加価値商品、若年層向けの自由度の高い商品の開発を図る。
2)台湾
訪日観光旅行で成熟した最も親日的なマーケットであり、老若男女問わず人気が高い。
消費者に対し日本の四季の自然と温泉を核としつつ、アニメ、ファッション、都市ライフ等、多彩な日本の魅力をPRした結果、平成17年の訪日数は127万人(対前年比18.0%増)となった。
今後は、若年層向けの自由度の高い商品の開発を図る。
3)中国
外国旅行、訪日旅行ともに未だ揺籃期の市場であるが、2010年には外国旅行者数が5千万人に達すると世界観光機関(UNWTO)が予測している将来の巨大マーケットである。
消費者に対し旅行目的地としての日本の認知度向上を進めた結果、平成17年の訪日数は65万人(対前年比6.0%増)となった。
今後は、初心者向けのゴールデン・ルートに代表的な文化・自然を組み込んだ団体旅行等の開発を図る。
4)香港
日本の現代文化との共通性が高く、また、嗜好の多様性がある。一般消費者が成熟しており、消費者主導のマーケットである。
消費者に対し高品質な旅館、食事、アニメ等の積極的なPRを行ったが、平成17年の訪日数は30万人(対前年比0.5%減)にとどまった。
今後は、最大の競合国、韓国に対して競争優位を保てる高付加価値商品の開発を図る。
5)北米(米国、カナダ)
メインターゲットの高学歴・高収入のシニア層は、日本の「伝統文化」、「自然」に、また、セカンダリーターゲットの若年層はアニメ、ゲーム等の現代文化に興味を持つ。しかし、依然「遠い、高い、言葉が通じない」という印象が旅行阻害要因となっている。
消費者に対し日本ならではの伝統文化、自然、アニメ等の日本の魅力やストップオーバーツアーの手軽さ等をPRした結果、平成17年の訪日数は米国からは82万人(対前年比8.2%増)、カナダからは15万人(対前年比5.6%増)となった。
今後は、ウェブサイト、有力旅行雑誌、大手新聞等の多様な媒体を複合的に組み合わせ、高学歴・高収入のシニア層に対しては高付加価値商品、若年層やアジア向け旅行者層に対しては低価格で自由度の高い商品の開発を図る。
6)欧州(イギリス、ドイツ、フランス)
訪日客のうち観光目的は20%程度であり、日本は「遠い、高い、言葉が通じない」という印象が米国以上に強く、訪日旅行の阻害原因となっている。
消費者に対し日本の伝統文化、食文化に加えて、青少年交流を意識した現代文化の魅力を訴求した結果、平成17年の訪日数は45万人(対前年比7.9%増)となった。
今後は、ゴールデン・ルート中心の団体旅行、日本の伝統文化を追求した旅行商品の開発を図る。
7)タイ
出国率4.3%で、外国旅行を出来る国民はまだ限られており、揺籃期の市場である。派手好みの国民性を踏まえあこがれの地としての演出も必要である。
消費者に対し本物志向の日本の魅力をPRした結果、平成17年の訪日数は12万人(対前年比14.7%増)となった。
今後は、ゴールデン・ルート中心の団体旅行や企業・インセンティブ旅行の開発を図る。
8)シンガポール
1人当たりGDPの高さ、中間層の厚さで周辺諸国を大きく上回り、出国率が高く、外国旅行熱は高い。
消費者に対し日本の四季を前面に出した販売を行った結果、平成17年の訪日数は9万人(対前年比4.6%増)となった。
今後は、東京、大阪の都市型パッケージ旅行や北海道でのフライ・アンド・ドライブ旅行等の開発を図る。
9)オーストラリア
休暇制度が充実し旅行好きな国民性であり、国内に魅力的な観光地が多い。観光目的地としては中国、インドネシア、ベトナム等のアジア諸国が競合目的地となっている。また、移民国家という歴史的背景等から、欧米への里帰り旅行者も多い。
消費者に対し日本ならではの伝統文化をPRした結果、平成17年の訪日数は21万人(対前年比6.1%増)となった。また、近年は訪日スキーツアーも好調である。
今後は、ゴールデン・ルート中心の団体旅行、個人向け移動と宿泊のみのツアーのパッケージ商品の開発、ストップオーバー商品の開発・認知拡大、スキーを中心とした目的別旅行の来訪地域の多様化を図る。
2)具体的な事業例
1)トップセールスの実施
小泉内閣総理大臣が日本語及び英語で訪日旅行を呼びかけるメッセージビデオを、国際的な旅行博や国内の主要空港、国内外の航空会社の機内において放映した(日本語版と英語版は、VJC事務局ホームページ(http://www.vjc.jp)で視聴可能)。
また、北側国土交通大臣は観光立国担当大臣として、中国・韓国を訪問し、邵&ki;偉(しょう・きい)中国国家旅游局長及び鄭東采(チョン・ドンチェ)韓国文化観光部長官と観光交流拡大に向けた意見交換を行い、両国との間で交流拡大の機運を高めた。
VJCの具体的事業は、重点市場における市場調査・効果測定、メディアミックスによる広告キャンペーン、ジャーナリスト招請、海外でのイベントの実施、訪日旅行造成支援等である。各重点市場では「VJC推進会」を立ち上げることにより、これらの事業を効率的かつ効果的に推進するための活動が行われている。カナダについても、平成17年度よりVJCの重点市場となり、在外公館、民間企業の海外事務所等関係者から構成された「カナダVJC推進会」を立ち上げ、第1回会合を平成17年9月29日(木)にカナダ・トロントにおいて開催し、活発な意見交換が行われた。
また、この推進会の立上げに合わせて、カナダの旅行関係者に対して、VJCの趣旨及び今後の事業計画を周知するとともに今後の協力を要請するため、「YOKOSO!ジャパンナイト」と題したイベントを250名ものカナダ側関係者の参加を得て開催した。
平成17年度より、ビジット・ジャパン・キャンペーンの重点市場に新たに加わったシンガポール及びタイ両国においてもビジット・ジャパン・キャンペーン現地推進会を平成17年9月に立ち上げ、現地での協力体制の確立及びキャンペーンの効果的な実施に向けての提言や提案がなされた。
また、シンガポール及びタイでも「YOKOSO!ジャパンナイト」を開催し、シンガポールでは100名、タイでは150名もの関係者の参加を得た。
2)宿泊情報提供予約サイトの構築
外国人旅行者を受け入れる国内の宿泊施設について、外国人旅行者のニーズの高い詳細情報を中心に英語、韓国語、中国語(繁体字=台湾・香港向け)の3言語でインターネットにより情報を提供するWebサイト「Accommodations JAPAN」(http://www.e-stay.jp)を構築し、運営している。(平成18年3月末現在登録施設数:1,342施設)
3)旅行会社の招請、商談会の開催
平成17年9月、東京において、YOKOSO! JAPANトラベルマートが開催され、海外から旅行会社175社179名がバイヤーとして、国内から371団体・企業がサプライヤーとして参加し、各団体・企業のブースにおいて積極的な商談・情報交換が行われた。
また、台湾については、日本の新たな観光魅力として雪資源を活用したツアー造成を支援するため、平成17年12月に台湾の航空会社1社、旅行会社9社及びメディア2社を招請し、群馬県、長野県、新潟県内のスキー場や冬季体験メニューを視察するとともに、地元のスキー場運営企業、自治体、観光関連団体・企業と意見交換を行った。
同年7月、米国のツアーオペレーター11社11名を招請し、日本の代表的な観光ルートを紹介するとともに、日本の旅行業者との商談会を開催し、日本への旅行商品造成の促進を図った。ツアーは概ね好評で、商談会では、ツアー造成に向け活発に情報交換が行われた。
また、平成18年1月には、世界最大のクルーズ市場である米国のクルーズ会社の役員等8名を招請し、港湾関係者16港、旅行業関係者20社等の参加を得て「ジャパン・クルーズ・シンポジウムin横浜」が開催された。シンポジウムの一環として、「クルーズ・ナイト・イン・ヨコハマ」が北側国土交通大臣、中田横浜市長や、この場でVJC米国親善大使に任命された「PUFFY」等の参加を得て盛大に行われた。また、各港湾関係者と米国クルーズ会社との商談会も開催され、積極的なポートセールスが行われた。
カナダ市場においては、訪日旅行商品を直接、旅行者に販売するリテーラー(旅行商品販売者)であっても、訪日経験のある者は少なく、かつ、訪日旅行に関する知識・情報を有する者も少ないため、現地のツアーオペレーター(旅行商品造成者)が訪日旅行商品を造成してもなかなか販売に結びつかないという現状がある。
そこで、リテーラーの中に、カナダ市場の主なターゲットである中・高所得者層向けの訪日旅行商品を扱うツアーオペレーターと提携している者もいることから、まず、そのようなリテーラーに対して日本の魅力をアピールすることによって、日本を旅行先とする意識を持たせることとした。あわせて、リテーラーの訪日旅行への習熟と訪日旅行商品の販売促進、さらには、カナダからの訪日旅行者増加を目的として関係者の招請を行った。
「北海道観光ビジネスフォーラム」の開催に合わせ、シンガポールより7社、タイより5社の旅行会社を招請し、都内ホテルでセミナーを開催し、日本への旅行商品造成の促進を図った。
4)メディア関係者の招請
平成18年2月、米国メディア関係者2名を招聘し、米国発の日本酒をテーマとした「酒ツアー」のグループに同行取材を行ってもらった。この「酒ツアー」は、米国を中心に世界中で約100のレストラン・チェーン「BENIHANA」等を展開している実業家のロッキー青木氏が主催する日本酒愛好家団体の会員約20名を対象に企画されたもので、ロッキー青木氏自らが案内役となり、東京、京都、滋賀などを訪問し、酒蔵見学、温泉旅館体験等を行った。このツアーの模様は国内の多数のメディアでも取り上げられた。また、日本外国特派員協会主催の利き酒イベントにも特別参加し、専門家の解説により日本酒に関する知識を深める機会も設けられた。米国では健康志向による日本食ブームとも相呼応して、今後日本酒の人気が高まっていくことは確実であり、訪日旅行の動機付けとして日本酒は有力なツールになると期待される。
日本の伝統文化、産業、観光地等の紹介をテレビ等のメディアを通じて行うことによって、カナダの一般消費者に日本の魅力をPRするとともに、新たな旅行商品の開発につなげることで、訪日外国人旅行者数の増加を図ることを目的として、テレビ局(Discovery Channel Canada)の番組(Daily Planet)担当プロデューサー及びカメラマンを招請し、日本を紹介する番組の撮影・放送を行った。「Daily Planet」は科学、最新技術、冒険的な物語を一般の人に分かりやすく、かつ面白く解説する教養番組で、同テレビ局の看板番組であり、視聴者数は430万人である。同番組はカナダのみならず、米国、南米地域でも放送されており、カナダに加えて、米国、南米地域における広報効果も期待できる。
5)新聞・雑誌・テレビ等メディアを通じたPR
ア)Lonely Planet社へのTV取材への協力
平成17年11月に世界有数の英字旅行ガイドブック出版社Lonely Planet社が作成する旅行紹介TV番組「Lonely Planet6ix Degrees」の東京特集の取材のためTV取材班が来日し、東京の秋葉原、築地、東京駅、新宿、浅草の取材を行った際、各種協力を行った。
イ)メディアを通じたPRの実施
台湾市場では、平成16年度に引き続き、ビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)台湾親善大使に任命された台湾のトップモデル兼タレントの林志玲(リン・チーリン)さん等を起用して、日本の観光魅力を紹介するテレビ番組「YOKOSO! JAPAN-日本再発現II」として30分番組を制作し放映するとともに、愛・地球博を紹介するテレビ特番「YOKOSO! JAPAN特集」(1時間番組)を制作し放映したほか、台湾の主要新聞・雑誌にも、愛・地球博期間中やその後の短期査証恒久免除、YOKOSO! JAPAN WEEKSの告知広告などを掲載した。
また、ケーブルテレビ局を通じて、愛・地球博への誘致や個人旅行誘致宣伝のための、2分間コマーシャルを放送するとともに、ラジオ局を通じてVJCコーナー「YOKOSO! JAPAN」を放送し、日本の観光情報や査証恒久免除、YOKOSO! JAPAN WEEKS等の広報を行った。
香港市場では、平成17年、ビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)香港親善大使に任命された香港の人気歌手であるイーソン・チャンを起用し、日本を巡りながら国内各地の魅力を紹介する旅番組を制作して地元TVで放映したほか、新聞広告等による日本の魅力のPRを行った。
米国市場では、新聞、雑誌、テレビ、インターネット等のメディアを通じた日本のPRを行ったほか、米国の旅行サイトTravelocityにホテルや交通機関等のブッキングエンジンを搭載した日本スーパーサイトを設けた。これによりホテル等へのブッキング数が大幅にアップした。
また、AMEX等米国大手旅行流通網と連携したプロモーションを行い、平成17年中に5,233人のAMEXカード会員が日本に訪れ、会員が日本旅行中に費やした金額は15億6,343万円にも上った。
その他、米国の訪日旅行者の4割を占める西海岸からの訪日ツアー販売促進のため、アジア系米国人向けの世界日報及び星島日報への広告掲載、中華系米国人イベントや観光大使コンテストへの出展、高学歴・高収入のシニア層に対するシンガポール政府観光局との共同プロモーションを一体的に行い、平成17年9月・10月の2ヵ月間で、合わせて約4,700件もの訪日旅行の予約が旅行会社に入るなど、大きな成果を挙げた。
さらには、米国で積極的な音楽活動を展開して人気を集め、アニメ番組の主人公のモデルとなるなど、我が国文化の紹介に貢献しているアーティストのPUFFYをビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)米国親善大使に任命した。任命式は平成18年1月に横浜で行われた「クルーズ・ナイト・イン・ヨコハマ」に合わせて行われ、多くの報道陣が集まった。
カナダ市場では、バンクーバーを中心とする西海岸に、多くの中華系・韓国系カナダ人が居住しており、頻繁に母国への里帰りを行っているが、中でも旧正月の時期には多くの者が里帰りを行っている。
これらの者のストップオーバー需要をとらえるため、カナダ西海岸地域の中華系・韓国系カナダ人が購読する新聞において、VJC広告と現地の中華系・韓国系旅行会社の訪日旅行商品の募集広告との共同広告を集中的に実施した。この共同広告の実施時期が平成18年1月20日より開催された「YOKOSO! JAPAN WEEKS」の期間中であったことから、協力旅行会社の訪日旅行商品の利用者は約800人に上り、従来とは大きく異なる需要トレンドを示すなど、大きな成果を挙げた。
シンガポール市場においては、平成17年8月に訪日旅行造成エージェント、観光関連事業者及びマスコミを招いてのセミナーを開催し、VJCの取組状況の説明と訪日旅行商品造成に関わる情報提供を行った。あわせて、VJCのサポーターであるアイドルグループの美勇伝が出演して「ジャパン・ミュージック・フェスタ・2005」を開催したところ、インターネットを通じて入場券を申し込んだ800名近いシンガポール市民が会場に集まり、シンガポール人の日本に対する関心の高さがうかがわれた。
さらに、シンガポール及びタイにおいて「YOKOSO! JAPAN WEEKS」の開催を告知する新聞広告の掲載事業を行い、当該時期における訪日旅行者の誘客を図った。

▲平成16年度に引き続き国土交通大臣からVJC台湾親善大使に任命された林志玲さん




▲PUFFYのVJC米国親善大使への任命



6)大規模な旅行博への出展
日本の観光魅力をアピールするため、重点市場で開催された旅行博に出展するとともに、来場者に対しアンケート調査を実施し、日本へのツアー造成に対する課題や関心度を把握するとともに、今後の事業展開へ向けて情報収集を行った。
香港市場では、平成17年6月に香港最大級の国際旅行見本市である「ITE2005」にVJCブースを設置し、官民共同で日本ゾーンを形成し、現地旅行業関係者をはじめ、マスコミや一般消費者を対象としたプロモーション活動を集中的に展開した。また、平成17年は「日港交流年」であったことから、香港日本人倶楽部の創立50周年記念事業と共同で「日本の祭2005(Matsuri Japan 2005)」を開催し、35,000人の来場者に対し、お祭りやグルメ、アニメ等の日本の魅力をPRした。
米国市場では、平成18年1月に「ロサンゼルスタイムス・トラベルショー」、同2月に「ニューヨークタイムズ・トラベルショー」に出展し、プロモーションを行った。「ロサンゼルスタイムス・トラベルショー」には約14,000人、「ニューヨークタイムズ・トラベルショー」には約27,000人の入場者が訪れた。双方のイベントとも、多くの日本の自治体や企業も参加し、共同でプロモーション活動を行った。また、現地の旅行業者向けのセミナーも併せて行った。ブース及びセミナー会場では、京都から参加した舞妓の踊りが披露され、大変多くの人々の注目を集めた。
また、平成18年3月にはマイアミで行われた世界最大のクルーズ・ショーである「シートレードショー」に出展し、米国のクルーズ会社等に日本の港や観光地等のPRを行った。
カナダ市場では、旅行業関係者等にVJCについて周知するとともに、日本の観光魅力をPRするため、平成17年8月にバンクーバーで開催された「アディソン・トラベル・トレード・ショー」、同年11月にトロントで開催された「トラベル・アンド・レジャー・ショー」にVJCブースを出展し、プロモーションを行った。「アディソン・トラベル・トレード・ショー」には約800人(旅行業等関係者)、「トラベル・アンド・レジャー・ショー」には約18,700人(旅行業等関係者及び一般消費者)の入場者が訪れた。双方のイベントとも、旅行業関係者等に訪日旅行関係の情報提供を行うとともに、現地の旅行市場に関する情報収集や旅行業関係者等とのネットワークの構築を行った。
シンガポール市場では、平成17年9月及び平成18年3月にシンガポール旅行業者協会(NATAS)が主催するシンガポールでの最大の旅行フェア(来場者数5万人)にVJCブースを出展した。日本の四季をコンセプトに装飾を行い、キャンペーンビデオの紹介や日本情報に詳しいアテンド要員による詳細情報の提供を行った。
タイ市場のバンコクにおいて、平成17年8月に開催されたインターナショナル・トラベルフェアは、来場者数が25万人とタイにおける最大の消費者向け旅行フェアであり、ここに、下期の旅行商品販売に合わせ「日本の秋、冬」をテーマに紅葉や雪だるまを模した展示物を作成するなどしたVJCブースを出展し、日本への旅行をPRした。

表3-1-2 旅行博一覧



7)国内広報事業
訪日ツーリズムの重要性に対する理解を広め、訪日外国人旅行者を歓迎する機運を醸成するため、「YOKOSO! JAPAN」及び「YOKOSO! JAPAN WEEKS」のロゴ・キャッチフレーズを活用して、国内イベントへの出展、新聞広告への掲載、セミナー、シンポジウムの開催等各種国内広報事業を実施した。
ア 旅フェア2005インバウンド事業の実施(幕張メッセ)
平成17年4月に開催された「旅フェア2005」に連動し、海外の訪日旅行取扱事業者等を日本へ招請し、成田からのストップオーバー客向け観光ルート視察、国内観光業界関係者との商談会を実施した。
イ YOKOSO! JAPANトラベルマート(東京ビックサイト)
平成17年9月に開催された「JATA国際観光会議・世界旅行博2005」に連動し、海外の訪日旅行取扱事業者等を日本へ招請し、全国各地の13の視察コースを海外の旅行会社等に視察してもらうとともに、商談会を実施した。
また、開催期間中、日中韓姉妹(友好)都市交流を通じた観光交流拡大に関するシンポジウムを開催した。
ウ YOKOSO! JAPAN WEEKS
平成18年1月20日(金)から同年2月20日(月)の間、中華圏・韓国の春節・旧正月に合わせた集中キャンペーン「YOKOSO! JAPAN WEEKS 2006」を実施した。この中で、外国人歓迎の意識を高めるため「ようこそ!アクション」や「折鶴キャンペーン」等国民参加型の取組を実施し、「おもてなしのこころ」の日本国内での醸成に努めた。

▲ YOKOSO! JAPAN WEEKSポスター



8)地方連携事業
観光立国を実現するための施策の推進に当たっては、地方自治体等との連携が極めて重要であることから、特に、訪日観光促進への熱意が強く、優れた企画力を有する地域との連携を強化し、地域のイニシアティブを生かした魅力あるVJC事業を推進している。その代表的事例として「YOKOSO JAPAN東北・夏」を以下に紹介する。
平成17年8月、東北運輸局は地元の関係機関、運輸・観光事業者と連携して、「YOKOSO JAPAN東北・夏」を開催した。
この事業は東北地方におけるVJC地方連携事業の一環として、韓国・台湾・米国・中国・香港の5大市場の有力旅行エージェント・マスコミ等41名を東北地方に招請し、東北の夏の祭りに直接触れて理解を深めてもらうとともに、今後の東北地方への旅行商品開発の具体化に向けた誘客プロモーション事業(インバウンドセミナー、マスコミ懇談会、商談会)が行われた。
視察では以下の3コースに分かれて、東北の伝統的な祭り及び観光施設等を見学した。
Aコース
盛岡さんさ踊り→宮沢賢治記念館→えさし藤原の郷→角館武家屋敷→秋田竿灯まつり→男鹿真山伝承館・秋田なまはげ館→仙台七夕祭り→会津藩校→国際シンポジウム
Bコース
盛岡さんさ踊り→盛岡手づくり村→小岩井農場→十和田湖→青森ねぶた祭り→山寺→山形花笠踊り→仙台城址→仙台七夕祭り→国際シンポジウム
Cコース
盛岡さんさ踊り→盛岡手づくり村→小岩井農場→十和田湖→青森ねぶた祭り→三内丸山遺跡→大潟村→秋田なまはげ館→秋田竿灯まつり→宮城蔵王→山形花笠踊り→仙台七夕→国際シンポジウム
視察後には国際シンポジウムが開かれ、東北地方の観光魅力に関するプレゼンテーションや伝統芸能の披露が行われた。
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