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平成17年度観光の状況

第3章 訪日促進を中心とする国際観光交流促進施策

第1節 ビジット・ジャパン・キャンペーンを中心とした日本の魅力の戦略的なPR活動

2 国際観光振興機構による広報・宣伝活動


独立行政法人国際観光振興機構(JNTO)は、世界の主要13都市に海外観光宣伝事務所を設け、在外公館、地方公共団体、関係団体と協力、連携しながら、積極的に日本の観光魅力の広報、宣伝を行っている(表3‐1‐3)。平成17年度は、愛・地球博の開催に合わせて平成17年3月に短期滞在訪日査証が免除された韓国及び台湾からの観光客誘致活動を強化した。同年7月25日には、従来3直轄市(北京市、上海市、天津市)5省(広東省、江蘇省、浙江省、山東省、遼寧省)在住者に限られていた訪日団体観光客への査証発給地域が、中国全土に拡大され、中国市場において各種旅行展示会への出展や旅行関係者の招請等、誘致事業を展開した。また、中国の旅行会社に対して教育プログラムを実施し、訪日旅行に関する業界知識の向上にも努めた。

表3-1-3 国際観光振興機構の海外観光宣伝事務所(13箇所)の配置状況



また、平成17年4月には、オーストラリア、カナダ、シンガポール及びタイがビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)の重点対象地域に追加指定された。これを受け、訪日旅行者の増加が著しいこれらの地域を対象とした誘致活動も充実させた。なお、平成18年5月には、東南アジアの拠点として、バンコク事務所に加え、シンガポール観光宣伝事務所を新規に開設する予定である。

  (1) 訪日旅行促進キャンペーン

VJC事業を海外で実施するとともに、VJCの相乗効果を狙い、各市場で種々の観光プロモーション事業を実施した。
アジアの主なプロモーション・キャンペーンとして、まず韓国においては最近のブームを反映させたゴルフツアー、スキーツアーの造成支援を行った。日本では、宿泊機関等受入側との商談会を組み合わせた視察ツアーを実施した。同時に韓国市場では、羽田-金浦線の増便に伴い、日刊紙、フリーペーパー、バスの車体を利用した東京への誘致広告を大々的に展開した。
中国では旅行会社の日本に対する専門知識がまだ不足しているため、独自に作成したテキストを用い、旅行会社の企画担当者、販売担当者を対象にした日本セミナーを9都市で開催した。
香港では2005年(平成17年)が日港交流年であったことから、ビクトリアパークにて大規模な日本観光PRイベント「日本の祭2005」を、延べ35,000人を集めて開催した。
平成17年度よりVJC対象国となったタイにおいては、認知度向上をねらい、平成17年6月、8月、平成18年2月と代表的な国際旅行見本市に出展し、日本観光PRを行った。また、シンガポールでも日本の芸能人を招いたイベントや国際旅行博に出展しPRを行った。
米国向けには、平成17年12月、クルーズ船運航キーパーソン招請事業を実施した。同事業では、北陸、北海道及び横浜の港湾視察を組み、主な日本の港湾施設及び受入体制に対する米国側業界関係者のイメージ把握を促進した。また、平成18年1月には、クルーズ・シンポジウムを横浜で開催した。地方自治体等との連携を生かしたこれらの継続的な支援は、寄港回数の増加、寄港都市の多様化及び乗船顧客の量的拡大等の実績に結びついている。
カナダでは、日本と近隣諸国を組み合わせたマルチデスティネーションツアーの造成と、その販売支援を目的にした「プラス・ジャパンツアー造成・販売支援事業」を展開した。同事業は、中国、香港、韓国等の政府観光局と連携することで、より一層の販売促進効果を図るもので、今後、訪日旅行需要の拡大が期待される。
英国では、ハリウッド映画「Memoirs of a Geisha」の公開を受け、配給会社、日系航空会社と共同で、映画公開と連動した広告キャンペーンを一流日刊紙と組み展開した。また、消費者向け旅行見本市「Destinations2006」への出展のほか、日系旅行会社による同映画にちなんだ特別企画訪日旅行商品の販売支援等を行い、伝統的日本の紹介に大きく寄与した。
ドイツでは、欧州ランキング一位を誇る巨大企業グループである「TUI社」が初めて訪日ツアーを2本造成し、同ツアーは2006年の夏カタログ(2006年4月~2006年10月、50万部発行)に新規ディスティネーションとして掲載された。今後、日本の飛躍的な知名度向上及び訪日旅行商品の販売拡大が期待されている。
フランスでは、国際観光振興機構の取材支援の結果、世界有数の旅行ガイドブック「ロンリープラネット」のフランス語版「日本」が2月下旬に刊行された。欧州における今年度の事業の重点テーマとして、「日本の食文化と伝統文化」が掲げられており、初版のフランス語版「日本」には、従来から英語版に掲載されている内容に加え「食」の章が追加された。
季節が日本と正反対のオーストラリア国内では、ニセコの人気は定着しつつある。国際観光振興機構は、訪日スキーツアー商品の造成を今後更に拡大させるため、オーストラリア航空「新千歳-ケアンズ線(11月より週2便定期便として運航)」を利用したニセコへの現地視察旅行を、現地旅行会社を対象に行なった。また、平成17年度は長野(志賀高原、白馬)へもジャーナリストを招請し、ニセコ以外のスキーリゾート地の認知度向上、訪日スキー客拡大に努めた。

  (2) ウェブサイトによる観光情報発信システムの運営

国際観光振興機構は、インターネットで日本の観光魅力と旅行情報を発信するため、国際観光振興機構ウェブサイト(http://www.jnto.go.jp)を構築、運営している。
当ウェブサイトは、日本の観光を海外に向けてPRする総合観光ポータルサイトとして、海外の各種旅行ガイドブックや、Google、Yahoo等の検索ポータルサイトからも利用価値の高いウェブサイトとして評価されており、平成17年度の年間総アクセス件数は約2,930万件(ページビュー換算)に達した。同サイトの主な特色は以下のとおりである。
1)総計7,000ページにも及ぶ豊富なコンテンツを有し、旅行基本情報(気候・出入国手続・通貨等)、交通、宿泊、飲食、文化、行祭事、全都道府県400観光地の情報、12の国際観光テーマ地区のモデルコース等、訪日旅行者の広範な情報ニーズに対応している。
2)訪日旅行市場における主要6言語(英語、韓国語、中国語簡体字及び繁体字、ドイツ語、フランス語)で情報提供を行っており、これにより訪日旅行者数の約9割をカバーしている。
3)日本を代表する10の宿泊予約サイト(英語版)の横断的検索により、低廉なバックパッカー向け施設から高級ホテル・旅館まで、ニーズに応じた宿泊施設情報を提供している。
4)コンベンション、インセンティブ旅行、スペシャルインタレストツアー(SIT)等、専門分野の情報も登載している。
5)海外旅行会社のパンフレットや海外の新聞・雑誌等への、日本の観光魅力画像の容易かつタイムリーな掲載を促進するため、高品質画像をデータベース化し、ウェブフォトライブラリーにて平成17年7月から提供を開始している(高画質版は登録制)。
6)北米、英国、韓国(同年9月から稼動)在住の旅行者層の情報ニーズに応えるため、国際観光振興機構の海外観光宣伝事務所が運用する現地ウェブサイトにて、当該地域からの日本向け旅行商品や現地旅行会社等の紹介等、個別市場向けの情報も発信している。

  (3) 外国人の一般旅行者に対する宣伝活動

1)海外における観光展への参加・協力
韓国国際観光展示会(KOTFA)、中国国際旅遊交易会(CITM)、香港国際旅遊交易会(ITE)、ワールドトラベルマーケット(WTM)、ベルリン国際旅行見本市(ITBベルリン)等海外の有力な国際旅行見本市への出展等を通じて日本の観光魅力の紹介を行った。
2)各国の有力紙、テレビ等を通じた広報活動
各国の有力紙、テレビ等を通じた広報活動を行い、日本の地方の観光魅力の紹介、日本人及び日本文化との触れ合い等の魅力の紹介を行った。

  (4) 海外の旅行業者・報道関係者等に対する宣伝活動

1)海外の旅行業者に対する広報活動
世界の主要都市において、地方公共団体や旅行関連業界との共催・連携により、海外の旅行業者を対象とした訪日旅行促進セミナーの開催やニュースレターの発行により、日本の観光魅力や最新の訪日旅行情報等の紹介及び提供を行った。また、訪日ツアー開発を目的に海外の有力旅行会社の商品企画担当者を招請したほか、中国については、日本セミナーを受講したカウンターセールススタッフの日本に関する知識向上と販売意欲の醸成を目的に、旅行会社スタッフを対象に訪日視察旅行を実施した。
国内においては平成17年4月21日及び22日に、台湾・韓国をはじめとする50の海外の旅行業者を招請して「旅フェア2005インバウンド商談会」を開催した。また、平成17年9月22日及び23日に、海外の旅行業者175社及びメディア7社を招請して、「YOKOSO! JAPANトラベルマートインバウンド商談会」を開催した。
2)海外報道関係者の招請、取材協力
海外での日本の観光魅力の紹介、対日理解の増進を図る上で極めて効果的である外国報道関係者等の招請、取材協力を多数行った。その結果、諸外国の新聞、雑誌、テレビ、ラジオ等を通じて日本紹介の報道が行われた(表3‐1‐4)。

表3-1-4 国際観光振興機構の招請及び取材協力による日本紹介報道の一例




  (5) 多様な媒体による宣伝活動

1)宣伝印刷物の作成、配布
日本の観光地、観光情報等を掲載した各種パンフレット、地図等を多言語で作成し、国際観光振興機構の海外観光宣伝事務所、総合観光案内所(TIC)等を通じて、広く配布した。
2)映像媒体を活用した宣伝
日本の観光魅力を紹介する映像媒体を海外各地で開催されるイベント、セミナー、博覧会等で上映したほか、航空会社、旅行業者、学校、一般団体等に貸し出し、テレビ放映等に幅広く利用された。
さらに、日本の観光地を撮影した画像を国内及び海外のマスメディア、旅行会社等に貸し出し、雑誌や旅行パンフレット等に幅広く掲載された。
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