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平成19年度観光の状況
第I部 観光政策の新たな展開
第2章 環境保全を通じた持続的かつ魅力ある観光
近年、環境を巡る議論が活発に行われ、環境と開発を相反するものではなく共存し得るものと捉え、人間活動の基盤である環境を保全しつつ節度ある開発を進めることにより、現在世代だけでなく将来世代の利益も確保すべきであるとする「持続可能な開発」の実現が提唱されている。環境を巡る国民の意識も高まりを見せており、従来は環境や自然は無料という意識が強かったが、近年では一度壊すと取り戻せない不可逆的なものであり、環境保全の取組にはコストがかかるという意識が浸透しつつある。
一方、観光活動は、昭和30年代、国民の所得水準の向上や余暇時間の増大に伴い、生活の一部として定着したが、観光に対する多くの国民のイメージは、物見遊山・レジャーというものであった。しかしながら、その後の社会経済情勢の変化や本格的な国際交流の進展、経済のソフト化の進展等に伴い、観光の持つ社会的・文化的・経済的意義の重要性への認識が高まり、平成18年の「観光立国推進基本法」の成立により、観光立国は、国全体で官民を挙げて取り組むべき、21世紀の重要な政策として明確に位置付けられることとなった。
この「観光立国推進基本法」は、観光を通じて地域の活性化を持続的に図っていくことを強く後押しするものであり、そのような中で、観光地における環境及び良好な景観の保全も重要な施策の一つとして位置付けられている。我が国の観光地でも、景観保全や観光資源保護の活動等により、住みやすく魅力的な観光まちづくりを行うなどの取組が既に活発に行われているが、あらゆる分野において環境保全への対応が益々求められる中、地域の文化・自然等の環境要素が観光資源として、その地域の魅力の源泉となっているような観光地域においては、今後、一層、環境保全の取組の重要性が高まると考えられる。
そこで、観光産業や観光地が環境保全の取組を強化することが、観光地の魅力向上につながり、ひいては、観光地の持続的な発展や「住んでよし、訪れてよし」の観光地づくりに貢献することを検証する。
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