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平成19年度観光の状況

第II部 平成18年度の観光の状況及び施策

第1章 環境の現状

第1節 国民の観光の動向



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  (1) 国内宿泊観光旅行の概況

 平成19年度における国民1人当たりの国内宿泊観光旅行回数は、1.54回と推計され、対前年度比で8.3%減となっている。また、国民1人当たりの国内宿泊観光旅行宿泊数は、2.47泊と推計され、対前年度比9.2%減となっている(図II-1-1-1)。

図II-1-1-1 国内宿泊観光旅行の回数及び宿泊数の推移



国内宿泊観光旅行の減少の背景
 厚生労働省「平成19年就労条件総合調査」によると、労働者1人平均年次有給休暇の取得日数は、減少傾向にあり平成18年は8.4日と過去最低水準となっている。また、(財)社会経済生産性本部「レジャー白書2007」の余暇時間に関する意識調査によると、「余暇時間が増えた」と感じる人の割合は減少している。
 一方、余暇活動の参加人口推計の推移を見ると、「国内観光」、「ドライブ」等の観光・行楽系レジャーは減少傾向にある一方、「外食」、「テレビゲーム」等比較的手軽に楽しめるレジャーは横ばい又は増加している(図II-1-1-2)。

図II-1-1-2 余暇活動の参加人口推計



 以上のように、国内宿泊観光旅行の減少の背景として、労働者1人平均年次有給休暇の取得日数の減少や、限られた余暇を比較的手軽なレジャーに消費するという余暇活動の動向等が考えられるが、既存の調査・統計データからは、国内宿泊観光旅行の減少理由を特定することは困難であり、今後、さらなる調査・分析が必要である。

  (2) 宿泊の概況

 平成19年1月より1)全国統一基準により、2)すべての都道府県を対象に、3)従業者数10人以上のホテル、旅館、簡易宿所の宿泊者数等を調査する、国土交通省「宿泊旅行統計調査」を開始した。この調査結果によると、平成19年1月から12月における延べ宿泊者数は全体で3億445万人泊であり、このうち、国民の延べ宿泊者数は全体で2億8,254万人泊であった。
 これを月別に見ると8月が3,140万人泊と一番多く1月が2,058万人泊と一番少なくなっている(図II-1-1-3)。

図II-1-1-3 国民の月別延べ宿泊者数(平成19年)




  2 国民の海外旅行の動向


  (1) 海外旅行者数の推移

 平成19年の海外旅行者数は、約1,729万人となった。全般的に遠距離よりも近距離の旅行地に向かう傾向が見られ、前年に比べると約24万人減少し、対前年比1.4%減であった(図II-1-1-4)。

図II-1-1-4 日本人の海外旅行者数の推移



 月別に見ると、主要通貨に対して概ね円安基調で推移し、また原油価格が年間を通じて高騰していたこともあり、国民の海外旅行に対する割高感が生じたため、全般的に出国日本人が減少する結果となり、正月休暇の曜日配列が良かった平成19年1月を除き全般的にマイナス基調に推移した。また60歳以上の出国者は増加したものの、40歳未満の出国者が減少傾向にあり、出国日本人数全体の伸びを押し下げた(図II-1-1-5)。

図II-1-1-5 海外旅行者数の月別推移(平成19年)



 なお、平成17年における各国の海外旅行者数を比較して見ると、日本の17,404千人は世界で12位となり、前年の14位より2ランク上昇した(図II-1-1-6)。

図II-1-1-6 各国の海外旅行者数国際ランキング(2005年)




  (2) 海外旅行者の動向

 旅行日数を滞在期間6月以内の帰国日本人に関して見ると、平成19年は、5日以内が60.3%、10日以内が26.0%と前年に比べ5日以内の比率が増えている(図II-1-1-7)。

図II-1-1-7 海外旅行者の滞在期間比率推移



 性別構成を見ると、男性は全体の56.7%にあたる981万人、女性は全体の43.3%にあたる748万人であり、男性の比率がわずかに増加した(図II-1-1-8)。

図II-1-1-8 海外旅行者の性別構成比の推移



 年齢階層別に見ると、男性の場合、40代が224万人(男性全体の22.8%)と最も多く、次いで30代211万人(同21.5%)の順となっているのに対し、女性の場合には20代が172万人(女性全体の23.0%)と最も多く、次いで30代156万人(同20.8%)の順となっている(図II-1-1-9)。

図II-1-1-9 海外旅行者の性別・年齢階層別推移




  (3) 海外旅行者の出国時の輸送手段

 海外旅行者の出国時の輸送手段を見ると、総数1,729万人のうち、1,710.7万人、全体の98.9%が航空機を利用している。空港別利用状況では、成田国際空港利用がトップで、出国日本人全体の55.2%を占め、次いで関西国際空港利用が21.3%となっている。海上輸送は、18.8万人で、全体の1.1%となっている(図II-1-1-10)。

図II-1-1-10 出国日本人の旅客輸送の状況(平成19年)




  3 国民の旅行等に関する意識の動向と実態


  (1) レジャー・余暇生活に関する意識の動向

 今後の生活で重点をおきたい分野は「レジャー・余暇生活」を挙げるものが35.1%と最も多く、以下「所得・収入」、「食生活」と続いている(図II-1-1-11、図II-1-1-12)。

図II-1-1-11 今後の生活の力点(平成19年)




図II-1-1-12 今後の生活の力点の推移




  (2) 旅行に対する潜在需要

 余暇活動の潜在需要を参加希望率から実際の参加率を引いた数値で見ると、第1位は性別・年齢問わず「海外旅行」が最も高く、第2位が「国内観光旅行(避暑、避寒、温泉等)」となっている。このように、観光旅行に対する潜在需要は多様な余暇活動の中で依然として高いことがうかがえる(図II-1-1-13)。

図II-1-1-13 余暇活動の潜在需要(上位10種目)




  (3) 国民の旅行実態

 宿泊費やパック旅行等の旅行関連の支出の推移を見ると、支出額及び自由時間関連支出に占める割合が、前年に比べて増加している(図II-1-1-14)。

図II-1-1-14 旅行関連の支出の自由時間関連支出等に占める割合の推移



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