前(節)へ   次(節)へ
第I部 観光政策の新たな展開

第2章 観光立国の実現に向けた国際的な旅行動向の把握と分析

2 日本、フランス、韓国における観光旅行の動向

(5) 海外からの旅行者の受入れに関する意識


1) 海外からの旅行者の重要性
 海外からの旅行者の受入れについての意識を見ると、「非常に重要であり、より一層増やす必要がある」とする回答が、日本(64.9%)、韓国(89.2%)ともに高くなっており、外国人旅行者を受け入れる重要性に対する意識が強いことがうかがえる。一方、外国人旅行者受入れ数が世界で最も多いフランスにおいては、外国人旅行者の受入れを増やすべきという回答は53.0%であり、外国人旅行者の受入れは重要ではあるがこれ以上増やす必要はないという回答(33.9%)が日本・韓国に比べて多くなっている(図I-2-1-22)。

図I-2-1-22 海外からの旅行者受入れについての意識


 外国人旅行者の受入れが重要と考える理由について見ると、各国とも「観光収入が増えることにより、経済が豊かになる」とする回答が最も多い。日本については、観光収入の増加について、69.5%が回答しており、「国際交流が進み相互理解が深まる」が47.3%で続いている。韓国では、「国の文化を理解したファンが増加し、ブランド力が向上する」という回答(51.4%)が、日本(20.8%)、フランス(11.7%)を大きく上回っている(図I-2-1-23)。

図I-2-1-23 海外からの旅行者の重要性


2) 海外からの旅行者の問題点
 外国人旅行者の受入れに関する問題点について見ると、日本・韓国では、「治安が悪化し、犯罪が増加する恐れがある」「言語、文化の違い等から、地域社会の中でトラブルが多くなる」とする治安面での不安に関する回答が多くなっているが、フランスでは、これらの点を指摘する回答は1割未満と少ない。フランスは世界で最も外国人旅行者の受入れ数が多い国であるが、「問題となる点はない」(48.6%)とする回答が最も多く、「外国人観光客の増加により、観光地や宿泊施設が混雑する」(25.9%)という回答が続いている(図I-2-1-24)。

図I-2-1-24 海外からの旅行者の問題点


  コラム2 韓国における外国人旅行者の受入れ促進制度  

 韓国では、外国人旅行者の受入れを促進する取組の一環として、平成18年に、済州島に限定して、無査証制の大幅な拡大を行った。具体的には、世界180か国の国民に対して、無査証でも30日から90日までの滞在を認めることとしており、特に中国人旅行者が飛躍的に増えている。済州島を訪れる中国人観光客については、滞在期間が15日から90日までに拡大された結果、制度を拡大する前の平成17年においては3,821人に過ぎなかったが、平成20年には22,913人と約6倍に増加しており、済州島を訪れる無査証入国者のうち、約98%を中国人が占めることとなっている。韓国を訪れる中国人旅行者自体は、平成21年に134万人に達するなど、増加を続けている(平成21年の訪日中国人旅行者は100万人)。

表I-2-1-25 済州島の無査証入国中国人の統計



表I-2-1-26 訪韓中国観光客の現況


前(節)へ   次(節)へ
All Rights Reserved, Copyright (C) 2003, Ministry of Land, Infrastructure and Transport