前(節)へ   次(節)へ
第I部 平成22年度の観光の状況

第1章 政府を挙げた観光政策の推進

第1節 成長分野としての観光行政


 平成18年12月の「観光立国推進基本法」の成立、平成19年6月の「観光立国推進基本計画」の閣議決定等、「観光立国の実現」が21世紀の我が国経済社会の発展のために不可欠な国家的課題とされているところ、観光立国を実現するためには、関係省庁との連携・調整を強化して、政府を挙げて、総合的かつ計画的に観光立国の実現に向けた施策を推進する必要がある。そこで、機能的かつ効果的な業務の遂行を可能とする体制を整備するとともに、観光行政の責任を有する組織を明確化するため、平成20年10月1日に国土交通省の外局として、「観光庁」が発足した。
 平成21年12月には、観光は財政出動に頼らない経済成長を実現するものであるという認識の下、国を挙げて観光立国の実現に取り組むため、国土交通大臣を本部長とし、全府省の副大臣等で構成する「観光立国推進本部」を立ち上げた。本部の下には、中国訪日観光査証の問題を含む外客誘致に係る課題の解決に向けた調整を行う「外客誘致ワーキングチーム」、エコツーリズム、グリーン・ツーリズム、文化観光、産業観光、スポーツ観光、医療観光等多様な観光メニューについて総合的な振興策の検討を行う「観光連携コンソーシアム」、需要の平準化を通じた旅行コストの低減や観光産業の生産性の向上・雇用の安定化等様々な効果をもたらす休暇取得の分散化について検討・調整を行う「休暇分散化ワーキングチーム」という3つのワーキングチームを設置し、関係省庁間で検討を進めている。
 平成22年5月には、各分野の有識者で構成する「国土交通省成長戦略会議」が、観光立国の実現を含む国土交通行政に係る我が国の成長戦略について報告を取りまとめ、さらに、同年6月に閣議決定した政府の「新成長戦略~「元気な日本」復活のシナリオ~」において、観光立国の推進は7つの成長戦略分野の1つとして位置付けられた。
 平成23年3月には東日本大震災が発生し、東北等の観光地に大きな被害を生じるとともに、自粛の風潮や風評被害等により、訪日旅行、国内旅行ともに観光需要が全国的に減少した。しかしながら、観光は被災から新生した地域を支え、日本全体の元気を回復させる柱となるべき分野であり、復興に併せて観光振興への取組を積極的に進めていくこととしている。
前(節)へ   次(節)へ
All Rights Reserved, Copyright (C) 2003, Ministry of Land, Infrastructure and Transport