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観光白書第50号の刊行に当たって


 昭和39年から作成されてきた観光白書は、本年、記念すべき第50号となります。また同時に、本年は、ビジット・ジャパン事業が開始され、観光立国の実現に向けた取組を本格化して10周年を迎える節目の年です。この節目の年に、史上初めて、訪日外国人旅行者数1,000万人を達成し、さらに、2,000万人の高みを目指すためには、政府一丸となって取組みを強化する必要があります。
 このため、安倍総理主宰の観光立国推進閣僚会議において、本年6月に「観光立国実現に向けたアクション・プログラム」をとりまとめました。このプログラムは、必要な施策を以下の4つの重点分野としてとりまとめています。
 第1に、日本ブランドの作り上げと発信です。自然や食、伝統文化から清潔・安全まで、我が国が誇るべきコンテンツを日本ブランドとしてデザインし、様々なチャンネルにより発信していきます。
 第2に、ビザ要件の緩和等による訪日旅行の促進です。本年7月1日から、タイ・マレーシア向けのビザ免除、ベトナム・フィリピン向けの数次ビザ化、インドネシア向け数次ビザの滞在期間延長を実施することを決定しました。
 第3に、外国人旅行者の受入の改善です。出入国手続の迅速化・円滑化、観光地における多言語対応の強化など、全ての分野において、受入の改善を行います。
 第4に、国を挙げた一体的なMICE誘致体制の構築です。世界の会議が様々な形で日本で展開されるということです。
 これらの施策は、我が国の優れた観光資源等のポテンシャルを活かして、世界の人たちを惹きつける観光立国を実現する、その強い意志のもとで進めるものです。今後、国土交通省が中心となって、関係省庁と協力しながら、様々な隘路を打開し、このプログラムを着実に実施していきます。
 日本経済を力強く立て直すためには、成長戦略の柱の1つである観光が、経済・社会をリードしていくことが重要です。また、福島をはじめとする東北の復興を加速化する上でも、観光は、非常に重要な役割を担っています。
 こうした取組みを進める主役となるのは、観光のそれぞれの現場でご活躍されている皆様です。国土交通省においても、現場で頑張っていらっしゃる方々の声をよく聞き、その取組みをしっかり応援していきます。
 将来、訪日外国人旅行者数が年間2,000万人となった暁には、日本社会の景色は大きく変わっていることと思います。アジアで有数の観光立国として、外国人の方々が当たり前のように日本中を旅行し、日本の食や文化を楽しみ、日本人と知り合うようになり、また、数多く開催される国際的な会議やイベントを通じて、人や知識、投資も集積するようになっていることでしょう。このような将来像を見据えて、観光立国の実現に向けて取り組んでいきます。この白書がそのための一助となれば幸いです。



青森県奥入瀬における視察の様子

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