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第I部 観光の状況

第1章 平成24年度の観光の状況

第2節 日本の観光の状況

3 訪日旅行の状況


 平成24年の訪日外国人旅行者数は、837万人(前年比34.6%増、前々年比2.8%減・暫定値)となり、過去最高である平成22年の861万人に次ぐ過去2番目の結果となった。東日本大震災の影響からはほぼ回復したと言えるが、政府による尖閣諸島三島の取得・保有等の外的要因の影響もあり、観光庁が目標としていた900万人には及ばなかった(図I-1-2-7)。

図I-1-2-7 訪日外国人旅行者数の推移


 月別に見ると、平成23年3月以降は、東日本大震災前の平成22年との比較で15ヶ月連続してマイナスが続いたが、平成24年6月に、震災後初めてプラスに転じ、その後年末にかけて回復傾向が鮮明となった(図I-1-2-8)。

図I-1-2-8 訪日外国人旅行者数の伸び率の月別推移(平成24年2月以前は前年比、平成24年3月以降は前々年比)


 国・地域別に見ると、タイからの訪日旅行者数は26万人(前年比79.9%増)となり、単月でも3月を除く11ヶ月で過去最高を更新し、国・地域別の訪日外国人旅行者数第6位に浮上した。また、台湾、中国、マレーシア、インドネシア、インド、ベトナムからの訪日旅行者数も、それぞれ過去最高となった(図I-1-2-9)。
 このうち、前年比でおしなべて高い伸び率を示した東南アジア各国については、好調な経済状況、LCCを含む新規路線の就航や増便、チャーター便の就航による航空座席供給量の増加、訪日プロモーションの効果等が高い伸びに寄与したものと考えられる。タイ、マレーシア、インドネシアについては、2012年に一般短期滞在数次ビザの運用が開始されたことも一因と考えられる。

図I-1-2-9 国・地域別訪日外国人旅行者数(平成24年)


 韓国については、放射能に係る風評被害や円高の影響で訪日旅行者数の回復が遅れていたものの、LCC参入による航空運賃の低下や風評被害対策事業の継続、円高・ウォン安の緩和等の効果もあり、11月以降は急速に回復した。年間の訪日旅行者数は204万人(前年比23.3%増、前々年比16.2%減・暫定値)となり、年間200万人台を確保して14年連続で国・地域別の訪日外国人旅行者数の首位を維持した。
 平成24年が日中国交正常化40周年に当たっていた中国については、多くの旅行者の訪日が期待され、8月までは堅調な伸びを見せたが、9月の政府による尖閣諸島三島の取得・保有以降、団体客を中心に訪日旅行者数は大きく減少した。しかしながら、訪日観光ビザの発給要件緩和やクルーズ需要の増加などにより、年間の訪日旅行者数は、これまでの過去最高であった141万人(平成22年)を上回り、143万人(前年比37.1%増、前々年比1.2%増・暫定値)と過去最高を更新した。
 台湾については、これまでの過去最高であった139万人(平成20年)を上回り、147万人(前年比47.6%増、前々年比15.6%増・暫定値)と過去最高を更新し、中国を抜いて国・地域別の訪日外国人旅行者数第2位に浮上した。これは、訪日プロモーション活動の効果と相俟って、オープンスカイによる航空座席供給量の増加、LCC就航に伴う個人旅行の増加などが要因と考えられる。
 米国については、円高の影響等を受けつつも、放射能への不安はほぼ解消され、訪日旅行者数は72万人(前年比26.8%増、前々年比1.4%減・暫定値)と、東日本震災前とほぼ同じ水準に回復した。
 香港については、放射能に係る風評被害や円高の影響が訪日旅行者数の回復を抑制したものの、9月以降は前々年比で連続してプラスとなり、年間では48万人(前年比32.0%増、前々年比5.3%減・暫定値)であった(図I-1-2-10)。

図I-1-2-10 5大市場からの訪日外国人旅行者数の前々年同月比の推移(平成24年)


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