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第II部 平成24年度に講じた施策(平成24年度施策)

第7章 国際観光の振興

第1節 外国人観光旅客の来訪の促進

4 外国人観光旅客の出入国に関する措置の改善、通訳案内サービスの向上その他の外国人観光旅客の受入体制の確保等



  (1) 外客受入環境の充実

 【再掲】第1章第2節

  (2) 査証発給手続の迅速化・円滑化

 ビザ申請人の利便性向上のため迅速かつ円滑なビザ発給に取り組んでおり、ビザは問題がない限り原則5労働日以内に発給されている。

  (3) 出入国手続の迅速化・円滑化

 出入国審査に要する時間の短縮を図るため、上陸審査における「セカンダリ審査(二次的審査)」、「事前旅客情報システム(APIS)」の効果的活用等を実施するとともに、年間入国者が多い空海港において出入国審査手続に関する案内等を行う「審査ブースコンシェルジュ」を効果的に配置した。また、大型クルーズ船が寄港した際、「寄港地上陸許可制度」を活用することにより厳格さを維持しながらも迅速かつ円滑な入国審査を実施する新しい審査方式を平成24年6月に開始した。
 さらに、新ターミナルの供用が開始された石垣空港をはじめとする地方空港でオンライン化を推進したほか、大型クルーズ船審査への対応として、携帯型端末を増配備し、迅速かつ円滑な審査体制の強化を図った。

  (4) 通訳ガイドの質・量の充実

 「観光立国推進基本計画」において、訪日外国人旅行者3,000万人時代の実現に向けて通訳ガイドの質・量の充実を掲げており、訪日外国人旅行者に質の高い通訳案内サービスを提供する「通訳案内士」をはじめとした通訳ガイドの充実に取り組んでいる。
 平成24年度は、通訳案内士試験の外国語筆記試験への一部マークシート方式導入のほか、筆記試験の免除が受けられる制度を拡充し、フランス語、ドイツ語、中国語、韓国語、日本歴史及び一般常識で免除対象を追加するなど、受験者の利便を向上し通訳案内士の供給拡大につながる措置を講じた。「通訳案内士」の登録者数は、平成24年4月で16,077人となった(図II-7-1-4)。一つの都道府県の範囲に限って通訳案内業務を行うことができる「地域限定通訳案内士」制度は、これまで北海道、岩手県、栃木県、静岡県、長崎県、沖縄県の合計6道県で導入され、登録者数は平成25年4月で354人となった。通訳ガイドの供給拡大と併せて、通訳ガイドが提供する通訳案内サービスの向上を図るため、専門性の高い通訳ガイド育成に向けた研修を実施した。
 さらに、外国人旅行者の需要の多様化に的確に対応するため、通訳案内士以外の者による有償ガイド行為を可能とする特例措置の活用を促進している。平成25年3月までに、「総合特別区域法」に基づく総合特別区域として、「国際医療交流の拠点づくり「りんくうタウン・泉佐野市域」地域活性化総合特区」、「和歌山県「高野・熊野」文化・地域振興総合特区」、「札幌コンテンツ特区」及び「「森里海連環高津川流域ふるさと構想」特区」が認定された。平成25年3月末までに泉佐野市と和歌山県では78人が特区ガイドとなるための研修を修了した。そのほか、同様の特例措置を規定した沖縄振興特別措置法に基づく「沖縄特例通訳案内士育成等事業計画」が平成25年3月に認定された。
 また、グッドウィルガイドの普及促進のため、JNTOでは、街頭・駅等で困っている訪日外国人旅行者を助ける「善意通訳」を、年間を通じて募集している。善意通訳登録者数は57,438人、同行ガイドや国際イベントの通訳補助等の活動を行うため、その有志が結成している「善意通訳組織(SGG)」は全国で89団体となっている(平成25年3月現在)。さらに、善意通訳も含めたボランティアガイドへの訪日外国人旅行者からのアクセスを改善するため、インターネットや観光案内所でボランティアガイドに関する情報を発信する体制を整備した。

図II-7-1-4 「通訳案内士」登録者数(平成24年4月時点)



  (5) 首都圏空港を含めたオープンスカイの推進

 アジアなど海外の旺盛な経済成長を取り込みつつ、世界的な航空自由化に伴う競争環境の変化に対応するため、首都圏空港を含めたオープンスカイの枠組みの構築について、交渉相手国を選定し、日本との往来の大幅な増加が見込まれるアジアや欧米を中心に戦略的に推進してきた。
 平成24年度は、フィンランド、フランス、中国、オランダ、スウェーデン、デンマーク、ノルウェー及びタイとオープンスカイに合意し、全体における合意国・地域は23か国・地域(日本発着総旅客数の割合91%)となった。

  (6) 首都圏空港の強化

 成田国際空港においては、誘導路の新設や駐機場の増設により、年間発着枠が平成25年3月末に25万回から27万回へ拡大し、同時にオープンスカイを実現した。平成25年3月末現在、98都市との間に、国際定期便が就航している。また、羽田空港においては、平成22年10月の再拡張事業の供用開始により、32年ぶりの国際定期便就航を果たした。平成25年3月末現在、16都市との間に国際定期便が就航している。

  (7) 農山漁村での外国人が快適に観光できる環境の整備

 国際競争力の高い魅力ある観光地域の形成に向けた環境整備を図るため、食をはじめとする豊かな地域資源を生かし、集落ぐるみの都市農村交流等を促進する取組を推進する中で、訪日外国人受入れや訪日教育旅行の受入れなどインバウンドの取組について支援を行った。

  (8) 博物館・美術館における外国人への対応の促進


  1) 国立科学博物館

 国立科学博物館では、施設案内パンフレットのほか、ICTを効果的に活用した音声ガイドや展示情報端末を多言語(英語、中国語、韓国語)に対応させるなど、海外からの旅行者をはじめ、すべての人々が利用しやすい環境の充実に努めている。

  2) 国立博物館

 東京、京都、奈良及び九州の各国立博物館を設置する独立行政法人国立文化財機構では、案内板の表示や展示品の説明文等を英語でも表記している。また、英語等のパンフレットを用意しているほか、所蔵している国宝、重要文化財をインターネットで閲覧できるデジタル高精細画像システムを多言語(英語、中国語、韓国語、フランス語)で発信し、対応の促進を図っている。

  3) 国立美術館

 独立行政法人国立美術館では、英語版の施設案内パンフレットやホームページを作成するとともに、館内受付にて英語による応対を行っている。また、作品名等のキャプションの英語併記や所蔵作品検索システムの英語対応等により、展示品等についての理解の促進に努めている。

  (9) 伝統芸能における外国人への対応の促進

 国立劇場・国立演芸場・国立能楽堂・国立文楽劇場・国立劇場おきなわの各劇場を設置する独立行政法人日本芸術文化振興会では、英語版ホームページの公開、歌舞伎・文楽公演における英語版のイヤホンガイドの提供、公演プログラムへの英文掲載、能楽公演における各座席での英語字幕の提供等に取り組んでおり、引き続き実施していく。

  (10) 国立公園等における外国人観光旅行者に向けた情報提供

 国立公園等における公園利用施設の整備にあたり、外国人に向けたインフォメーション機能の強化を図るため、ビジターセンターの展示や案内標識等の多言語表示を進めるとともに、三陸復興国立公園などの英語版ホームページを開設した。
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