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第II部 平成24年度に講じた施策(平成24年度施策)

第8章 観光旅行の促進のための環境の整備

第4節 観光旅行の安全の確保

2 観光旅行における事故の発生の防止



  (1) 公共交通機関の安全対策の推進

 鉄道・自動車・海運・航空の公共交通機関等での一層の安全確保を図るため、従来の保安監査に加え、運輸事業者において経営トップの主体的な関与の下で現場を含む組織が一丸となり安全管理体制を構築・改善し、国がその実施状況を確認する運輸安全マネジメント制度を導入している。制度導入から平成24年12月末までに、延べ5,510社(鉄道930社、自動車666社、海運3,807社、航空107社)に対して運輸安全マネジメント評価を実施した。今後も、運輸安全マネジメント制度の充実や保安監査の強化を行うなど公共交通機関等の安全性の一層の向上を図る。

  (2) 道路交通の安全対策等の推進

 一般道路において交通安全施設等の整備を推進し、このうち行楽地の生活道路において歩道の整備等による安心して移動できる歩行空間ネットワークの整備、最高速度30km/hの区域規制と路側帯の設置・拡幅、車道中央線の抹消等を行う「ゾーン30」等を推進するとともに、幹線道路においては重点的・集中的に交通事故の撲滅を図る「事故ゼロプラン(事故危険区間重点解消作戦)」に取り組んだ。
 近年、外国人観光旅行者等の利用が増加するドライブ観光を促進するため、官民一体となって組織された「北海道外国人観光客ドライブ観光促進連絡協議会」において、冬道における安全運転の啓蒙活動を実施した。

  (3) 宿泊施設の防火安全対策の推進

 ホテル・旅館では、建築物防災週間の機会をとらえて防災査察を実施するなど、防火・避難上の安全確保を図っている。また、平成24年5月に広島県福山市のホテルにおいて発生した火災を受け、全国の特定行政庁にホテル・旅館等の防火・避難対策の緊急点検の実施を依頼し、この結果を踏まえ、違反建築物に対しては速やかな是正指導を行うなど安全対策の徹底を要請している。建築物を点検した際の適合マーク(防火・防災基準点検済証、防火・防災優良認定証等)については、利用者である国民及びホテル・旅館等の事業者に対し、制度の周知を図るとともに、消防法令違反により適合マークが表示できない建築物に対しては、違反是正の徹底を図っている。さらに、事業所の防火・防災管理者に対する講習や資格者による防火・防災管理点検の実施により、火災や地震災害時のホテル・旅館等の実質的な防火・防災安全体制の維持及び充実を図った。

防火・防災優良認定証



  (4) 海外における事故・事件への対応と安全対策

 旅行者に向けて、関係機関と連携しつつ、渡航先の安全情報等や、海外における危機及び安全対策に関する情報を周知した。また、旅行業者に対しては、海外での情勢に関する注意喚起等を実施し、事故等発生時には関係省庁が緊密な連絡を取りつつ情報収集を実施した。

  (5) 旅行事業者に対する安全対策等

 関越自動車道における高速ツアーバス事故、中国の万里の長城付近における遭難事故、エジプトのルクソールでの熱気球事故等の痛ましい事故等が発生したことを踏まえ、旅行業者に対し、再発防止や旅行の安全確保を図るよう、指導、周知等を行った。特に、関越自動車道における高速ツアーバス事故に対しては、高速ツアーバスを企画・実施する旅行業者の乗合バス事業者への移行を図るとともに、移行までの間における高速ツアーバスの安全性向上策等を実施した。さらに、バス事業のあり方検討会を開催し、検討会の検討結果を踏まえ、現行の高速ツアーバスについて平成25年7月末までに新高速乗合バスへの移行を完了させるなど、今後2年間(平成25・26年度)にわたり、安全性向上に向けた取組を集中的に実施する「高速・貸切バス安全・安心回復プラン」を策定した(平成25年4月)。加えて、ツアー登山事故については、平成21年に発生したトムラウシ山遭難事故後の対応の検証を行い、その結果等を踏まえ、具体的な安全確保策を順次実施した。
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