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2008/11/19 第44号
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◆現場レポート
○釧路湿原自然再生事業(北海道開発局釧路開発建設部治水課)
特別天然記念物のタンチョウや氷河期の遺存種といわれるキタサンショウ
ウオなど、貴重な動植物が数多く生息する釧路湿原。釧路川に沿って広がる
日本最大の湿原(2万ヘクタール)で、1980年に日本で最初に『ラムサール条約(正
式名称:特に水鳥の生息地として重要な湿地に関する条約)』に登録され、
その豊かな自然と生態系の保護のため、1987年に国内で28番目の国立公園と
して指定されました。(
http://city.hokkai.or.jp/~kkr946/)
しかし、近年、湿原の環境が劇的に変化しています。釧路湿原の面積は
1947年に比べて約3割も減少しているのです(2004年現在)。この原因は、農
地・宅地の開発により湿原が直接改変されたことによるものと考えられてい
ます。
また、植生の変化も現れており、比較的乾燥したところに育つハンノキ林
の面積が1947年に比べて約4倍に増加しています。この原因は、周辺の土地
利用を図るための河道の直線化や周辺の森林の伐採などにより湿原への土砂
流入量が増加して、湿原が乾燥化しているためだと考えられています。
このような釧路湿原の環境変化を食い止め、湿原を保全・再生させること
を目的に、2003年に地域住民、NPO、専門家、関係行政機関(国土交通省、
環境省、林野庁など)、関係地方公共団体などから構成される釧路湿原自然
再生協議会が設立されました。
協議会の中では、湿原再生小委員会など六つの小委員会において各種対策
が検討され、2007年9月までに六つの実施計画(
http://www.kushiro-wetland.jp/libs/plans#takkobu)
が作成されました。このうち当開発建設部では、「茅沼地区旧川復元実施計
画」と「土砂流入対策実施計画(久著呂川(くちょろがわ))」に携わっています。
実施計画の作成を受け、まず茅沼地区旧川復元事業に2007年1月に着手し
ました。この工事は、1970年代後半に一度直線化された部分(直線部分の延
長1,600m)を埋め戻し、再び旧川に通水するという内容で、2010年までに完
了する予定です。
旧川の復元により、湿原の上流で河川が氾濫しやすくなり、そこで土砂が
堆積するために釧路川から湿原中心部へ流入する土砂量が約3割減少するこ
と、河川水位や地下水位が上昇し河川の氾濫頻度が増加することにより湿原
植生の生育面積が約100ha回復すること、魚類の生息環境が復元される
ことなどの効果が期待されています。
また、久著呂川の土砂流入対策については、湿原に流入する土砂を捕捉す
る土砂調整地の設置に向け、その補足効果を確認する試験を実施しています。
当開発建設部では、今後も地域と連携しながら釧路湿原自然再生事業に取
り組んでいきます。
◆新着情報[11月19日発表分]
【報道発表】※各URLで内容を見ることができます。
◆用語解説
○建設工事紛争審査会
専門的知識が必要になることが多い建設工事の請負契約をめぐる紛争に
ついて、専門家による迅速で簡便な解決を図ることを目的に、建設業法に
基づいて、国土交通省(中央建設工事紛争審査会)及び各都道府県(都道府
県建設工事紛争審査会)に設置されています。
弁護士を中心とした法律委員と、建築・土木・電気・設備などの各技術
分野の学識経験者や建設行政の経験者などの専門委員から構成されており、
専門的、かつ、公正・中立な立場で紛争の解決に当たります。
建設工事紛争審査会
http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/1_6_bt_000172.html