4.2.1.4.1 建築物モデル(LOD3)の概要

建築物モデル(LOD3)は、含むべき地物により、LOD3.0、LOD3.1、LOD3.2及びLOD3.3に分かれる(4-16)。

LOD3.0、LOD3.1、LOD3.2及びLOD3.3は、MMSによる点群や画像等、側面から取得したデータの利用を前提とした区分であり、外壁面や開口部を含む建築物の側面を詳細化する。

標準製品仕様書では原則としてLOD3.0を採用する。ただし、ユースケースの必要に応じてLOD3.1、LOD3.2又はLOD3.3を採用できる。

4-16 — LOD3.0, LOD3.1, LOD3.2及びLOD3.3の区分

建築物モデル(LOD3)に含むべき地物

対応するCityGMLの地物型

LOD3.0

LOD3.1

LOD3.2

LOD3.3

建築物

Building

屋根面

RoofSurface


短辺の実長3m以上


短辺の実長1m以上かつ上方からの正射影の面積3m2以上


短辺の実長1m以上
又は上方からの正射影の1m2以上


全てを対象とする

底面

GroundSurface

外壁面

WallSurface


短辺の実長3m以上


短辺の実長1m以上かつ側方からの正射影の面積3m2以上


短辺が実長1m以上
又は
側方からの正射影の面積1m2以上


全てを対象とする

軒裏

WallSurface

屋根の外周と外壁面との距離3m以上

屋根の外周と外壁面との距離1m以上

屋根の外周と外壁面との距離1m以上

全てを対象とする

建築物部分

BuildingPart


一棟の建築物を主題属性の異なる複数の部分に分ける場合に必須とする。


一棟の建築物を主題属性の異なる複数の部分に分ける場合に必須とする。


一棟の建築物を主題属性の異なる複数の部分に分ける場合に必須とする。


一棟の建築物を主題属性の異なる複数の部分に分ける場合に必須とする。

閉鎖面

ClosureSurface


BuildingPartを使用する場合


BuildingPartを使用する場合


BuildingPartを使用する場合


BuildingPartを使用する場合

屋外床面

OuterFloorSurface

屋外天井面

OuterCeilingSurface

屋外付属物

バルコニー、屋外階段、スロープ、手すり、エレベータ、エスカレータ、庇、アンテナ、煙突、看板等

BuildingInstallation


短辺が実長3m以上
又は短辺が実長1m以上かつ上方又は側方からの正射影の面積3m2以上


短辺が実長3m以上
又は短辺が実長1m以上かつ上方又は側方からの正射影の面積3m2以上


短辺が実長1m以上
又は上方又は側方からの正射影の面積1m2以上


全てを対象とする

Door


短辺が実長1m以上


短辺が実長1m以上


上方又は側方からの正射影の面積1m2以上


全てを対象とする

Window


短辺が実長1m以上


短辺が実長1m以上


上方又は側方からの正射影の面積1m2以上


全てを対象とする

必須

条件付必須

任意(ユースケースに応じて要否を決定してよい)

建築物モデル(LOD3)では、建築物モデル(LOD2)に含むべき地物に加え、開口部(窓及び扉)が追加される。また、建築物の側面が詳細化されるが、屋根の外周と外壁面との距離や外壁面の大きさにより、各LODにおいて表現される内容が異なる(4-5)。

4-5 — 建築物モデル(LOD3)に含むべき地物と取得基準

建築物モデル(LOD3.0)、建築物モデル(LOD3.1)、建築物モデル(LOD3.2)及び建築物モデル(LOD3.3)それぞれの取得イメージを4-17に示す。

4-17 — 建築物モデル(LOD3)の取得イメージ

取得イメージ

説明

LOD3.0

屋根のうち短辺3m以上の屋根面が表現される。
付属物のうち、短辺3m以上の規模の大きな付属物が再現される。
LOD3では外壁面が詳細化されるため、LOD2では表現されない付属物の下部の形状も表現される。
また、外壁面に設けられた短辺1m以上の開口部(窓、扉)が再現される。
なお、上図の場合、軒裏は3m以内であったため、表現されなかった。
下図に3m以上の軒を表現した例を示す。LOD3.0において軒を表現する建築物として、寺社や城といった特殊な建築物あるいは倉庫等の規模が大きな建築物が該当する。

LOD3.1

短辺の実長1m以上かつ上方からの正射影の面積3m2以上の屋根面が表現される。
この結果、左図の例では、LOD3.0では切妻屋根として表現されたが、LOD3.1の条件を満たしたため、入母屋屋根として表現された。
また、この例図では、軒裏の距離が1m以上あったため、表現された。
開口部及び屋外付属物の表現は、LOD3.0と同様の表現となる。

LOD3.2

LOD3.2ではさらに詳細な表現が可能となり、短辺の実長1m以上又は上方からの正射影の1m2以上屋根が再現される。
左図の例では、屋根に設けられた小屋根がこの条件に該当し、再現されている。
また、LOD3.2では、短辺が実長1m以上又は上方又は側方からの正射影の面積1m2以上の屋外付属物が表現される。
左図の例では、屋根上の煙突と外壁面に設けられた庇がこの条件を満たしたため屋外付属物として表現された。
LOD3.2では、面積1m2以上の窓や扉も表現されるため、この条件に該当する窓が追加された。

LOD3.3

LOD3.3では、短辺の実長が1m未満の細かな屋根の形状が表現される。
左図の例では、LOD3.1及びLOD3.2では1枚の屋根面として表現されていたが、LOD3.3では傾斜の異なる2枚の屋根面として区分された。
また、軒裏のうち、屋根の外周との距離が1m未満の狭い軒裏も表現された。
さらに、LOD3.3の条件を満たす1m未満の小さな開口部や付属物が追加された。