K.4.2.1 都市計画の変更に伴う区域の考え方

都市計画の変更に伴い、区域の形状が変化する場合がある。このとき、GISデータでは区域を示す図形が1つであっても、実際には、決定された告示が異なる部分の集まりとなる。3D都市モデルでは、都市計画の区域を、都市計画の効力が生じた告示ごとに区域を分割して作成する(K-4)。

都市計画の効力が生じた告示の日付は属性urf:validFromに記述し、告示の番号はurf:notificationNumberに記述する。一方、当該都市計画を含む最終(最新)の都市計画の告示日と告示番号は、属性urf:finalNotificationDateとurf:finalNotificationNumberに記述する。

都市計画が変更となったが、当該区域の形状に変化がない場合、各区域のurf:validFrom及びurf:notificationNumberの値は変化しないが、最新の都市計画の告示日と告示番号を示すurf:finalNotificationDateとurf:finalNotificationNumberは、更新される。

K-4
K-5 — 区域の分割イメージ

都市計画決定情報のデータセットに必須として含むべきデータはデータセットが作成された時点で有効である都市計画である。また、無効となった区域を把握したい場合にはこれを含むことができる。

K-4の例では、2025年10月1日にある区域が「第2種住居地域」として指定され、2027年10月1日に都市計画の変更により区域が拡大された。また、2030年10月1日に再度都市計画が変更され区域が縮小された。このとき、縮小された区域は2025年に指定された区域の一部であった。続いて2035年10月1日の都市計画の変更では「第2種住居地域」として指定されていた全ての区域は「近隣商業地域」に変更された。このような場合、各年に整備した都市計画決定情報のデータセットには次のようなデータが含まれる。

2025年のデータセットには、この年に決定された「第2種住居地域」のデータ(データ①)が含まれる。urf:validFromの値は2025-10-01となり、urf:validFromTypeの値は1(新規)となる。

2027年のデータセットには、この年に拡大された「第2種住居地域」のデータ(データ②)が追加される。データ②は都市計画の変更により生じた区域であるため、urf:validFromTypeの値は3(変更)となる。また、最新の告示番号が更新されるため、データ①の属性urf:noteは更新され、値は2027-10-01-○○市告示第150号となる。

2030年のデータセットには、2025年に決定された区域が縮小された区域のデータ(データ①-2)と、2027年に決定された区域のデータ(データ②)が含まれる。ともに、最新の告示番号であるurf:noteが更新される(値は2030-10-01-○○市告示第160号)。このとき、都市計画が変更される前まで存在していた区域(データ①)の消失を把握したい場合には、urf:validTo及びurf:validToTypeを使用する。urf:validToの値は2030-10-01となり、urf:validToTypeの値は3(変更)となる。2030年のデータセットとして必須となるデータはデータ①-2及びデータ②であり、データ①はオプションである。

2035年のデータセットには、新たに決定された「近隣商業地域」を示す区域のデータ(データ③)が含まれる。また、消失した区域の把握を行う場合には、第2種住居地域の区域を示すデータ①-2及びデータ②のurf:validTo及びurf:validToTypeを記述したものをデータセットに含める。2035年度のデータセットとして必須となるのはデータ③であり、データ①、データ①-2及びデータ②はオプションである。

また、オプションとなるデータは、各年の必須のデータ(有効な都市計画のデータ)の差分により生成可能である。なお、既に都市計画が決定されてから長い時間が経ち、複数の変更が加えられ、それらの記録が紙でしか残されていない場合も多い。このような場合、過去の都市計画の変遷を管理することは現実的でないため、urf:notificationNumber(告示番号)をNullとするなどとし、本標準製品仕様書に基づいてデータ整備が可能な時点から時系列に整備することも考えられる。