国土交通省 国土交通研究政策所 Policy Research Institute for Land, Infrastructure, Transport and Tourism

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 国土交通政策研究所は、国土交通省におけるシンクタンクとして、内部部局による企画・立案機能を支援するとともに、 政策研究の場の提供や研究成果の発信を通じ、国土交通分野における政策形成に幅広く寄与することを使命としています。
  

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 ● 報告書概要


 都市整備における行政と住民の合意形成の円滑化に関する研究<中間報告>

〜都市計画策定における住民参加制度の日独仏比較〜

◆要旨

社 会が成熟化し、生活の質に対する住民の関心がこれまで以上に高まってきている中、的確で機動的な都市整備を進めるためには、都市計画の策定過程において、 行政が説明責任を果たし、住民の議論を喚起し、合意の形成を図っていくことが重要である。そのためには、都市計画の策定過程においてどのような制度の充実 が必要か、また、どのような運用上の工夫が必要かについて検討することが、研究全体の目的である。平成14年度は、その検討に資するべく、ドイツ・フラン ス・日本の都市計画策定における住民参加制度について調査を行った。

ドイツ・フランス・日本 はそれぞれ国家制度、行政制度、計画制度等が異なり、厳密な比較は困難であるが、日本の制度の理解を深めることを主目的として大掴みな比較を行った。比較 に当たって、ドイツではBプラン(地区詳細計画)を、フランスではPLU(地方都市計画)を、日本では市町村決定の都市計画を取り上げる。その理由は、都 市計画において、私人の財産権を制約する計画こそ住民と行政との合意形成が不可欠なものであると考えられるところ、これらが、基礎自治体を策定主体とする 「私人の財産権を制約する」計画であることが共通しているからである。

ドイツでは、二回の住 民参加機会がある。一回目は、計画策定の際に、可能な限り早い段階で、計画の目的と意義、本質的に異なる代替案、起こり得る影響を住民に対して提示し、住 民の意見の表明や議論の機会を設けるものである(建設法典3条1項)。二回目は、計画案を、説明書又は理由書と共に一ヶ月間の縦覧に供し、住民から提案の 提出を受けるものである(同3条2項)。
フランスでは、二種類の住民参加機会がある。一つは「事前協議」(都市計画法典L300-2条)で、計画案作成の初期段階から全期間にわたり住民と事前協 議を行うこと、協議の形態を決定すること、議会の議決の前に報告書を作成することが法律で定められている。もう一つは、「公開意見調査」(同L123- 10条)で、これは、計画案について、行政裁判所に任命された調査委員会が一ヶ月以上に亘って調査を行うものである。住民は綴られたノートへの記入や調査 委員との面接を通じて意見を述べることができる。

日本では、二回の住民参加機会がある。一回目は、計画案を作成しようと する場合に任意で行われる公聴会の開催等の住民の意見を反映させるために必要な措置である(都市計画法16条1項)。二回目は、計画案を理由とともに二週 間縦覧に供し、住民からの意見書の提出を受けるものである(同17条)。また、都市計画の提案制度(同21条の2)、地区計画の申出制度(同16条3項) といったより能動的な住民参加制度も整備されている。
ドイツ・フランスと比較すると、日本の都市計画策定における住民参加制度は、
(1)都市計画策定における議会の役割が法律で規定されていないこと。
(2)一回目の住民参加機会のタイミングが法律で規定されていないこと。
(3)二回目の住民参加機会で出された意見等への対応が法律で規定されていないこと。
の三点に特徴がある。


◆キーワード

都市計画、住民参加制度、Bプラン、PLU

◆発行

国土交通政策研究第20号/平成15年6月

◆在庫

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◆詳細

詳細(PDF:5.2MB)

◆事後評価

内部評価シート(PDF:10KB)
有識者評価シート(PDF:7KB)