国土交通省 国土交通研究政策所 Policy Research Institute for Land, Infrastructure, Transport and Tourism

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 国土交通政策研究所は、国土交通省におけるシンクタンクとして、内部部局による企画・立案機能を支援するとともに、 政策研究の場の提供や研究成果の発信を通じ、国土交通分野における政策形成に幅広く寄与することを使命としています。
  

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 ● 報告書概要


 行政強制における「対物」との視点からの「ジュリスプリュデンス」

−行政代執行の機能不全とアメリカ合衆国の「対物」手続きを手がかりに−

◆要旨

 我が国では、裁判規範的に法的問題を理解することが長く中心的課題とされてきたことは、否定し得ないが、既にある法制度を前提としその適用場面にのみ焦点を当てるのではなく、むしろ法手段の開発あるいは法制度設計という創造的場面への期待が高まっている。その一つの表現が、政策法学である。この政策法学的発想は、近年、自治体の「政策法務」論として一つの展開を見せているが、何も自治体のみにあるわけではなく、当然、国にもあり、法手法の開発は一つの国の政策法務にとっての重要な課題である。そこで、近代法的「人」に焦点を当てた法制度とは別に、むしろ「物」に焦点を当てた法手法の検討を、行政代執行法の機能不全との関係で試みてみる。
 行政代執行には、その機能不全や、代執行でカバーしきれない問題が存在する。その根本的理由は、我が国では、戦後、純粋な近代法の原理を確認する必要性が歴史的にあったが、そこで確認された法制度は、行政上の強制システムへの強い抑制的理解があったからに他ならない。そして、それが、高度に複雑化した現代社会の中で、特に国民・住民等保護目的から業者等へ行政がアクションを起こさざるを得ない三面関係という法律関係の中で、いわば有効な法手法を有しなくなったからに他ならない。
 このような機能不全にもかかわらず、自治体の法制度設計に当たっては、他の手段・法手法の欠如から、結局、代執行に頼らざるを得ない現実がある。
 行政代執行の機能不全は、その要因の一つとして「物」に対する執行でありながら「人」の要素による点にあるが、例えば、合衆国での行政権限による強制手続としての段階での「物」と「人」との分離という発想はわが国でも参考となる点は多い。


◆キーワード

政策法務、即時強制、代執行、対物手続、Administrative Forfeiture

◆発行

国土交通政策研究第44号/平成17年1月

◆在庫

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◆詳細

詳細(PDF:496KB)