国土交通省
 プッシャー・バージの安全規制見直しにかかるパブリック
 コメント結果の概要
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平成15年6月13日
<連絡先>
海事局安全基準課(内線43923)

電話:03-5253-8111(代表)


 

  1. コメント募集期間:平成15年4月10日〜5月9日
  2. コメントの件数
     計:17件(14者、3団体)
  3. 意見の概要
     「プッシャー・バージ(PB)の安全規制見直しにかかるパブリックコメントの募集について」に関して以下のようなご意見を頂きました。
     なお、1件のコメントが複数の事項に触れている場合があるため、下記に記述された意見の数はコメントの到着件数とは一致しません。


プッシャー・バージの安全規制見直しにかかるパブリックコメント結果について

  1. PBの安全性に関する意見

    (頂いた御意見)

    • 20トン未満のプッシャーに押されるバージは停泊中無灯火で乗組員もなく、事故のもとである。
    • PBは荒天時の開口部からの海水流入、旋回性、灯火の視認性等に関して危険である。
    • 20GT未満のプッシャーや特定のジョイント方式のものは危険である。
    • バージには検査がない、船齢が高い、内航貨物輸送の許可もないので規制を厳しくすべき。
    • PBは安全・確実な輸送を軽視した面がある。
    • PBの海難が多いとは思えない。
    • PBの事故増加は短期的なもの。
    • PBの事故増加は19GT型や旧式のものではないか。PBは進化している。
    • PBの事故は増加しているが、PBの連結方式、構造・設備等により事故が多発している船型があるはず。
    (国土交通省の考え方)
     PBの海難は、事故件数及び事故率(海難審判庁の裁決事故件数を在籍船数で除した率)とも長期的に増加しており、特に、長距離を航行する形態のPBについては、在来の一般貨物船よりも高い事故率となっています。
     PBの具体的な事故の種類としては、一般貨物船と同様に衝突や座礁事故が太宗を占め、その直接原因としては、船橋視界の不良等の構造上の問題や、操船能力の不足、見張り要員の不足等が多くなっています。更に、その背景には、PBの運航形態や構造が一般貨物船に近づき長距離化・大型化しており、長距離化に伴う夜間航行や不案内の水路での航海の増加や、大型化にともなう操船困難等の状況があると考えられます。
     なお、特定の連結方式や構造・設備の方式のPBのみについて、事故が多発しているものではありません。

  2. PBの安全規制の見直しに関する意見
     (総論的なもの)

    (頂いた御意見)
    • 事故増加に応じた規制強化には賛成。
    • PBは一体の船舶として関係法令を早期に適用すべき。
    • PBは近年、大型化・長距離化し、一般貨物を積載するようになっており、安全確保等の面から時宜を得た見直しである。
    • 3000〜5000DWという大型のPBも連結装置等の進歩により建造可能となっており、それらが小型のPのみを対象とした規制しか受けないのは、不公平である。
    • 荷主の合理化要求が厳しく、PBという現行法体系を利用した輸送形態への需要が大きくなっているが、法の上の平等性確保と安全性確保のため、安全規制の見直しはやむを得ない。
    • 規制緩和の時代に逆行した政策である。内航海運の生き残りのためにはPBが不可欠である。
    • 規制強化は国益を考えて行うべき。PBは日本の国際競争力強化に貢献している。
    • PBは少ない法定船員で済み、輸送コスト合理化に貢献。見直し案では、船主経営に大きな影響を与える。
    • 米国ではPBが普及しており、米国のように大胆にPBを取り扱うべき。
    • 苦労して開発した新形態の事業を抹殺すべきでない。少ない船員で済むというPBのメリットを奪われるのは遺憾。今回の規制が行われると、PBの新造需要が減少するので困る。
    • 意見調整の手順が強行である。見直しは、公共工事にも支障を与える。公共機関を含め、意見聴取すべき。
    • 見直しは、関連業界の理解を得た上で行うべき。
    (国土交通省の考え方)
      現行のPBに対する安全規制は、一体型PB(溶接、ボルト等により堅固に結合されたもの)に対するものを除き、プッシャーのみを対象として海事関係法令を適用してきました。これは、従来、バージがその構造上や運航形態上の特性から、航行海域が限定され、事故発生の危険度が比較的小さいこと等を前提としていたものです。
     しかしながら、上記のとおり、近年、一般貨物船と実質的に同等な運航形態にあるPBが増加し、それらのPBが一般船舶よりも低い安全規制レベルの下で運航されていることが事故の増加を招いていると考えられます。
     よって、今般、PBの海難事故の発生状況、利用形態の変化等に鑑み、構造、設備及び船員配乗等に係る規制を見直し、海難事故の再発防止を図ることとするものです。
     海運事業の健全な発展のためにも、安全性と経済性を両立させたPB運航の確保が重要と考えます。
     なお、パブリックコメントや各地方説明会で頂いたご意見については、その合理性を考慮しながら、可能な限り今回の規制見直しに反映させて頂く予定です。

  3. PBの安全規制の見直しに関する意見
     (海事関係法令に共通する各論的なもの、具体的提案を含むもの等)

    (頂いた御意見)
    • 公共工事用のPBは航路が限定されており、事故が少ないので、現行どおりとすべき。
    • 航行区域での適用区分ではなく、米国のように結合方式で区分すれば一般貨物PBを規制できるのではないか。
    • 結合方式が異なるものに同じ規制をすべきでない。
    • 沿海区域を航行するPBは現行どおりとするか、特定短距離区域の設定基準を拡大されたい。
    • 国際航海に従事するPBすべてを一体適用とせず、本邦外の限定された沿岸海域のみを航行するものは内航PBと同様の取扱としてほしい。
    • 国は規制強化よりもPBの技術開発や船員の教育指導を支援すべき。
    • 見直し案では現存船の対応が困難であり、現存船は一代限り現状のままとしてほしい。
    • PBの事故状況を公表されたい。
    (国土交通省の考え方)
    (PBの用途について)
     旅客や危険物等を搭載する船舶を除けば、例えば、一般貨物と土砂等のように貨物の種類が異なっても事故の発生の危険性や所要の安全水準に基本的な差はないと考えられます。このため、今回の規制見直し案では、一定の油バージを除き貨物の種類(用途)は考慮していませんが、他方、航行区域が限定されたPBは、従来どおり、危険性が低いと考えられるため、その点を考慮した基準案としています。
    (PBの結合方式について)
     結合方式の異なるPBについても、過去の事故例から、事故の発生の危険性や所要の安全水準に基本的な差はないと考えています。
    (「特定短距離区域」の定義について)
     特定短距離区域はPBの運航実態や事故発生状況等を考慮し、平水区域から当該PBの最強速力で4時間以内に往復できる海域を設定する予定です。
    (本邦外の限定海域で稼働するPBについて)
     ご指摘のケースについては、申請に基づき本邦外の水域の気象・海象等を調査の上で差し支えなければ内航PBと同様の取り扱いとします。
    (技術開発支援について)
     国は市場原理が働きにくく、かつ、波及効果の大きい船舶技術開発を支援しています。併せて、国は、技術開発支援対象となる船舶を含め、必要最小限の安全規制を設定しています。
    (船員教育指導について)
     国は、新人内航船舶職員養成を目的とした海員学校、練習船による実習訓練を行う航海訓練所及び船員の再教育機関である海技大学校の3教育機関(独立行政法人)を通じ、社会ニーズに合わせ、即戦力ある船員の養成に努めております。
     特に、海技大学校では、民間船社の個別のニーズに合わせた教育訓練にも幅広く対応できる体制としています。
    (現存船の経過措置について)
     ご意見を踏まえ、現在運航しているPBの実状等を勘案し、現存船の経過措置は、船舶安全法関係省令の施行後、15年間とする予定です。
    (PBの事故状況について)
     事故状況は海難審判庁裁決録等により公表されています。

  4. 船舶安全法関係のコメント

    (頂いた御意見)

    • 近年のPBの運航形態に現行の安全法の適用はそぐわない。
    • 堅固に結合されていないバージにも安全法を適用するのは当然である。
    • 安全法の見直しは了承。
    • 安全法よりも船員関係の方が影響が大きいにもかかわらず、安全法の施行を先行させるべきでない。
    • PB方式のクレーン船について、運航実態を考慮して、技術基準の適用が明確となるよう検討されたい。
    (国土交通省の考え方)
     安全法関係規則の施行時期については、事故の発生状況等にかんがみ、できる限り早期としたいと考えています。
     PB方式のクレーン船については、ご指摘を踏まえ、技術基準の適用が明確となるよう措置させて頂きます。

  5. 船員法・船舶職員法関係のコメント

    (頂いた御意見)

    • 最近建造のPBは一般船と外観も速力も同等であり、船員も一般船並の配乗とすべき。船員の意見も取り入れるべき。
    • 船橋当直を一人でカバーできるのは短時間が限界。
    • PBは少数の乗組員で運航されているため、一人一人の労働負担は非常に大きなものがあり、それが事故を引起こす要因になっている。
    • 独航船について航路や設備基準で、乗組員定員を引き下げることが出来ないか、検討が必要。
    • 安全設備や省力化設備を考慮して船員定員を決めるべき。
    • 5000DWT以上の大型PBの定員は在来船よりも1〜2名少なくして欲しい。
    • PBの船員数は在来船よりも2〜3名少なくされたい。
    • 船員資格の見直しは了承。船員配乗(定員)にPBの特例を設けてほしい。
    • 船員関係の経過措置が不明。
    (国土交通省の考え方)
     近年のPBの運航実態や事故発生状況を勘案し、PBにおいても、一般船舶と同様の船員配乗を行うこととしています。
     また、700総トン以上の船舶については、船橋当直常時2人以上を義務付けています。
     船舶の技術革新等を踏まえ、現在、内航船の乗組み定員の見直しを行っており、船舶の設備や船種の特殊性等を考慮し、船舶毎の定員を定めることとしています。したがって、PBについても、このような観点から定員が定められることとなります。
    (経過措置について)
     施行予定日は、内航船全般について、総合的な見直しを行っている「内航船乗組み制度検討会」の検討状況を勘案して決定します。
     また、今回のご意見を踏まえ、現在運航しているPBの実状等を勘案し、現存船の経過措置は、船舶安全法関係省令の施行後、15年間とする予定です。


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