国土交通省
 「高速道路を対象とした評価手法に関するご意見の募集」
 の結果について
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平成15年7月28日
<連絡先>
道路局高速国道課
(内線37742)

電話:03-5253-8111(代表)


 

 国土交通省では、平成15年6月12日から平成15年6月30日までの期間において「高速道路を対象とした評価手法に関するご意見の募集」を行いました。
 いただいたご意見の概要及び国土交通省の見解を別添のとおりまとめましたので、公表いたします。
 なお、ここではいただいたご意見のうち主なものについて掲載しておりますが、掲載しなかったご意見についても今後の高速道路を対象とした評価手法の検討にあたって参考にさせていただきます。


高速道路を対象とした評価手法に
関する意見と国土交通省の考え方

  1. パブリックコメントの概要
     道路事業評価手法検討委員会における第5回委員会までの審議結果をまとめ、パブリックコメントを実施
    • 意見募集期間:平成15年6月12日(木)〜30日(月)
    • 提出人数:221人
    • 意見数:540意見

    (主な意見)
    • 指標の重み付け
      • 全国一律の重みではなく、地域の特性に応じた重みとすべき
      • 国家的施策の観点から、採算性よりも、波及的影響等を重視すべき
      • 東南海地震等の発生を想定した高速道路整備が重要であり、「住民生活」 「安全」などを重視すべき
         (具体の重み付けについては、7ケースの提案あり(大項目の重み付けのみ))

    • 評価項目・指標について
      • 採算性ついて、内部利益だけでなく、外部利益を含めて比較すべき
      • 積雪寒冷地においては、冬期の速度低下を考慮すべき
      • 将来の工業出荷額見込額で評価すべき
      • 地方公共団体の創意工夫による自主的な取り組み状況に関する判断基準を明確にすべき
      • 「快適性」に関する指標を加えるべき

    • その他の意見
      • 全体ネットワークを前提として便益等を求めるべき

  2. パブリックコメントを踏まえた対応

    1)積雪寒冷地における冬期速度の考慮

    (頂いた御意見)
     アクセス所要時間を使用する指標について、積雪寒冷地においては冬期の速度低下を考慮すべき
    (国土交通省の考え方)
     冬期速度を考慮して各種指標を算出する【別紙1】PDF形式
     一般道路及び高速自動車国道の冬期の旅行速度については、過去の調査結果から夏期速度からの低下率を求め、冬期日数については、気象データから想定値を求める。これらをあわせ、年間の平均的な速度低減率を算出し、各指標に適用する。

    2)地方公共団体の創意工夫による自主的な取り組み状況の評価方法

    (頂いた御意見)
     協議会の設置や地域計画など、名目上のものと本物との判断基準が必要
    (国土交通省の考え方)
     客観的かつ厳格な評価のための基準を作成する【別紙2】PDF形式
     可能な限り恣意的な評価とならないように、詳細な評価基準を作成し、都道府県等より収集した関連資料による確認や、必要に応じてヒアリング等を行いながら、評価を行う。

    3)評価のあり方・指標の重み付けについて

    (頂いた御意見)
     評価者に関し、計画担当者が必ずしも専門知識を有しているとは言えない。評価者の選定基準の明確化が必要である。
    (国土交通省の考え方)
     評価における重み付けについては、評価手法や各地の実情を理解した者が行うことが基本であるが、いずれにせよ客観性を確保するため、重み付けプロセスを明確にする。

    (頂いた御意見)
     重み付けの結果について、平均と分散を検討し、分散値があまりにも大きいようであるなら、その結果を被験者に還元して、再度重み付けを行う等、フィードバックを行うことが必要である。
    (国土交通省の考え方)
     ご指摘のとおりであり、今回、全国の都道府県の重み付けをフィードバックして再度意見を頂いたところ。

    (頂いた御意見)
    •  都市部と地方部では、高速道路の役割が異なるため、全国一律の重み付けでは適正な評価が困難である。地域の特性に応じた重み付けを行うべきと考える。
    •  「波及的影響」は地方ほど大きいため、重み付けは全国一律にせず、地方の活性化の観点からも進めてもらいたい。
    (国土交通省の考え方)
     全対象区間を相対的に比較するためには、同一の重み付けとすることが必要である。しかしながら、例えば、各地域毎に独自の重み付けを行い、当該地域内での優先度がどのように変わるかについて検討することも一案と考える。

    (頂いた御意見)
     高速道路ネットワークは、国の尤も重要かつ基本的な社会資本であり、国家的施策として整備を図らなくてはならないものである。国防・外交・救急医療等の観点から見ても、波及効果を最も重視すべきである(特に採算性の評価への異議多し)。
    (国土交通省の考え方)
     評価にあたっては、重み付けプロセスの客観性を高めるとともに、多様な意見を反映する。なお、無料道路として整備する場合の評価においては、採算性は考慮しないこととなる。

    4)採算性について

    (頂いた御意見)
     「採算性」に関し、1内部利益を期待する路線と2外部利益を期待する路線を一律に比較できないのではないか。費用回収について、1は料金収入が妥当かもしれないが、2は外部利益からの費用回収を無視している。一般化して比較すべきではないか。
    (国土交通省の考え方)
     高速道路整備による外部利益を評価対象とすることは重要である。しかしながら、高速道路の採算性を算出するために、外部利益を定量的に求めることは、現時点では極めて困難と考えている。なお、外部利益の一部は、費用効果分析等で表されると考えている。

    5)波及的影響(その他外部効果)の評価指標(案)について

    (頂いた御意見)
     波及的影響について、総じて良い面だけが記載されているが、例えば環境面での負の影響等も考慮すべきではないか。
    (国土交通省の考え方)
     評価対象区間は、既に環境影響評価を実施済みであることから、今般の評価手法においては、自然環境や生活環境等に対する負の影響は考慮していない。

    (頂いた御意見)
     指標2、3、5の算定式に人口がかかっており、都市部ほど有利になっており、不公平ではないか。
    (国土交通省の考え方)
     評点の算出に当たっては、各メッシュ毎の人口を考慮して時間短縮を評価しているが、分子・分母ともに人口を乗じて基準化しており、特に不公平になっていないと考えている。

    【指標1 高速バス等長距離自動車交通の利便性が高まる】

    (頂いた御意見)
    •  鉄道やバスの運行便数を考慮すべき。一日数便程度の特急列車よりも、多少時間がかかっても、十分な便数を持つ新設バスの効果が評価されるべき。
    •  バス路線については、経営判断から人口集積地同士を繋ぐものであり、公平でない。
    (国土交通省の考え方)
     本指標については、将来における長距離交通の利便性向上のポテンシャルを評価したものである。現時点でのバスの運行便数に基づく評価は過小評価になる可能性が高く、また、将来の便数を予測することも困難であることから、現在の指標となっている。

    【指標5 日常生活圏の中心となる拠点都市へのアクセスが向上する】

    (頂いた御意見)
     算出にあたり、アクセス所要時間を使用する指標について、積雪寒冷地においては冬期の速度低下を考慮すべき。
    (国土交通省の考え方)
     ご意見を踏まえ、積雪寒冷地については、冬期の速度低下を考慮する。(アクセス時間等を用いる指標全てに適用予定)

    【指標6 複数の主要観光地を連絡し、広域的な観光産業の発展に貢献する】

    (頂いた御意見)
     市町村役場からICまでの距離で代表させると、観光スポットが都市から乖離している「自然重視の観光地」などが正確に評価されない。
    (国土交通省の考え方)
     ご意見の通りだが、データ制約もあり、全国的に収集し得る情報(市町村別の入り込み客数)に基づき、現状の指標が策定されている。

    (頂いた御意見)
     単純な入込客数では、首都圏に近い観光地が有利となる。人口に対して来訪する観光客数で評価してはどうか。
    (国土交通省の考え方)
     ご意見の案も考えられるが、対象とすべき人口の考え方を明確に規定することが困難であることから入り込み客数にて評価している。(例えば、東京ディズニーランドの入り込み客数の対象人口は、東京都とすべきか、関東地方全域とすべきか等)

    【指標7 物流拠点へのアクセスが容易になり、産業立地・振興を支援する】

    (頂いた御意見)
     現況の工業出荷額では、インフラの整備によって今後産業が集積する可能性を評価できない。
    (国土交通省の考え方)
     将来の工業出荷額見込みで評価することも考えられるが、予測技術が確立していないことから現況の出荷額としている。

    (頂いた御意見)
     高速道路利用の評価を行うのならば、広域物流に主眼をおいて「県外出荷額」などを対象としてはどうか。
    (国土交通省の考え方)
     ご意見の案も考えられるが、県内出荷においても高速道路が使われることから、全出荷額を対象としている。

    【指標9 高速道路の整備とあわせた地域振興計画が進められている】

    (頂いた御意見)
     計画の「熟度」についても考慮するべき。
    (国土交通省の考え方)
     既に事業が進められているもののみを対象とし、具体に進んでいない計画については対象外としている。

    (頂いた御意見)
     面積と事業費の指標では、大規模プロジェクトほど有利になってしまう。プロジェクトの内容(必要性)で評価すべき。
    (国土交通省の考え方)
     プロジェクトの内容で評価することについての明確な基準づくりは困難であることから、客観的な数値である面積と事業費で評価している。

    (頂いた御意見)
     地域振興計画をICから10km以内に限定する根拠が不明である。
    (国土交通省の考え方)
     近年の工場立地の約7割が、ICから10km以内となっていること等から、高速道路関連の振興計画を10kmと仮定して指標化したものである。

    【指標10 自動車からのNOX、SPM排出量が削減される】

    (頂いた御意見)
     「指標12自動車からのCO2排出量が削減される」とのダブルカウントにならないか。
    (国土交通省の考え方)
     生活環境の保全に寄与する本指標と、地球環境の保全に寄与する指標12では、計算式は近似しているものの、目的、アウトプットとも異なることから、ダブルカウントには当たらないと考えている。

    【指標12 自動車からのCO2排出量が削減される】

    (頂いた御意見)
     CO2の排出量は、結局、消費した燃料に比例するため、一定区間では削減されても、トータルでの評価をしないと意味がないのではないか。
    (国土交通省の考え方)
     CO2については、当該高速道路区間だけでなく、前後区間や周辺の一般道路からの全排出量がどの程度削減されるかで評価している。

    【指標13 並行する緊急輸送道路が通行止めになった場合の迂回路が長大である】

    (頂いた御意見)
     並行する道路の通行止めの頻度等について、過去のデータを考慮すべきではないか。
    (国土交通省の考え方)
     並行道路の通行止め頻度については、指標14で考慮されるものと考えている。

    【指標14 並行する緊急輸送道路で冬季交通障害や異常気象時に通行規制される区間がある】

    (頂いた御意見)
     通行止め時間だけでなく、当該道路の交通量も考慮してはどうか。
    (国土交通省の考え方)
     一案ではあるが、通行止めとなった時間帯、期間等により影響度合いも異なり、また、通行止めそのものが地域に大きな影響を与えることから、現時点では、時間のみの指標としている。

    【指標16 地方公共団体の創意工夫による自主的な取り組み状況を評価する】

    (頂いた御意見)
     協議会の設置や地域計画など、名目上のものと本物との判断基準が必要。
    (国土交通省の考え方)
     客観的かつ厳格な評価を行うために、明確な基準を作成する。

    【指標の追加】

    (頂いた御意見)
     「自動車保有率」や「自動車への依存率(交通機関分担率)」に関する指標を追加してはどうか。
    (国土交通省の考え方)
     現時点においては、高速道路の必要性との関係が明確でないことから、指標化については、将来の検討課題と考えている。

    (頂いた御意見)
     「乗り心地」「景観」といった「快適性」に関する指標を加えるべき。
    (国土交通省の考え方)
     高速道路の整備効果の一部と考えられるが、現時点で客観的な数値化は困難であり、将来の検討課題と考えている。

    6)その他意見

    (頂いた御意見)
     費用便益分析に加え、項目の選定や重み付けについては、市民のQuality of Life(QOL)への貢献との視点が望まれる。
    (国土交通省の考え方)
     新たな分析手法の一つであり、理論的には参考になるものであるが、内容が複雑で、直ちに取り入れることは実務上困難である。

    (頂いた御意見)
     「国策」という項目を加え、国の重要事項である国土防衛・エネルギー対策などの関連地域に対する高速道路を評価すべきである。
    (国土交通省の考え方)
     具体に「国策」との項目で評価していないが、産業立地、環境問題、緊急時への対応等、国としての重要事項を波及的影響で評価している。

    (頂いた御意見)
     高速道路はネットワークとなって初めて本来の機能を発揮するものであり、便益の算出はネットワーク整備を前提として行うべきである。
    (国土交通省の考え方)
     整備計画9,342kmだけでなく、全体ネットワーク11,520kmを前提とした評価を行う。

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