平成15年12月5日 |
<問い合わせ先> |
都市・地域整備局公園緑地課 |
緑地環境推進室 |
(内線32965) |
TEL:03-5253-8111(代表) |
わが国往時の政治、文化の中心等として歴史上重要な地位を有する京都市、奈良市、鎌倉市、天理市、橿原市、桜井市、斑鳩町、明日香村及び逗子市については、「古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法」(以下「古都保存法」といいます。)に基づく古都に指定され、その歴史的風土の保存が適切に行われるよう総合的な施策を講じているところです。
滋賀県大津市については、天智天皇により近江大津宮が置かれ、世界遺産に登録されている延暦寺など、仏教文化の中核をなした主要寺社が集積し、古都として相応しい歴史的風土を有していることなどから、平成15年10月10日をもって新たに古都保存法に基づく古都に指定されました。
国土交通省としましては、今後、大津市における古都保存法に基づく歴史的風土保存区域の指定について、関係地方公共団体及び社会資本整備審議会の意見を聞いて決定することとしておりますが、大津市における歴史的風土の保存がより適切に行われ、古都として相応しい風格あるまちづくりが行われるよう、下記のとおり国民の皆様のご意見を募集することといたしました。
意見公募要領
:〒100-8918
東京都千代田区霞ヶ関2−1−3
国土交通省都市・地域整備局公園緑地課
緑地環境推進室古都保存担当 あて
FAX 03−5253−1593
大津市役所でもご意見を受け付けています。
(1)電子メール:otsu1313@mail.city.otsu.shiga.jp
(2)郵送又はFAX:
〒520−8575 大津市御陵町3−1
大津市都市計画部都市景観室 あて
FAX 077−523−1533
下記の日程で説明会を開催します。
(1)日時:平成16年1月14日(水) *午後1時30分〜
(2)場所:大津市役所内大会議室
*ご注意:開催時刻を午後1時から午後1時30分に変更しました。
【関係法令へのリンク】
「古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法」
→ http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S41/S41HO001.html
「古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法施行令」
→ http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S41/S41SE384.html
大津市は、天智(てんち)天皇が遷都した近江大津宮(おうみおおつのみや)の他、平安仏教・鎌倉新仏教草創期の文化の中心地として、さらには奈良時代から平安時代にかけての近江国府(おうみこくふ)の所在地、鎌倉・室町・戦国・江戸の各時代における軍事上の重要拠点あるいは交通の要衝として繁栄し、数多くの歴史上重要な文化的資産を有している。
これら文化的資産の大半は、比叡山(ひえいざん)から長等山(ながらやま)、音羽山(おとわやま)、さらに伽藍山(がらんやま)へと西方に連なる山並みと、東方に広がる琵琶湖と一体をなして特色ある歴史的風土を形成している。
こうした国民共有の貴重な財産である歴史的風土を後世に守り伝え、また古都らしい風格あるまちづくりを進めるため、大津市における歴史的風土保存区域の指定をおこなうものである。
古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法(昭和41年1月13日法律第1号、以下「古都保存法」という。)制定当時、第2回歴史的風土審議会(昭和41年5月30日)において、「歴史的風土保存区域の指定基準」(以下、「指定基準」という。)が定められている。なお、「歴史的風土」とは、「わが国の歴史上意義を有する建造物、遺跡等が周囲の自然的環境と一体をなして古都における伝統と文化を具現し、及び形成している土地の状況」をいう(古都保存法第2条第2項)。
【歴史的風土保存区域の指定基準】
第1 歴史的風土保存区域の選定
歴史的風土保存区域は、次の各号の一に掲げる土地若しくは、これに接続する土地で「歴史的風土」を保存するため必要な土地の区域を選定するものとする。
第2 歴史的風土保存区域の境域の設定
歴史的風土保存区域は、第1により選定した土地の区域について、次の各号に掲げる事項を勘案し、歴史的風土保存区域内における行為の規制その他歴史的風土の維持、保存の適正が確保されるよう町丁目、字界等若しくは道路、河川等の明確な地物に基づいてその境域を定めるものとする。
大津市における歴史的風土保存区域の指定にあたっても、指定基準を尊守し、これに基づいておこなうこととする。
大津市における歴史的風土保存区域の選定にあたっては、指定基準を踏まえ、大津市に存する歴史上重要な文化資産を整理し、歴史的風土の保存のために必要な土地の区域を選定しておこなう。
1)大津市における歴史上重要な文化的資産について
大津市における歴史上重要な文化的資産は、以下のとおりである。
イ.奈良時代から平安時代にかけての仏教文化の中核をなした寺社並びにこれらと密接な関連のある史跡等
ロ.近江大津宮と密接な関連のある史跡等
ハ.その他の史跡等
古墳(皇子山(おうじやま)古墳、膳所茶臼山(ぜぜちゃうすやま)古墳、壺笠山(つぼかさやま)古墳、春日山(かすがやま)古墳群、穴太野添(あのうのぞえ)古墳群等)、近江国府関連(近江国府跡、建部大社(たけべたいしゃ)等)、禾津頓宮(あわづとんぐう)跡、義仲寺(ぎちゅうじ)、膳所城(ぜぜじょう)跡、瀬田の唐橋(せたのからはし)、飛鳥時代から平安時代にかけての旧街道・峠 等
2)大津市における歴史的風土を保存するために必要な土地について
大津市における歴史的風土を保存するために必要な土地の選定は、指定基準第1の3要件を踏まえ、以下により行なう。
歴史上重要な文化的資産に隣接し、これと一体となって歴史的風土を形成しているもの
歴史上重要な文化的資産の借景となって、歴史的風土を形成しているもの
歴史上重要な文化的資産を結び、これらと一連となって歴史的風土を形成しているもの
大津市における歴史的風土保存区域(案)の設定にあたっては、選定基準第2の3要件のほか、下記の事項を踏まえておこなう。
既に指定されている、京都市の歴史的風土保存区域との連携、保存の一体性に配慮する。
良好な歴史的風土を形成している自然的環境とともに、それらと密接に関連する土地の区域を一体的に保全し、または土地利用の誘導が図られるように配慮する。
大津市における重要な景観要素である琵琶湖については、河川法等により既に十分な保全の措置が講じられていることから、対象としないこととする。
これらを踏まえ、歴史的風土保存区域(案)を以下のように設定する。
1)比叡山・坂本地区
≪歴史的風土の概況≫
比叡山は785年に最澄が延暦寺を開いて以後、天台宗の総本山となるとともに、延暦寺から鎌倉新仏教の開立者を多く輩出するなど、わが国仏教の中心のひとつとして重要な地位を占める。また、山麓には日吉大社や西教寺をはじめとする大社寺、延暦寺の僧侶が住まう里坊のまち並みなど文化的な資産が多数残されている。これら比叡山の山腹及び山麓部に立地する文化的資産と比叡山等の自然的環境が一体的に歴史的風土を形成している。
JR比叡山坂本駅、湖西道路などにより交通至便な位置にあることから、周辺の市街化が進みつつあり、また、伝統的建造物群保存地区周辺において、建築物の建て替え、住宅地の開発の進行等が見られ、歴史的まち並み景観が崩れつつある。ただし、日吉大社北側周辺は、農業振興地域に指定されており、小規模な農地が広がっている。
≪主要な文化的資産≫
延暦寺、西教寺、日吉大社、坂本の歴史的まち並み 等
≪歴史的風土の保存の考え方≫
≪歴史的風土保存区域(案)≫
図−2 比叡山・坂本地区(PDF形式)
2)近江大津京跡地区
≪歴史的風土の概況≫
近江大津京は、天智6年(667年)に天智天皇によって、飛鳥の地から大津へ遷都された都であり、古都大津の歴史的風土の中枢を成す歴史的資産である。近江大津京に関連する遺跡(崇福寺跡を除く)は市街地内に展開しており、現在は自然的環境に乏しいものの、点在する遺跡とその背後の山並みとが一体となって歴史的風土を形成しており、都が置かれていた往時の雰囲気を今に伝えている。
近江大津宮錦織遺跡及び南滋賀町廃寺跡については、比較的良好な環境の住宅市街地の中に存在しており、公有化が進捗中であるが公有地は未だ分散的である。また、背後の森林には既にバイパス整備や住宅地開発が進んでいる状況にある。穴太廃寺跡については、上部に西大津バイパスが整備されており、バイパス沿道には比較的まとまった市街化区域内農地が広がっているが、他は大半が住宅市街地に占められている。崇福寺跡については、周辺の山林一体が史跡指定されており、東海自然歩道上のポイントとして一部に公園が整備されている。
≪主要な文化的資産≫
近江大津宮錦織遺跡、南滋賀町廃寺跡、穴太廃寺跡、崇福寺跡 等
≪歴史的風土の保存の考え方≫
≪歴史的風土保存区域(案)≫
図−3 近江大津京跡地区(PDF形式)
3)園城寺地区
≪歴史的風土の概況≫
園城寺は、奈良時代に大友皇子(おおとものおうじ)の子、与太王(よたおう)によって建立されたと言われており、天智・天武(てんむ)・持統(じとう)の3帝の産湯に用いられたと伝えられる境内の霊泉に由来し、通称「三井寺」と呼ばれている。背後の長等山と一体的に歴史的景観を形成している。このような景観は、「三井の晩鐘」として近江八景に謳われ、長等山に点在する三井寺の伽藍を遠方に描き、遠寺の鐘を聞く趣が広重の絵に描かれている。現在も琵琶湖疏水に沿って、広重の描いた景観を眺めることができる。
園城寺や長等神社の東方に隣接する市街地においては、中高層の集合住宅等の立地が見られるなど歴史的環境の阻害が懸念される。特に、社寺の参道の沿道地域においては歴史的なまち並がほとんど失われている。他方、琵琶湖疏水(そすい)は長等山を背景とした歴史的景観と琵琶湖の水辺空間と一体となって特徴ある景観を形成している。
≪主要な文化的資産≫
園城寺、円満院(えんまんいん)、長等神社(ながらじんじゃ)、琵琶湖疏水 等
≪歴史的風土の保存の考え方≫
≪歴史的風土保存区域(案)≫
図−4 園城寺地区(PDF形式)
4)音羽山地区
≪歴史的風土の概況≫
音羽山を含む一帯は大津京跡と近江国府跡、石山寺といった大津を代表する歴史的・文化的資産を結ぶ地域に当たる。その山麓部は、壬申の乱の舞台となり、奈良時代には頓宮(とんぐう)や陪都(ばいと)が置かれたとされ、また、江戸期には膳所城が築かれるなど、歴史の舞台に登場する地域である。比叡山から南へ下り、逢坂の関(おうさかのせき)を越えて音羽山へと連なる山並みは、山麓部の歴史的資産及び琵琶湖・瀬田川の水面と一体となって特徴ある歴史的風土を形成している。
音羽山山麓部で大規模な住宅地開発が進み、近年においてもこの傾向は続いている。また、市街地内にまとまった緑地を形成している茶臼山においても、周辺の市街化が進みつつある。膳所の旧城下町には歴史的まち並みが残されている地域もあり、またこのような市街地の中に義仲寺が立地しているが、建築物の建て替えが進むなど、歴史的環境の維持は困難となってきている。一方で、膳所城跡が公園化されるなど、歴史的環境整備の取り組みも見られる。
≪主要な文化的資産≫
禾津頓宮、義仲寺、茶臼山古墳 等
≪歴史的風土の保存の考え方≫
≪歴史的風土保存区域(案)≫
図−5 音羽山地区(PDF形式)
5)石山寺地区
≪歴史的風土の概況≫
石山寺は、747年に建立されたと伝えられており、761年、保良宮の鎮護寺として寺観が整備され、今日まで観音礼場として名をはせている。背後の伽藍山と前面の瀬田川の水面と一体的に歴史的景観を形成している。このような景観は、「石山の秋月」として近江八景に謳われ、伽藍山の岩山に建つ石山寺の伽藍と満月が広重の絵に描かれている。
伽藍山周辺は市街化が進みつつあり、また、瀬田川に沿った道路沿道は商業地域に指定されており、観光関連サービス施設の立地が進んでいる。また、老朽化した旅館の建て替え等も見られ、徐々に歴史的なまち並み景観が喪失されつつあるとともに、中高層建築物の建築により伽藍山の自然景観を損なう可能性が高まってきている。また、幹線道路に面した商業施設の看板も歴史的景観を損なう要因となっている。
≪主要な文化的資産≫
石山寺 等
≪保存の対象と保存の考え方≫
≪歴史的風土保存区域(案)≫
図−6 石山寺地区(PDF形式)
「古都」とは、「わが国往時の政治、文化の中心等として歴史上重要な地位を有する京都市、奈良市、鎌倉市」(古都保存法第2条)の3市のほか、政令で定める、「天理市、橿原市、桜井市、斑鳩町及び、明日香村、逗子市及び大津市」(5市1町1村)をいいます。
また、「歴史的風土」とは,「わが国の歴史上意義を有する建造物,遺跡等が周囲の自然的環境と一体をなして古都における伝統と文化を具現し,及び形成している土地の状況」(法第2条第2項)をいいます。
「歴史的風土保存区域」とは、国土交通大臣が指定する「古都における歴史的風土を保存するために必要な土地の区域」としております。(法第4条第1項)
(1)行為の届出
歴史的風土保存区域(特別保存地区を除く)において、次の行為をしようとするときは、通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令(第3条)で定めるものを除き、あらかじめ県知事に届出が必要となります。(法第7条)
建築物その他の工作物の新築,改築又は増築
宅地の造成,土地の開墾その他の土地の形質の変更
木竹の伐採
土石の類の採取
前の
〜
に掲げるもののほか,歴史的風土の保存に影響を及ぼすおそれのある行為で政令(第2条)で定めるもの
(2)県知事の助言・勧告
届出をされた行為について歴史的風土の保存のために必要がある場合は、県知事が助言・勧告をすることがあります。
今般、指定の手続きを進めている歴史的風土保存区域に指定される土地のうち、「歴史的風土の保存上枢要な部分を構成している地域」については、「県知事は、都市計画に歴史的風土特別保存地区を定めることができる」(古都法第6条)としています。
この歴史的風土特別保存地区に定められた土地においては、一定の行為については、県知事の許可を受ける必要があります。(古都法第8条)
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