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平成17年7月6日 <連絡先> 住宅局住宅生産課 (内線39426) 電話:03-5253-8111(代表)
国土交通省では、平成17年5月27日から6月25日まで、日本住宅性能表示基準及び評価方法基準の改正案に関するパブリックコメントの募集を行いました。募集期間に寄せられたご意見は合計73件でした。頂いたご意見の件数及び概要と、ご意見に対する国土交通省の考え方を、以下のとおり取りまとめましたので、公表いたします。
- 頂いたご意見の件数
今回の改正案に係るもののうち、「防犯に関すること」に関するもの 60件 今回の改正案に係るもののうち、「防犯に関すること」以外に関するもの 7件 その他(今回の改正案に係るもの以外のご意見、ご提案等) 6件 合計
73件
- 主なご意見の概要と、それに対する国土交通省の考え方
○ 今回の改正案に係るもののうち、「防犯に関すること」に関するもの
番号 ご意見 当省の考え方 01 開口部の侵入防止性能に限定せず、外構や住棟、共用部の対策、センサーの設置なども含めた、総合的な防犯性能を評価すべきである。 本案の策定に当たっては、住宅の防犯対策として、いわゆる防犯環境設計の概念を構成する「監視性の確保(周囲からの見通しの確保)」「領域性の強化(居住者の帰属意識の向上、コミュニティ形成の促進)」「接近の制御(犯罪企図者の動きを限定し、接近させない)」「被害対象の強化(部材や設備の強化)」の4つの対策について、現時点において住宅性能表示制度における客観的評価が可能かどうか検討してきました。
その結果、から、直ちに住宅性能表示制度における評価項目として導入することは困難であると考えたところです。
- 「監視性の強化」については、外構や植栽、建物の配置や部位の形状等による見通しの確保の評価が難しく、また、カメラやセンサー等、機器の性能の評価基準が未整備であること
- 「領域性の強化」については、建物の形状や意匠面での対応と、期待される効果との関係が間接的であり、客観評価になじみにくいこと
- 「接近の制御」については、敷地外の建物等による影響の評価が難しいこと、外構や建物の外周部における住戸への接近を抑止する対策について評価基準が未整備であること
しかしながら、現在は評価方法が未整備である項目についても、今後、調査検討を進め、知見が蓄積されれば、順次、評価事項の充実等を図る予定です。また、今回の制度化に合わせ、リーフレット等の作成により、住宅の防犯性向上のためには、開口部対策だけでない総合的な対策が必要である旨、関係省庁等と連携して広報を実施していきます。02 すべてのインシデント対応は「ことをおきにくくする対策」、「万が一の時の被害拡大防止準備」、「万が一の時に金銭的に困らない準備」の3つの要素からなっていると考えられるが、今回改正案では、「ことをおきにくくする対策」ばかりに重点が置かれ、「万が一の時の被害拡大防止準備」(例:侵入通報装置の設置、侵入通報対応体制の準備)の面での記述がない。 侵入通報装置の設置、侵入通報対応体制の準備については、その効果や客観的な評価方法について、今後、調査検討を進め、知見が蓄積されれば、順次、評価事項の充実等を図る予定です。 03 警備会社等の防犯システムを採用している場合に、その旨を評価書に表記できるよう検討願いたい。 警備会社の防犯システムの効果や客観的な評価方法について、今後、調査検討を進め、知見が蓄積されれば、順次、評価事項の充実等を図る予定です。 04 住宅性能表示の趣旨を考えると、等級評価としたほうが消費者にとって分かりやすい。
(例えば、抵抗時間10分以上で等級3、5分以上で等級2、防犯に配慮がない場合に等級1とする、等)部品の侵入抵抗時間とその効果の関係については、必ずしも定量的に明らかになっているわけではないことから、部品の侵入抵抗時間の長短等の対策の程度により防犯性能として等級表示することは、消費者の誤解を生じる可能性があり、適切でないと考えます。 05 開口部までの水平距離については、以下の理由から、90cmを境に区分するのが適当である。
- 工具を握って開口部を破壊することを想定した最大到達距離は、成人男子で85〜90cmと考えられること
- 多くの住宅のモデュールは1P=91cmを基本としており、水平距離を90cmとすればベランダ手摺から1P離して設置したか否かで判断できるため合理的であるが、水平距離を1mとした場合、1P離して設置した開口部が、ベランダ手摺の形状によっては数センチの差で区分が変わるため、実務上非常に煩雑となること
ご指摘を踏まえ、原案を修正します。 06 消火活動のための進入口については、評価の区分を分けるべきである。
また、防犯ガラス、防犯フィルム等を使用した場合に、消防法令やその運用との不整合が懸念されるので、関係省庁と調整されたい。消火活動のための進入口についても、窃盗犯等による外部からの侵入口となる可能性が考えられるため、他の開口部と同様に、開口部へのアクセスの容易さに応じて分類する必要があると考えています。なお、総務省消防庁による平成14年9月30日付消防予第281号において、ガラス窓については「材料板ガラスをフロート板ガラス(JIS R 3202 厚さ3.0mm)2枚とし、ポリビニルブチラール膜(膜厚0.76mm)を中間膜とした合わせガラス(JIS R 3205 板厚6.8mm)は、開口部の外部にバルコニー、屋上広場等の破壊作業のできる足場が設けられ、開口部がはめ殺しでない場合に限り、消防法施行規則第5条の2第2項第3号に規定する開口部に該当する。」とされており、官民合同会議の目録掲載品にもこの仕様のものがあります。
運用については地域ごとに異なりうるものですが、必要に応じ、関係省庁・行政庁等と調整する予定です。07 住宅の開口部の区分(a,b,c)については、部位の特性と頭文字を揃えて各階共通とする方が合理的と考える。 ご指摘を踏まえ、原案を修正します。 08 評価対象開口部が3種類ないし4種類に区分されているが、ここまで細分化する必要はないのではないか。 制度利用者にとって分かりやすい表示方法について検討した結果、外部からのアクセスのしやすさに応じて住戸の開口部を区分したものです。 09 官民合同会議におけるドア(A種)の仕様規定(通則的運用)では、1ドア2ロックとするうちの少なくとも一方の錠は目録掲載品かつ鎌形式とする必要があり、もう一方は官民錠を使用する必要がないとされている。本告示案ではデッドボルトの形式について規定がないが、2つの錠共に官民錠を要求している。この点は、官民合同会議の規定と整合がとれていない。 ご指摘を踏まえ、原案を修正します。 10 官民合同会議におけるサッシの仕様規定(通則的運用)では、引き形式のサッシでは2以上のクレセント等のうちの一方がクレセントでなければならないとされている。この点はクレセントそのものに限定していない本告示案の方が適正な考えと思われるが、整合がとれていないと考える。 官民合同会議の基準においては、引き形式のサッシでは、障子外しの手口に対抗できるよう、2以上のクレセント等のうちの一方はクレセントでなければならないとされていますが、本告示案では、種々の開き形式を想定して、包括的に2以上のクレセント等の締り金物があることを求めています。なお、住宅性能表示制度の運用は、官民合同会議の基準と整合して行う予定であり、詳細な使用条件等は、解説書等において例示します。 11 「地面又はバルコニー等から開口部の下端までの高さが2m以下、かつ、バルコニー等の外縁を含む垂直面から開口部までの水平距離が1m以下のもの」とあるが、接地階の場合は、どちらか一つに該当すると対象となることから、接地階に限り「かつ」を「又は」に表現を変更するべきではないか。 ご指摘の趣旨を踏まえ、原案を修正します。 12 雨戸やシャッターによってのみ対策が講じられている場合はその旨が特記されることとなっているが、これに面格子も含めるべきである。 雨戸やシャッターについては、日常の短時間の外出時等にも閉鎖するような使われ方は一般的ではないと考えられるため、これらの部品のみによって対策が講じられている場合には、その旨を特記することとしています。 13 建物部品が、官民合同会議の目録掲載品と同等以上の性能を有するかどうかの判断は、住宅性能評価機関の評価員が行えるよう検討してほしい。 個別の建物部品が、官民合同会議の目録掲載品と同等の性能を有するかどうかの判断については、部品の種類や強度について、専門的な見地からの検討が必要となると考えられることから、住宅の品質確保の促進等に関する法律第55条第1項に規定する指定試験機関における審査を経て国土交通大臣の特別評価方法認定を受けたものは、防犯性能を有することが確かめられた部品として取り扱うこととします。 14 防犯改修などを行った既存住宅については、防犯設備士等が評価を行うべきではないか。 既存住宅であっても、所定の開口部において、侵入を防止する性能を有することが確かめられた部品が使用されているかを基準に従って評価するものであり、建築物についての専門知識を有する評価員が評価を行うことが必要です。なお、評価員となるためには、住宅の品質確保の促進等に関する法律施行規則第15条において、建築士である者が所定の講習を受講し修了すること等が必要とされています。 15 「侵入を防止する性能を有することが確かめられた部品」としては、官民合同会議の目録掲載品が該当する旨、明示すべきである。また、官民合同会議の防犯性能試験を通過した製品に限定せず、官民合同会議の試験以外の評価方法も示すべきである。 侵入を防止する性能を有することが確かめられた部品としては、官民合同会議の目録掲載品などを想定していますが、これ以外にも、指定試験機関における審査により、通常想定されている手口について5分間侵入を防止する性能が確かめられた製品については、国土交通大臣による特別評価方法の認定を受けることが可能です。なお、官民合同会議の試験基準は、原則として公開されており、国土交通省、警察庁のホームページ等において参照することができます。 16 海外の防犯性能規格に適合した製品についても有効な対策として評価すべきである。 官民合同会議の目録掲載品は、我が国で想定される犯罪手口等をもとに試験を行っているものです。海外の防犯性能規格に適合した製品については、官民合同会議の試験を受験するか、指定試験機関において、我が国における犯罪手口への抵抗性能や、試験方法の信頼性などの観点から審査を行い、性能が確かめられたものについては、国土交通大臣による特別評価方法の認定を受けることができます。 17 電子錠、カード式錠、指紋認識錠などについても、官民合同会議の防犯性能の試験等の細則が設定され、有効な対策として評価されることを望む。 現在の官民会議の目録掲載品は、一般的に広く使用されている建物部品が中心となっていますが、それ以外の部品についても、市場における普及状況やニーズ等を踏まえ、品目を拡充していくことを、関係省庁や関係民間団体等と検討を進めていきます。 18 官民合同会議の目録掲載品は、部品ごとに、実験を行った使用条件、施工条件等でなければ性能を発揮しないものであるので、その点を基準で明らかにするとともに、実際の現場における評価の際には、この点まで含めた厳格な評価を行うとともに、消費者等に対しても十分な情報提供を行うべきである。 ご指摘の趣旨を踏まえて原案を修正するとともに、部品の使用条件について配慮が必要である旨、解説書等において明記します。また、施工方法について留意すべきであることについて、関係省庁や関係団体等と連携して、必要な情報提供を実施します。 19 「バルコニー、屋上その他これらに類するもの」として、どういうものが該当するのか、また、既存住宅の評価基準の「侵入対策上影響を及ぼす劣化事象等」について、具体的な事例を技術解説書等において例示されたい。 解説書等において例示します。 20 地面、バルコニー、共用階段からの高さや水平距離は、どこからどこまでの距離を測定するのか。 基本的に、最短距離となる部分について測定します。詳細は解説書等において例示します。 21 吹き抜け等に面する開口部は、どの階の開口部として扱うのか。 基本的に、侵入先の階に属する開口部として評価します。詳細は解説書等において例示します。 22 複層ガラス(断熱、遮音等の目的で、2枚のガラスの間に空気層があるもの)の基準はどうなるのか。 複層となっているうち少なくとも1層のガラスが、侵入を防止する性能が確かめられたガラスである場合、他に性能低下を及ぼすような特段の事情が認められない限り、複層ガラスとして侵入を防止する性能を有するものとみなします。 ○ 今回の改正案に係るもののうち、「防犯に関すること」以外に関するもの
番号 ご意見 当省の考え方 23 「建設評価の検査時期の明確化」について、建築基準法の中間検査時期との整合も考えると、改正案の「最下階から数えて2階」ではなく、「地上2階」にすべきである。 ご指摘の趣旨を踏まえ、原案を修正します。 24 「1−1 準耐力壁となる仕様の追加」において、
構造用合板等を使用する場合もあることから、仕様として追加すべき
受け材は基準法告示と同一の仕様となっているが、これで良いか
今回改正案は、要望のあったせっこうボードについて、基準に追加するものです。せっこうボードであれば、受け材を使用することにより、建築基準法で定めているものと同様の耐力が期待されると考えています。 25 「4−2 横主管を1Fピロティに設ける場合を位置付け」について、「横主管」の定義を明確にすべきである。 解説書等において例示します。 26 「4−2 横主管を1Fピロティに設ける場合を位置付け」について、「ピロティ」とすると、1階が吹きさらしでない場合(例:共用ロビーの天井裏等に設置される場合など)に対応できないため、「ピロティ等」としてはどうか。 ご指摘の趣旨を踏まえ、表現を修正します。
※ 類似のご意見については、趣旨を損なわない範囲で、適宜まとめさせて頂きました。
※ 頂いたご意見のうち、今回の改正案に係るもの以外のご意見、ご提案等についても、今後の制度運営の参考とさせていただきます。
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