前田大臣会見要旨
2011年12月2日(金) 9:27 〜 9:45
国土交通省会見室
前田武志 大臣
閣議・閣僚懇
本日の閣議案件で、私の方から特に申し上げることはありません。
質疑応答
(問)整備新幹線についてお伺いします。
先日の会見でも、「9合目くらいまで来ている」、「なるべく早く結論を出したい。」とおっしゃっておられましたが、一部報道では、年度内にも認可の方針という報道もありましたけれども、現在の進捗状況についてお願いします。
(答)私が承知しているところでは、確かに9合目くらいまでは来ているわけで、今、国交省の担当と財務省とが最終的な詰めに入っているところだと聞いています。
それから地元も、五つの条件の中で非常に大きな要素ですから、そのことも的確に見極めていかなければいけないと思います。
さらには、三つの箇所があるわけで、党としても非常に大きな課題ですから、その辺の複雑な最終の詰めの段階ということなので、私から今、見通し的なことをすぱっと言える段階ではありません。
いずれにしろ、すべての関連する、ステークホルダーとは言いませんが、関係のところが出揃って、最終的な詰めの段階に入ってきたと、こう認識をしています。
(問)整備新幹線については5条件の他にも財源の問題がありました。
そのことについては着工期間を計画より広げてというような議論もあると伺っておりますけれども、建設期間を延ばすことについて大臣はどうお考えですか。
(答)もちろん期間を縮めれば、それだけ単位期間の財源がかさむわけですから、その辺は全体の工事のあり様と財源の実力と言いますか、その辺の見合いではないでしょうか。
(問)八ッ場ダムの検証についてお伺いします。昨日から有識者会議の審議が始まっています。
この会議に大臣も出席されたということなのですが、会議を終えての大臣の所感と今後の検証作業のスケジュールについて教えてください。
(答)昨日、最後の結論が出るところまで御一緒させてもらいました。
さすが有識者の先生方で、非常に広い立場からの御意見がありました。
そういう意味では、関東地方整備局から本省に上がってくる段階で、関東地方整備局の検討の場での結論と、パブリックコメント、そういったことも受け止めて、さらには関東地方整備局はパブリックコメントと同時に学識経験者の意見も求めました。
十数人の方々からの意見も求めています。
そういうものをまとめて「継続が妥当」という結論を関東地方整備局の検討の場で付けたわけです。
これはもちろん1都5県の自治体が入っての場ですが。
それに対して、常設の学識者による事業評価監視委員会が整備局にありますが、そこで、この事業として受け止めるに妥当かどうかということを、かなり、いろいろな意見も付けて行っていただいております。
この委員会は現場も見ているようですし、2回にわたって議論していただいて、その結果、事業評価監視委員会の意見を付けて上がってきているわけです。
それを昨日、さらに有識者会議で随分と議論をしていただいたということです。
委員の先生方には遠方の方もおられるわけで、夜遅くまで行っていただいて非常に感謝しております。
検討の中身が、これまで関東地整で行ってきたプロセスに瑕疵が無かったかをしっかり見ていただいた他に、有識者としてのいろいろな貴重な御意見が出ていました。
その結果として、ダムに頼らない治水のあり方についてもいろいろな御意見を出していただいております。
多少踏み込んで言うと、利根川流域の特性のような事について指摘された方々もおられました。
もともと、利根川というのは3本流れていました。
そのうちの2本が東京、隅田川のような所に流れ込んでいた。
それを家康入府以来、東に東に追いやって、今、利根川は関宿で分派して江戸川が一つ東京湾に流れているわけですが、大半は銚子の方、東の方に付け替え、付け替えて、江戸を守るような形にしていったということです。
もともとは利根川、中川、綾瀬川、荒川、隅田川だとか、要するに関東平野の低湿地、武蔵丘陵の高台以外は江戸に至るまで低湿地であったものを東に追いやっていったという流域特性をよく考えなくてはならないという印象は持ちました。
そのようなことを含めて、昨日、有識者会議で、関東地方整備局から出てきた結果については妥当であるという結論を付けてくださいました。
さらには、何度か申し上げた、事務次官を長とするタスクフォースで、これまた非常に幅広い見識を持つ方々、専門の方々の御意見と、これまでのいろいろな調査、60年近くに渡って八ッ場ダムのいろいろな調査を行ってきているわけですから、そういった中で、有識者の方々の御意見の裏打ちになるような資料も、もう一度探り当てたりしながらまとめてくれております。
それを有識者会議に資料として提供して、俯瞰的に見ていただくための会議が7日にあります。
そこで、私としては、我々国交省の務めとしてやらなければならないことを全て完了して、その上で政務において議論をして、私が決断を行うというプロセスになります。
(問)八ッ場ダムの関係ですが、今のお話ですと、12月の中旬くらいには最終的に大臣としての判断が出されると考えてよろしいのでしょうか。
(答)あくまでも、24年度予算に反映をさせるということを申し上げてきました。
それは前任の大畠大臣もそうでしたし、その前の馬淵大臣もそうでした。
私としても、是非そのようにさせていただきたいということで、最後の踏ん張りをしているところであります。
(問)遅くとも年内には最終判断をされると考えてよろしいでしょうか。
(答)もちろん、そのつもりでございます。
(問)確認させていただきたいのですが、今日の朝、総理と会われていましたか。
(答)会っていません。
(問)八ッ場ダムの関係ですが、7日の有識者会議で、有識者会議としての結論を出されるのか、また、有識者会議で出た結論について、大臣は尊重をするということでよろしいでしょうか。
(答)今、詳しく説明したつもりですが、有識者会議に求められているタスクは昨日で終了しているのです。
3.11の大震災ということを今までどこにも反映していないので、7日の会議はそれを踏まえたものです。
3.11の大震災を一体どのように受け止めるかということを、事務次官の下のタスクフォースで検討してもらい、またいろいろな有識者の方々のお話を聞いてもらっております。
何も八ッ場ダムのためだけにとは言い難い部分もあります。
社会資本整備審議会において、災害に上限はない、それから、社会資本整備を行っていく上で、何と言っても人間の命が第一なんだという教訓を出していただいているわけです。
それを具体的に、どのように受け止めたら良いかということを、危機管理の専門家である畑村洋太郎さんや、火山の専門家や地質の専門家といったいろいろな方のお話を聞いているわけです。
その中で畑村さんが言っているのは、3年、30年、60年、300年、1200年ということがありますが、3年経ったらまず忘れる、30年経ったら地域が忘れる、60年経ったら消えていく、300年経つと災害がなかったようになり、1200年も経つと歴史から抹殺されるということで、大災害というものはそういう中で起きております。
過去には貞観の津波というものがありましたが、これも1000年くらい経っております。
確かにそういうことを言い当てているのです。
そういう有識者の御意見を頂きながら、八ッ場ダムについては関東地方整備局の検討の場でいろいろと詰めていただきましたが、それを判断する時にはそのような視点も持つ必要があるのだろうと思います。
そういう意味で、有識者の方々に俯瞰的に見ていただきたいと考えています。
そこで結論を出してくださいということは、有識者会議の役割の範囲を超えていると思います。
ただ、有識者会議の素晴らしい方々に俯瞰的に見ていただいて、コメントを頂くことが非常に重要だと思います。
(問)整備新幹線の質問での確認ですが、先ほどの大臣のコメントの中で「複雑な最終的な詰めの段階」という言葉が出ましたが、この整備新幹線の判断については例えば党との関係などがあると思いますが、それはどのような手続で進めていくのがよろしいとお考えでしょうか。
(答)私は、党の方では、政策調査会において受け皿を作っていただいているものと承知しております。
応援団になってくれると思います。
(問)党と話をしながら国交省として大臣が判断するということでしょうか。
(答)そうです。