平成21年4月14日
【概要】
1.先行的社会実験・検証の実施
法律の施行に向け、課題の徹底的な把握・分析を行うための社会実験・検証を実施するため、平成21年3月9日(月)から3月23日(月)まで、国庫補助事業により、住宅瑕疵担保責任保険について保険料を割引く(半額)社会実験を実施し、15日間で約6万戸の申込みがあった。
2.事業者の浸透度調査
3月16日~25日に、対象となる建設業者、宅地建物取引業者への制度の周知度や理解度を把握するための調査を行った(第2回目)。理解度については、法律による義務付けについて、98.8%(第1回は97.3%)が理解しているなど、全ての項目において前回より高い数値となった。一方で、「保険料が一括払いであること」や、「賃貸住宅も対象となること」について、前回の数値を上回っているが、依然として8割を下回る結果となった。
3.事業者向け講習会の実施結果
昨年8月~12月に引き続き、本年1月から3月にかけて全国で337回の国土交通省職員による講習会を行い、約6万2千人が参加した。昨年とあわせると566回、約7万6千人が講習会に出席した。
4.消費者・事業者への広報
消費者及び事業者への周知を行うため、新聞(全国紙、地方紙、郷土紙、専門紙)、住宅専門雑誌、一般雑誌、インターネットの不動産サイト、折込広告等を行った。
5.今後の対策
法律の本格施行に向け効率的なPRを行うとともに、先行的社会実験や浸透度調査の結果を踏まえ重点的な広報を実施する。
【詳細】
1.先行的社会実験・検証の実施
法律の施行に向け、課題の徹底的な把握・分析を行うための社会実験・検証を実施するため、平成21年3月9日(月)から3月23日(月)まで、国庫補助事業により、住宅瑕疵担保責任保険について保険料を割引く(半額)社会実験を実施し、15日間で約6万戸の申込みがありました。
これは、年間に換算すると148万戸※に相当し、申込み窓口での受付対応については、施行後のピーク時に近い状況を作り出すことができました。なお、事業者アンケート等を通じた申込窓口での混乱や問題点等については、4月下旬までにとりまとめる予定です。
※わが国の新設住宅着工戸数は平成18年度が約129万戸、平成19年度が約104万戸
2.事業者の浸透度調査
昨年11月の第1回に引き続き、対象となる建設業者、宅地建物取引業者への制度の周知度や理解度を把握するための調査を行いました。前回と同じ調査項目とし、結果を比較しました。
(1)調査概要(カッコ内は前回の結果)
調査対象:建設業者(建築一式工事、大工工事)、宅地建物取引業者の中から無作為に抽出した17,150事業者(17,150事業者)
調査方法:郵送アンケート調査
調査期間:平成21年3月16日~平成21年3月25日(平成20年9月25日~10月8日)
回収数 :5,767※事業者/回収率33.6%(6,419事業者/回収率37.4%)
※うち過去3年間に住宅を供給した事業者は2,267事業者(2,430事業者)
(2)アンケート結果
新築住宅を供給していない事業者を除外するため、[1][2]では、過去3年間に新築住宅を供給したことがある事業者(以下「住宅事業者」といいます。)に限定して、住宅瑕疵担保履行法の周知・理解の状況等を集計しました。(カッコ内は前回の結果)
[1]住宅瑕疵担保履行法の周知・普及状況について[下線部についての理解度]
a.法律の周知度
「法律により、新築住宅を引き渡すには保証金の供託又は保険への加入が義務付けられる」ことを知っていると答えた住宅事業者は全国平均で98.8%(97.3%)でした。県別では、最も低い奈良県では93.1%(茨城県88.9%)でした。他方、100%の都道府県も27府県(12道県)ありました。
b.施行日について
「義務づけの開始は、平成21年10月1日である」ことを知っていると答えた住宅事業者は全国平均で93.8%(88.0%)でした。県別では、90%を下回った都道府県は9都府県(30都道府県)あり、最も低い大阪府では84.1%(茨城県68.9%)でした。
また、「契約日が平成21年10月1日より前であっても、建物の引渡しが、平成21年10月1日以降の場合は義務付けの対象となる」ことを知っていると答えた住宅事業者は全国平均で89.2%(81.7%)でした。県別では、80%を下回った都道府県は2府県(19都府県)あり、最も低い大阪府では76.2%(奈良県63.2%)でした。
c.保険加入について
「保険に加入するには着工前に保険の申込手続きをする必要がある」ことを知っていると答えた住宅事業者は全国平均では92.6%(86.2%)でした。県別では、90%を下回った都道府県は12都県(35都道府県)あり、最も低い愛知県では82.8%(沖縄県59.4%)でした。
また、「保険料は加入時の一括払いである」ことを知っていると答えた住宅事業者は全国平均で78.3%(62.4%)でした。県別では、70%を下回った都道府県は4都県(40都道府県)あり、最も低い東京都では65.1%(岡山県37.2%)でした。
d.賃貸住宅について
「賃貸マンションや賃貸アパートも対象として含まれる」ことを知っていると答えた住宅事業者は全国平均で64.3%(53.1%)でした。県別では、60%を下回った都道府県は12府県(36都府県)あり、最も低い三重県では42.2%(京都府31.4%)でした。
[2]住宅瑕疵担保履行法の認知経路について(複数回答)
住宅事業者の、法律の認知経路については、所属する業界団体からの情報が最も多く54.1%(53.3%)であり、次いで保険法人からの情報が49.1%(43.8%)、国土交通省からのダイレクトメールが38.6%(30.9%)、各種の講習会・セミナー・説明会が37.8%(29.7%)でした。
[3]保険制度に対する不安(複数回答)
保険を選択すると回答した事業者(2,190事業者)のうち、法律の施行に際して感じている不安については、「検査時の設計・施工基準の内容が厳しいのではないか」39.4%(37.7%)、「瑕疵発生時に保険金がきちんと支払われないことがあるのではないか不安」38.6%(37.7%)、「資力確保のための費用を価格転嫁する場合にユーザーの理解が得られない」37.5(38.4%)、「現場検査員が足りないために検査が遅れ、結果として工事が遅れるのではないか不安」37.1%(38.1%)といった項目について、前回とほぼ同様の数値でした。
一方で、「届出方法や届出先がわからない」20.5%(26.5%)、「保険の申込窓口がどこにあるかわからない」19.9%(30.9%)、「制度の内容がよくわからない」19.6%(28.5%)といった項目は、前回よりも数値が大きく改善されました。
3.事業者向け講習会の実施結果
本年1月から3月にかけて、法律の概要や保険、供託の具体的な手続など実務的な事項を内容とする講習会を、全国で292箇所、337回行い、約6万2千人が受講し、昨年に実施した講習会と比べると受講者数が大幅に増加しました。昨年8月から12月に行った講習会とあわせると374箇所、566回、約7万6千人が受講しました。
本年1月から3月分については、建設業許可業者、宅建業者、建築士事務所へ、予め、講習日程を記載した案内葉書を送付しました。
4.消費者・事業者への広報
消費者及び事業者への周知を集中的に行うため、本年2月~3月に、新聞(全国紙、地方紙、郷土紙、専門紙)、住宅専門雑誌、一般雑誌、インターネットの不動産サイトへの広告の掲載や、全国の新聞への折込広告等を行いました。
5.今後の対策
今後は、本年10月1日の本格施行、来年3月末の届出時期にむけて効率的なPRを実施するとともに、社会実験や浸透度調査等における結果をふまえた重点的な広報も併せて行う予定です。
浸透度調査結果(第2回)【都道府県別結果】(PDF形式)