平成21年6月29日
1.保険法人の業務の改善について
本年4月に実施した事業者向け第2回浸透度調査や本年3月の先行的社会実験により明らかになった、「申込みの手続きがわかりにくい」「設計施工基準や現場検査について不安である」といった、保険業務に関する課題、事業者の抱える不安を解消するため、業務の見直しを行うとともに、保険法人への立入検査等を行い、以下の点について改善を行った。
[1]保険申込手続の明確化
[2]保険申込、事業者届出及び保険証券発行の迅速化
[3]消費者向けチェックシート
[4]設計施工基準
[5]現場検査
2.事後的検査による保険加入について
現場検査があるため、保険の申込みは施行前に行うことが必要であった。今回、着工後又は完成後であっても保険加入が可能な新たな保険商品を発売する。本年度内の申込物件を対象。非破壊検査等通常と異なる検査を行うことから、検査手数料を含む保険料は通常の保険より高額となる。
3.保険料金の見直しについて
本年10月1日の法律の施行に向け、再保険プールの設置や再保険料の見直し等にともなう料金改定を行う。これと併せて、中小事業者の円滑な保険加入を促進するために実施している保険法人の受付・相談体制の充実・強化に要する費用に対して補助を行う。補助は7月1日より年度内の申込みを目途とし、予定戸数(45万戸)に達し次第終了する。実際の保険料はこれらの変更も含んだものとなっている。
4.保険法人の体制強化
(1)現場検査員の確保状況
[1]全国で7,963名(重複を除く)
[2]全国の特定行政庁の所在する市区町(552市区町)中、531市区町に配置済。
(2)申込窓口の設置状況
[1]全国で2,956箇所を設置。
[2]全国の特定行政庁の所在する市区町(552市区町)中、544市区町に設置済。
5.今後の取り組み
引き続き、事業者への周知・普及を行うとともに、消費者への普及を図るため、各都道府県の住宅関連イベントを活用し、説明会やチラシの配布等を行う。
<詳細>
1.保険法人の業務の改善について
(1)目的
本年10月の本格施行に向けて、保険の申し込み等が円滑に行われるよう、保険法人に対して立入検査を行うとともに、業務改善を指導した。なお、立入検査・業務改善の内容は、これまでの事業者アンケートや先行的社会実験において問題となった点を重点的に行ったものである。
(2)改善内容
[1]保険申込手続の明確化
保険申込み手続きや必要書類及びこれらに関する事業者への説明資料・説明方法について、手続きの簡明化、記載項目の簡略化、書類等の改善について指示を行った。
(例) 事業者届出書類の下請実績の記載を削除。
[2]保険申込、事業者届出及び保険証券発行の迅速化
先行的社会実験及び立入検査において把握された、保険申込、事業者届出の受理及び保険証券発行に係る事務処理上のトラブルについて、システムの改善、体制整備等を指示した。
(例) 内部処理の滞留により事業者届出証の発行に時間を要した事例があったため、標準処理期間を定めることとした。
[3]消費者向けチェックシート
事業者の消費者に対する保険内容の説明について、消費者が理解しやすく、事業者にとっても説明しやすいものとするため、消費者向けチェックシートを統一するとともに、別途内容をわかりやすく解説した資料を消費者に手渡すこととした。
(例) 消費者への保険金支払いには関係のない、事業者の故意・重過失の場合の取扱いの記載を削除。
[4]設計施工基準
設計施工基準の内容が事業者等に十分理解されるよう、全保険法人で設計施工基準を統一した。(7月1日より運用)
(例) 木造住宅の地盤調査・地盤補強に係る配筋の仕様や表現を統一。
[5]現場検査
現場検査について、希望日への対応状況の把握、検査日の前日確認、現場検査での指摘事項の具体化・明確化等を指示した。
(例) 検査報告書に具体的な指摘事項が無く、再検査を繰り返し行った事例があったため、事業者が内容を理解しやすい指摘内容とするよう改善。
[6]その他
先行的社会実験において発覚した、電話回線不通トラブルや取次店での誤った説明について、システムの改善や再発防止のための他の取次店への周知を指示した。
(3)立入検査日程
保険法人(5法人)に対する立入検査は以下の日程で行った。
[1](株)住宅あんしん保証
平成21年6月 9日(火)、10日(水)、24日(水)
[2](財)住宅保証機構
平成21年6月11日(木)、12日(金)、24日(水)
[3](株)日本住宅保証検査機構
平成21年5月19日(火)、20日(水)、6月26日(金)
[4](株)ハウスジーメン
平成21年6月17日(水)、18日(木)、25日(木)
[5]ハウスプラス住宅保証(株)
平成21年5月27日(水)、28日(木)、6月25日(木)
2.事後的検査による保険加入について
(1)概要
現場検査があるため、保険申込み手続きは着工前に行われる必要がある。売れ残り等によって、引渡時期が施行日の10月1日以降となってしまう物件に対応するため、着工後や完成後も保険申込みが可能となる非破壊検査等による保険商品を発売する。
これまで着工後・完成後の保険申込みが可能であったのは、[1]建設住宅性能評価書発行の住宅、[2]平成20年10月31日までに着工の共同住宅に限定されていた。
(2)商品概要
電磁誘導法、電磁レーダー法による鉄筋の探査や、反発硬度法によるコンクリート強度の検査等の非破壊検査と、施工中の写真や報告書等の確認、完成後の目視検査等により、事後的に保険加入の適正性を確認した上で、保険の引受を行う。
(3)保険料
非破壊検査等通常と異なる検査を行うことから、検査手数料は通常の保険より割高となり、保険料(検査手数料を含む)は高額となる。(別紙1)
(4)対応期間
平成21年度内(平成22年3月31日まで)の申込み物件を対象とする。
3.保険料金の見直しについて
(1)概要
本年10月1日の法律の施行に向け、再保険プールの設置や再保険料の見直し等にともなう料金改定を行う。これと併せて、中小事業者の円滑な保険加入を促進するために実施している保険法人の窓口・相談体制の充実・強化に要する費用に対して補助を行う。
(2)保険料
平成21年7月1日より保険料(補助を含む。)を別紙2のとおり改定する。
(3)中小事業者向け保険料の内容(補助対象)
[1]実施期間:平成21年7月1日(水)~平成22年3月31日(水)
[2]対象住宅:期間内に保険の申込みを行った物件
[3]対象事業者:中小事業者
[4]予定戸数:45万戸(期間内であっても予定戸数に達し次第終了)
[5]補助対象:保険料のうち、事務手数料の一部に相当する部分
(補助により保険料は戸当たり5000円の割引となる。)
4.保険法人の体制強化
(1)現場検査員の確保状況
[1]年間100万戸の保険申込みを想定した必要人数シミュレーションに基づき、総数、地域別の検査員を配置。全国で重複を除き7,963名の現場検査員を配置済(平成21年5月1日現在)
[2]全国の特定行政庁の所在する市区町(552市区町)に最低2名以上を配置予定。531市区町に配置済。(平成21年5月1日現在)
[3]残る21市町についても引き続き現場検査員の確保に努める。(なお、21市町については、近隣地域の検査員により対応可能。)
(2)申込窓口の設置状況
[1]全国で2,956箇所を設置。(平成21年5月1日現在)
[2]全国の特定行政庁の所在する市区町(552市区町)中、544市区町に設置済。(平成21年5月1日現在)
[3]残る8市町についても引き続き保険申込み窓口の確保に努める。
5.今後の取り組み
引き続き、要望に応じた講習会の開催や広告の掲載等を通じて、事業者への周知・普及を行うとともに、消費者への普及を図るため、各都道府県の住宅関連イベントを活用した説明会やチラシの配布等を行う。
別紙1及び別紙2(PDF形式)