平成21年9月25日
【概要】
1.事業者向け浸透度調査結果
法律の対象となる建設業者及び宅地建物取引業者の法律の浸透度調査を実施(郵送・3回目・2189事業者から回答)。その結果、[1]法律自体の認識、[2]施行日、[3]保険の申込時期等の基本的仕組みについては、全国平均で90%以上が知っているとの結果。
ただし、賃貸住宅も対象となっていること(67.8%)や保険金が一括前払いであること(82.9%)については、周知徹底の必要性が残る結果。
2.消費者向け浸透度調査結果
消費者に対して、法律の浸透度調査を実施(電話聞き取り・3196人から回答)。法律について知っている又は聞いたことがあると答えた方は全体では32%。対象を1年以内の取得予定者(36人)に限定すると、「法律の内容まで知っている」が44.4%、「聞いたことはあるが、内容はよく知らない」が30.6%、合計で75%との結果。
3.住宅瑕疵担保責任保険の申込状況
住宅瑕疵担保責任保険への申込戸数は、昨年6月の業務開始以来、本年8月末までに累計33万5305戸(戸建て18万4823戸、共同15万482戸)。平成21年度に入ってからの5ヶ月間(4月1日~8月31日)では、合計14万2123戸(戸建て9万6056戸、共同4万6067戸)。
4.保険の申込窓口・現場検査員体制(平成21年9月1日現在)
保険法人の現場検査員を全国で計10,202名確保し、建築確認窓口のある全ての市区町(552市区町)に各2名以上の現場検査員を配置済み。(※当初公表時に現場検査員を全国で計11,202名確保としていたのは誤りですのでご注意下さい。)
保険申込窓口についても、全国合計3,524箇所確保し、上記と同じ552市区町で各1箇所以上の申込窓口を配置済み。
5.事業者・消費者への周知
消費者及び事業者への徹底かつ効果的な周知を引き続き実施中。[1]消費者向けとしては住宅関連のイベントにおける法律の内容に関するセミナーの開催(全国47都道府県の住宅展示場等)や、消費者への小冊子(マンガ)の配布、[2]事業者向けとしては法律の注意点を記載したパンフレットの配布、新聞等による広報等集中的な普及・啓発を実施中。
【詳細】
1.事業者の浸透度調査
昨年10月、本年3月に引き続き、対象となる建設業者、宅地建物取引業者への制度の周知度や理解度を把握するための調査を行いました。前回と同じ調査項目とし、結果を比較しました。
(1)調査概要(カッコ内は[1]第1回、[2]第2回の結果)
調査対象:建設業者(建築一式工事、大工工事)、宅地建物取引業者の中から無作為に抽出した17,150事業者([1]17,150事業者、[2]17,150事業者)
調査方法:郵送アンケート調査
調査期間:平成21年8月14日~平成21年8月24日
([1]H20.9.25~10.8、[2]H21.3.16~25)
回収数 :5,590※事業者/回収率32.6%
([1]6,419事業者/回収率37.4%、[2]5,767事業者/回収率33.6%)
※うち過去3年間に住宅を供給した事業者は2,189事業者
([1]2,430事業者、[2]2,267事業者)
(2)アンケート結果(カッコ内は[1]第1回、[2]第2回の結果)
新築住宅を供給していない事業者を除外するため、ア、イでは、過去3年間に新築住宅を供給したことがある事業者(以下「住宅事業者」といいます。)に限定して、住宅瑕疵担保履行法の周知・理解の状況等を集計しました。
ア.住宅瑕疵担保履行法の周知・普及状況について[下線部についての理解度]
a.法律の周知度
「法律により、新築住宅を引き渡すには保証金の供託又は保険への加入が義務付けられる」ことを知っていると答えた住宅事業者は全国平均で98.4%([1]97.3%、[2]98.8%)でした。県別では、100%の都道府県が23県([1]12道県、[2]27府県)ありました。
b.施行日について
「義務づけの開始は、平成21年10月1日である」ことを知っていると答えた住宅事業者は全国平均で94.3%([1]88.0%、[2]93.8%)でした。県別では、90%を下回った都道府県は6府県([1]30都道府県、[2]9都府県)でした。
また、「契約日が平成21年10月1日より前であっても、建物の引渡しが、平成21年10月1日以降の場合は義務付けの対象となる」ことを知っていると答えた住宅事業者は全国平均で91.7%([1]81.7%、[2]89.2%)でした。県別では、80%を下回った都道府県は1県([1]19都府県、[2]2府県)のみでした。
c.保険加入について
「保険に加入するには着工前に保険の申込手続きをする必要がある」ことを知っていると答えた住宅事業者は全国平均では94.0%([1]86.2%、[2]92.6%)でした。県別では、90%を下回った都道府県は5県([1]35都道府県、[2]12都県)でした。
また、「保険料は加入時の一括払いである」ことを知っていると答えた住宅事業者は全国平均で82.9%([1]62.4%、[2]78.3%)でした。県別では、70%を下回った都道府県は1県([1]40都道府県、[2]4都県)のみでした。
d.賃貸住宅について
「賃貸マンションや賃貸アパートも対象として含まれる」ことを知っていると答えた住宅事業者は全国平均で67.8%([1]53.1%、[2]64.3%)でした。県別では、60%を下回った都道府県は7府県([1]36都府県、[2]12府県)でした。
イ.住宅瑕疵担保履行法の認知経路について(複数回答)
住宅事業者の、法律の認知経路については、所属する業界団体からの情報が最も多く53.2%([1]53.3%、[2]54.1%)であり、次いで保険法人からの情報が52.6%([1]43.8%、[2]49.1%)、各種のセミナー・講習会・説明会が40.3%([1]29.7%、[2]37.8%)、国土交通省からのダイレクトメールが34.9%([1]30.9%、[2]38.6%)でした。
ウ.保険制度に対する不安(複数回答)
全事業者のうち、保険を選択すると回答した事業者(1,969事業者)の方が、法律の施行に際して感じている不安については、「瑕疵発生時に保険金がきちんと支払われないことがあるのではないか不安」42.4%([1]37.7%、[2]38.6%)、「検査時の設計・施工基準の内容が厳しいのではないか」37.6%([1]37.7%、[2]39.4%)、「資力確保のための費用を価格転嫁する場合にユーザーの理解が得られない」35.7%([1]38.4%、[2]37.5%)、といった項目が前回とほぼ同様の数値でした。
「現場検査員が足りないために検査が遅れ、結果として工事が遅れるのではないか不安」という項目は、32.6%([1]38.1%、[2]37.1%)と前回から約5%数値が下がりました。
「届出方法や届出先がわからない」16.7%([1]26.5%、[2]20.5%)、「保険の申込窓口がどこにあるかわからない」、15.9%([1]30.9%、[2]19.9%)、「現場検査で不合格となり保険に加入できないことがあるのではないか不安」16.4%([1]18.3%、[2]19.5%)といった項目についても、前回よりも低い数値となりました。
2.消費者アンケートの結果
消費者への浸透度を把握するため電話による聞き取り調査を実施した。
(1)調査概要
調査対象:無作為に抽出した20歳以上の全国の男女
調査方法:電話による聞き取り調査
調査期間:平成21年8月7日~10日
回答数 :3,196名
(2)アンケート結果
ア.住宅瑕疵担保履行法の周知度について
法律についてご存じですかという質問に、「法律を知っている」と答えた方が9.9%、「聞いたことがあるが、詳しくは知らない」と答えた方が22.1%、「聞いたことがない」と答えた方が66.9%でした。取得予定時期別に見ると、1年以内に取得予定の人は、「法律の内容まで知っている」方が44.4%、「聞いたことはあるが、内容はよく知らない」という方が30.6%となりました。
イ.住宅瑕疵担保履行法を知っている方への浸透度等について
(1)で「法律を知っている」「聞いたことがあるが、詳しくは知らない」と答えた方1,022人(32.0%)に対し、以下の質問を行い回答を得ました。
a.住宅瑕疵担保履行法についての情報入手経路について
「住宅瑕疵担保履行法についてどのようにお知りになりましたか」という質問に対し、最も多かったのが「テレビ」で35.4%、次いで「住宅情報誌」が26.5%、「新聞」が26.4%でした。
b.施行日について
「この法律が始まるのは今年の10月1日ですが、このことをご存じですか」という質問に対して、「知っている」と答えた方は17.4%で、1年以内に取得予定の人で見ると、29.6%でした。
c.保険加入の際の現場検査について
「保険加入の際には第三者の建築士による現場検査が行われること」について、「知っている」と答えた方は35.0%でした。
d.紛争処理について
「保険に加入した住宅は、トラブルの際に弁護士によるサポートを受けることが出来る」ことについて、「知っている」と答えた方は33.6%でした。
ウ.消費者の安心度について
「この法律により住宅取得の際の安心感は増しますか」という質問に対し、「安心感は増す」と答えた方は66.4%、「特に増さない」と答えた方は24.9%でした。
(参考)前回のインターネット調査の結果
※調査方法が異なるため、比較は行っていない。
1.調査概要
調査対象:プレ調査により抽出した、今後3年以内に住宅の取得を予定している20~69歳の全国の男女
調査方法:インターネットによる調査
調査期間:平成21年1月6日~平成21年1月8日
回答数 :2,367人
2.アンケート結果
(1)住宅瑕疵担保履行法の周知度について
「住宅瑕疵担保履行法について知っていますか」という質問に対し、「法律の内容まで知っている」と答えた方が9.1%、「聞いたことがあるが、内容はよく知らない」と答えた方が40.4%、「聞いたことがない」と答えた方が50.5%でした。取得予定時期別に見ると、1年以内に取得予定の人は、「法律の内容まで知っている」方が12.7%、「聞いたことはあるが、内容はよく知らない」という方が40.8%となっており、それぞれ2~3年以内に取得予定の方の場合(6.2%、40.1%)と比較すると若干高い結果が得られました。
(2)住宅瑕疵担保履行法を知っている方への浸透度等について
(1)で「法律の内容まで知っている」「聞いたことがあるが、内容はよく知らない」と答えた方1,172人(49.5%)に対し、以下の質問を行い回答を得ました。
[1]住宅瑕疵担保履行法についての情報入手経路について
「住宅瑕疵担保履行法についてどのように情報を得ましたか」という質問に対し、最も多かったのが「テレビ」で35.4%、次いで「住宅情報誌」が26.5%、「新聞」が26.4%でした。
[2]住宅瑕疵担保履行法の内容の理解度について(下線部についての理解度)
a.法律による義務の内容
「この法律により、新築住宅の引渡しにあたっては「保険への加入」または「保証金の供託」が義務づけられる。」ということに関しては、「知っている」と答えた方が55.3%、「知らない」と答えた方が44.7%でした。
b.義務付けの対象者
「「保険への加入」や「保証金の供託」が義務づけられるのは、消費者ではなく事業者である」ということに関しては、「知っている」と答えた方が48.1%、「知らない」と答えた方が51.9%でした。
c.義務付けの開始日
「この法律による義務付けの開始は平成21年10月1日である」ということに関しては、「知っている」と答えた方が19.4%、「知らない」と答えた方が80.6%でした。
また、「契約や着工が平成21年10月1日以前でも、引渡しが平成21年10月1日以降であれば義務付けの対象になる」ということに関しては、「知っている」と答えた方が17.8%、「知らない」と答えた方が82.2%でした。
d.業者倒産時の措置
「この法律により、事業者が倒産した場合でも補修費用などの還付を受けることができる。」ということに関しては、「知っている」と答えた方が52.6%、「知らない」と答えた方が47.4%でした。
e.紛争処理
「この法律に基づく保険に加入している場合、消費者は専門の紛争処理制度を利用できる」ということに関しては、「知っている」と答えた方が28.8%、「知らない」と答えた方が71.2%でした。
[3]施行についての不安
法律の施行についての不安や疑問については、最も多かったのが、「どんな欠陥であれば保険金や保証金が受けとれるのかわからない」という方で48.3%、次いで「自分が買う家が保険や供託を行っているかは、どう確認すればよいのか」という不安をもたれている方が43.3%、「住宅に欠陥が見つかった場合に、どのようにこの制度を利用すればよいかわからない」という方が41.6%でした。
[4]住宅の取得時期への影響について
この法律による住宅取得時期への影響については、「法律の適用を受ける平成21年10月1日以降に引渡しの物件を選ぶ」と答えた方が34.3%、「特に時期は気にしないが、平成21年10月1日より前であれば任意の保険に加入している物件を選ぶ」と答えた方が31.6%、「特に時期は気にしないで物件を選ぶ」と答えた方が19.6%、「わからない」と答えた方が14.5%でした。取得時期別に見ると、1年以内に取得予定の方でも、半数以上の方が、10月1日以降の引渡し物件か、もしくはそれ以前でも任意の保険に加入している物件を選ぶと回答しました。
3.住宅瑕疵担保責任保険の申込状況
住宅瑕疵担保責任保険への申込状況については、下記「住宅瑕疵担保責任保険の申込状況.pdf」をご覧下さい。
4.保険の引き受け体制(平成21年9月1日現在)
事業者が円滑に保険に加入できるよう、現場検査員、保険申込窓口について、体制の整備を進めております。
(1)現場検査員
[1]人数:10,202名(※当初公表時に現場検査員を全国で計11,202名確保としていたのは誤りですのでご注意下さい。)
[2]地域:建築確認窓口のある全ての市区町(552市区町)に2名以上を配置
(2)保険申込窓口
[1]箇所数:3,524箇所
[2]地域:建築確認窓口のある全ての市区町(552市区町)に少なくとも1箇所の申込窓口を設置。
5.事業者・消費者への周知
(1)事業者への周知について
[1]賃貸住宅が対象となることについての周知
特に理解度の低い「賃貸住宅」について、集中的な周知を行うため、建設専門紙への掲載や、地域の事業者団体を通じた注意喚起チラシの配布(3400箇所、約82万5千枚)等を行う。
[2]講習会の開催
地域の事業者団体からの依頼に基づき、国土交通省職員による講習会を随時開催する。
(2)消費者への周知について
[1]消費者向けセミナーの開催
全都道府県の住宅関連イベントにおいて法律の内容に関するセミナーを開催(7月~11月にかけて55回)。
[2]小冊子マンガの配布
法律の内容をわかりやすいマンガにした小冊子を地方公共団体、消費者団体等の窓口を通じて配布する。なお、(財)住宅リフォーム・紛争処理支援センター(03-3556-5147)に問い合わせ頂ければ送付する。