平成22年12月21日
国土交通省では、平成20年度以降、建築基準整備促進事業を活用し、長周期地震動を考慮した建築物の
設計用地震動について調査を行ってきました。平成21年度調査の結果を踏まえ、今回、長周期地震動に対する
対策試案がまとまりましたので、これを公表し、広く意見募集を行います。意見募集期間は約2か月です。
併せて、関連団体との意見交換を幅広く実施する予定です。
これらの意見募集等を通じて寄せられたご意見を踏まえ、検討を行った上で、対策を取りまとめます。
[対策試案の骨子]
○超高層建築物等を建築する場合への対策
・超高層建築物等の大臣認定の運用を見直し、[1]想定東海地震、東南海地震、宮城県沖地震の3地震による
長周期地震動を考慮した設計用地震動による構造計算を求めるとともに、[2]家具等の転倒防止対策に対する
設計上の措置について説明を求めます。
・また、今回対象の3地震以外の地震や、複数が連動する場合の設計用地震動について余裕を持った設計を
行う場合の参考情報を提供します。
○既存の超高層建築物等への対策
・大臣認定を受けた超高層建築物、免震建築物のうち、今回対象の3地震による長周期地震動による影響が
大きいものについて、再検証し、必要な補強等を行うよう要請します。
(参考)長周期地震動について
平成15年9月十勝沖地震の際に震央から約250km離れた苫小牧市内で、石油タンクがスロッシング(液面揺動)を
起こし火災が発生した原因の一つとして長周期地震動が注目されました。長周期地震動とは、揺れの周期が
長い(2、3~20秒)波を多く含む地震動で、ゆっくりとした揺れが非常に長く続く特色があります。
規模が大きい地震ほどより長周期の地震動が多く発生し、また、地表から地下深くまでの堆積層の影響によって、
長周期地震動はより増幅します。このため、巨大地震が発生した際に東京、大阪、名古屋のように堆積層の厚い
平野部などで大きな影響が出やすいと考えられます。
長周期地震動は、固有周期の長い超高層建築物(高さが60mを超えるもの)や免震建築物への影響が大きいと
考えられます。対策としては、制振ダンパーの設置などが有効とされています。
(参考)超高層建築物等の固有周期
建築物の構造と規模 | 固有周期の目安 |
高さ60m(20階建て程度) | 1~2秒程度 |
高さ200m(50~60階建て程度) | 4~6秒程度 |
免震建築物 | 最大8秒程度 |
○「超高層建築物等における長周期地震動への対策試案について」に関するご意見募集について(PDF ファイル113KB)
○別紙2(平成23年2月7日訂正)(PDF ファイル1.42MB)