報道・広報

大型特殊自動車メーカー(日立建機株式会社)に関する不正な改造等について

平成20年10月14日

 今般、大型特殊自動車メーカーである日立建機株式会社が、ショベル・ローダの新規検査受検後に、手すり、昇降ステップ、作業灯等の部品装着、バケット置き台の補強・改造、オプション部品の後装着等の不正な改造又は架装を実施し、保安基準不適合(車幅超過)の状態、又は自動車検査証の記載事項(車両重量)と相違した状態で車両を納車していたことが、同社からの報告により判明しました。

 これを受け、本日、同社に対し、厳重注意と業務改善指示を行うとともに、関係団体に対し、同種の不正を行っていないかについての報告を求めました。

1.経緯


(1) 平成19年6月末、日立建機株式会社に対して寄せられた情報を踏まえ、同社が調査したところ、一部の車両に不正な事例があったことが確認された。同年8月、その旨が国土交通省に報告され、国土交通省は、同社に対し、早急に全容を解明するよう指示した。


(2) 平成20年8月22日、日立建機株式会社より国土交通省に対して、調査結果の一部が報告され、調査台数66台中、46台に不正な改造等が行われていた事実が判明し、同年9月12日、国土交通省は、不正な改造等が行われた車両台数や内容の詳細、原因と再発防止策について報告するよう指示した。

2.報告書の概要

(1) 不正な改造等が行われた疑いのある対象台数及び改造等の内容

[1] 対象台数

不正な改造等が行われた疑いのある対象台数は、昭和46年10月から平成20年8月までに日立建機株式会社が製造・販売した3,621台であり、既に抹消登録等され国内で使用されていない2,480台を除くと、1,141台である。

[2] 不正な改造等の内容

平成20年9月30日現在における不正な改造等の内容及び車両の確認状況は、以下のとおりである。

 

使用者の特定
状況
不正改造の有無 不正改造の内容
使用者特定済
(980台)
不正改造あり
(367台)

(このうち、保安基準
不適合は144台)
保安基準不適合(注1)及び
車検証記載との相違(注2)
(88台)
(注1)保安基準不適合の内容(※1)
  手すり装着(車幅(※2)1cm超過):83台
  作業灯装着(車幅6cm超過)   :74台
  ステップ装着(車幅6~7cm超過):30台

(注2)車検証記載との相違
  車両重量が車検証記載と100kgを超
 えて相違
保安基準不適合のみ
(56台)
車検証記載との相違のみ
(223台)
不正改造なし
(330台)
不正改造の有無を
確認中
(283台)
使用者未特定
(161台)
(別紙1)
合計
(1,141台)
(※1):複数の改造内容が重複している車両あり。
(※2):車幅の保安基準は2.5m以下。

 

(2) 不正な改造等が行われた原因

不正な改造等が行われた原因は、以下のとおりである。

[1] 営業所が実施する改造作業から車検手続作業までの手順等に関して、社内規則などによる明確な規定がなかったこと。

[2] 改造作業及び車検手続作業を担当する社員に対する保安基準や車検手続に関する教育が十分でなく、必要な知識と認識が不足していたこと。

[3] [1]及び[2]から、担当者が部品納期や作業工程の都合又は新車売上計上を急ぐあまり、新規検査受検後に改造を実施し、車検証記載事項と相違した状態での納車となっていたこと。

[4] 改造作業から車検手続作業までの業務に関する社内監査を行っておらず、これまで不正を発見できなかったこと。

 

(3) 今後の対応

[1] 使用者未特定の車両については、早急に特定作業を完了し、使用者が特定され次第、車両を調査し、不正な改造等の有無を確認する。

[2] 不正な改造等が行われた車両について、部品の取り外し又は対策部品への交換、自動車検査証の記載事項変更(必要に応じ構造等変更検査)の手続きを実施し、適正に車両改修を行う。

[3] 車両の改修は、平成21年10月末までに完了することを目処として対応する。

[4] 不正な改造等が行われた原因を踏まえ、以下を含む再発防止策の実施を徹底する。

・車検業務手続き等に関する社内規則の制定

・車両の法令適合性に係るチェック体制の強化

・法令遵守に係る社員教育の充実

・コンプライアンス推進部の新設によるコンプライアンスに関する教育の徹底及び常時監査体制の整備

 

3.国土交通省の対応

[1] 以上の報告及び平成17年7月に、同種不正事案の防止について、社団法人日本産業車両協会を通じ、要請していることも踏まえ、本日、日立建機株式会社に対し、自動車製作者としての法令遵守に係る自覚の欠如等を厳重に注意するとともに、早急な車両改修と再発防止を図るための業務改善の徹底を指示しました。(別紙2)

[2] 管轄する関東運輸局に対し、同社に対して、車両の改修状況に係る定期的な報告を求めるとともに、改修進捗状況及び再発防止策の実施状況を監視しつつ、必要に応じ、立入調査を実施するなど、指導・監督を行うよう指示しました。(別紙3)

[3] 大型特殊自動車メーカー等の事業者団体である社団法人日本産業車両協会に対し、傘下会員に対する法令遵守の再徹底を要請するとともに、傘下会員の中に、本件事案と同種の行為を行っていないかを調査し、報告するよう求めました。(別紙4)

 

お問い合わせ先

国土交通省自動車交通局技術安全部整備課 酒井、古川
TEL:(03)5253-8111 (内線42402,42426) 直通 (03)5253-8600

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